2023年12月

聖樹の灯 ホワイトイルミネーションと

足裏を使ひ吸いつかせて根雪

23日現在、札幌に雪は少ないですが、根雪になったと思います。ただ気温は低いので道路は圧雪で磨かれツルツルです。
歩くには、危険が伴い慎重に足の裏全体を使い「ペンギンの歩み」です。

親切な言葉に御礼言ふ小春

今週は好天で外は寒いのですが、屋内は日差しで溢れ暖かく過し易いです。
この時期、「喪中欠礼状」が届き悲しい気持ちになりますが、添え文に感謝の言葉やお礼があると優しい気持ちになり「小春日和」を頂いた心地がします。
親しかった方には悔む「弔句」を送りお悔やみを伝えています。

七竈深く熟して雪被る

2023年11月

葉の影を弾け明るく梅擬

第39回読売書法展作品解説

注目作品を1点ずつ紹介し解説していきますのでご覧ください。

<第十回目 公募 秀逸 水野光歩氏>

躍動感のある筆捌きで文字に動きがある。まだ堅い箇所が見受けられるが(緑色)ここが動けば特選が近いと思う。

<第九回目 公募 秀逸 太田千恵氏>

柔らかな運筆で筆捌きも上手く気品の漂ふ書作です。墨の塊(マツス)と余白への動きがもう少しあると特選に届いたと思う。

<第八回目 評議員 津坂周太朗氏>

運筆が柔らかく、気品のある余白で良いが、左右への動きに生真面目さが出て迫力不足の感が否めない墨量ももう少し強くいれたい。

<第七回目 幹事 松崎陽子氏>

字粒が良く、余白の美しい書作だが、墨量不足と下部の余白への働きかけが弱い(緑線)のが惜しまれる。

<第六回目 秀逸 池上真理氏>

墨の使い方は上手ですが、余白(行間)への働きかけが少し少なく堅さがあります。
青線の箇所に工夫があれば「特選」に届いたでしょう。

<第五回目 特選 船田浩司氏>

含墨時に私がよく言っている「米粒くらいの間架(余白)を空けて滲ませるように」を忠実に守っています。
審査時にも多墨で他を圧していました。私はこれでもまだ墨量は足りてはいないと思います。

<第四回目 新井光風先生・星弘道先生>

高木聖雨先生の飛墨を紹介しましたが、新井先生と星先生のも掲載します。

新井光風先生

星弘道先生

<第三回目 評議員 奨励賞受賞 小西加奈子氏>

この作品の写真写りが良いのは、行間の余白が美しいからです。単純に行を空けるのではなく、筆勢で行間へ働きかけて緊張感を保っています。これは感覚的な技法なので「分かるレベル」に達していない人には理解できません。

<第二回目 戸澤秋亭先生>

私の読売出品作は充実策とは言い難いです。草稿作よりは纏まりましたが、線質は草稿の方が良い気がします。製作過程の文字も載せますので比較してみて下さい。
大字作品は全て良い字で纏めるのは至難の技ですが、やり甲斐もあります。

<第一回目 高木聖雨先生>

一葉の桜紅葉の複雑さ

2023年7月

寄鶴文社会長の一色白泉先生が逝去されました。
10数年前、読売書法展の審査会で調和体の点数が合わなくて、一緒に会場中を探したのを思い出しました。
ご冥福をお祈りします。

2023年6月

「寄鶴」読売展作品講評会に出席して(読売展の当番審査員は全員出席)感じた事は、漢字はさすが高レベルで多様な表現力、そして筆力の強さに改めて青山先生の遺徳、偉大さを実感しました。
反面、調和体は多数字多行数で斬新さは見られず、講評も幹部の先生の「手紙を書くように」との評は、青山先生の時代と変わっていないと感じました。
私の講評=読み易さは、文字の造形だけではなく、文章においても文脈を理解し、平明な文節を表現して読み易い文章(音読すると分り易い)として書くは、理解されなかったと思います。正直、当会の調和体の方が先導していると得心致しました。これは私が俳句を通して詩の実作者であることが大きく係わっているのだと思います。

寄鶴文社=故青山杉雨先生の直弟子とその門人で組織される団体
現在、書壇屈指の団体で理事長は高木聖雨先生、道内からは会員1名(私)、準会員3名

寄鶴展出品作品の解説です。展示はほぼ漢字作品なので、見劣りしないように墨量を多くして重厚感を出しました。渇筆を少なくして、潤沢な運筆の妙技を表現したつもりです。

2023年5月

大通公園囲むライラック

5月12日

8日、久し振りに大通公園に行って来ました。ライラック(フランス語でリラ)が満開に近く、大通公園には似合いますね。唐黍ワゴンも出店していて初夏の風情を醸しています。

継続は全ての基本虹立てり

5月12日

季語・・・虹。
先日の「太陽」の写真は、ハロ(HALO)・日暈(ひがさ)と気象用語でいうのだそうです。3日に「水平の虹」(環水平アーク)と全国で見られた現象でSNSで話題になっています。(やはり珍しいとの事)

太陽の光円満夏初め

5月8日

7日の昼前、空を見上げると太陽の周りに丸い輪が掛かっていました。彩雲の部類だと思いますが、不思議な現象なので撮っておきました。吉凶の前兆かもしれませんが、円形なので吉兆でしょう。
6日が立夏でしたので、「夏初め」にしました。

2023年3月

東京を去る日の濡れて花の雨

3月27日

季語・・・花の雨。
23日、金沢から東京に移動し、鶯谷の書道博物館へ行きました。途中上野寛永寺の垂れ桜を見に寄りましたが、雨のせいか花見客も少なく堪能しました。

初めての金沢で見る桜かな

3月25日

22日金沢の各所で桜を見ました。札幌に似て春の草木が一勢に咲き始め、東京とは違う風情を実感しました。

金沢の駅前古風街長閑

3月24日

季語・・・長閑(のどか)。
金沢駅周辺にデパートはありませんでした。古都、金沢の人情にも触れ穏やかな暮しを街長閑と詠みました。

兼六園燈籠の脚霞立つ

3月24日

季語・・・霞(かすみ)。
22日、念願の兼六園を散策、初夏のような暑さに汗だくになりながらの感動を満喫。

球場を鼓舞し翔平青嵐

3月23日

21日、観光バスで五箇山、白川郷、飛騨高山を回ってきました。
スマホでWBCメキシコ戦を確かめながら一喜一憂、最後は歓喜に。バスの中で動画を見続けました。

WBCの白川郷で勝利知る

しっとりと飛騨高山の春の雨

空霞む金沢駅の門構へ

3月22日

21日、春分の日、彼岸の中日金沢に居ます。金沢の名所巡りは歩いて回る(15分程)のがベストと観光案内で聞きました。日頃歩いている私に向いている様で楽しみです。
三句詠みました。季語は「霞む」「噴水」「彼岸」です。

噴水で金沢駅は出迎へる

金沢で目覚る彼岸麗はしき

四年ぶりに敷くや上野の花筵

3月21日

季語・・・花筵(はなむしろ)。
19日、謙慎展視察のため上京しました。上野の花見客の多さに驚き、コロナ禍により抑圧されていた感情が解放される喜びを体感致しました。

往来の浮き立つ陽気街霞む

3月20日

季語・・・霞(かすみ)。
雪も解け、靴も夏用に履き替え、軽快に歩いています。「浮き立つ陽気」と表現してみました。

球場は少年のまま草の餅

3月19日

季語・・・草餅(くさもち)。
WBCではプロの野球選手が高校野球、少年野球のような真摯なプレーで魅了してくれ、応援する私達にも感動を共有する楽しさを味合わせてくれました。
草野球=草餅を連想しました。

息を呑む試合の投打花疲れ

3月18日

季語・・・花疲れ(はなづかれ)。
16日夜WBC日本代表「侍ジャパン」はイタリアを破り、4強に進出しました。
「花疲れ」は花見の美しさで疲れることを言う。17日は皆さんお疲れだったのではありませんか。

今日からは津々浦々へ桜咲く

3月17日

14日、東京の桜が開花しました。最も早い開花宣言だとか。5月末の道東の千島桜まで全国各地を彩ってくれます。

律儀さに襟を正して卒業す

3月17日

季語・・・卒業(そつげふ)。
卒業式シーズン、現代の若者の傍若無人ぶりも報道されますが、以外と律儀な人も多く見受けられます。

佐々木朗希死球の詫びの菓子うらら

3月16日

季語・・・麗(うらら)か。
11日、WBCチェコ戦で佐々木朗希投手が死球を当てた選手に後日、謝罪とお菓子を手渡したとの報道に日本人の美徳を感じました。「菓子」が微笑ましいですね。

大江氏逝く無から有生む春の雨

3月16日

3日、ノーベル賞作家大江健三郎氏が逝去されました。私が若かりし頃、大江氏の本で想像力の大切さを教わり、三島由紀夫氏に日本語の美しさを学びました。
ご冥福をお祈り致します。

空の凝り春一番掻き回す

3月15日

季語・・・春一番(はるいちばん)。
13日の札幌は朝から強風が吹く荒れた天気でした。春一番は立春過ぎの強風(南風)ですが、その頃は北海道はまだ冬ですので、この辺りが札幌では春一番なのではと思います。

火を崇め炎虞れるお水取

3月15日

季語・・・お水取(みづとり)。
東大寺二月堂で行われる(1日~14日)行法で、特に12日夜の籠松明(かごたいまつ)が有名。崇(あが)め、虞(おそ)れと難解な語句で表現してみました。

若武者のWBC山笑ふ

3月14日

季語・・・山笑ふ(やまわらふ)。
WBC予選で日本は4戦全勝の1位通過。
16日の準々決勝へ駒を進めました。
12日のオーストラリア戦では大谷翔平選手の自分の看板直撃の特大ホームランも見られて大満足でした。侍ジャパンなので若武者と表現しました。

渾身の朗希の3.11

3月13日

「3.11」は季語としては歳時記に記載されてはいませんが、認知されるでしょう。
11日、WBCチェコ戦での佐々木朗希投手の力投に勇気を貰いました。

春眠や眠れる若さと言はれても

3月13日

季語・・・春眠(しゅんみん)。
眠いです。WBC予選も5回ぐらいまでが限界で録画にして寝てしまいます。「春眠暁を・・・」眠れるのは若いと言われますが・・・

雪を割る際は光と攻めぎ合う

3月12日

季語・・・雪を割る。
雪や氷を割って雪解けを促します。特に氷を割る時は光りながら割れるので作業も楽しく進みます。

球宴の翔平さすが春疾風

3月11日

季語・・・春疾風(はるはやて)。
9日、WBC中国戦での大谷翔平(28)選手の活躍は「さすが」のひと言。
貫禄すら感じる言動に魅了されます。

震災の記憶薄れぬ春の午後

3月11日

東日本大震災から12年が経つ。あの日私は教室の移転新装への準備をしていて異様な雰囲気を感じ早めに帰宅、テレビの映像を見て絶句したのを、鮮明に覚えています。東北の人の辛抱強さに敬意を表します。

新球場オープンしての街ぬくし

3月10日

季語・・・ぬくし、暖か。
新球場「エスコンフィールド北海道」(北広島市)の内覧会が6日開かれました。14日からオープン戦で開幕します。

実南天庭隅鮮かに古りぬ

3月10日

季語・・・南天(なんてん)の実。
「難を転ずる」と正月に飾られますが、雪が積もらない地域ではよく庭隅に植えられています。

雪除けて道路工事の始まりぬ

3月9日

雪解けが進んでいますが、道路の脇にはまだ雪が積まれ残っています。この雪を除けながら道路工事が始まりました。春の風物詩のひとコマです。

国民栄誉賞 車いすテニス国枝慎吾氏

3月8日

「国枝さん世界の宝」「人類にとって大きな励み」など各界から称賛が寄せられている。

風光る北海道の道光る

3月8日

季語・・・風光る。
雪解けが終わるまで道路は濡れて光っています。これから北海道は良い季節を迎えます。

快く歩く大股雪解けて

3月7日

季語・・・雪解け。
幹線道路の歩道は雪がなく、気がつくと大股で快く歩いていました。足許を気にせず歩ける爽快さです。

リズムよく雪解雫の早まりぬ

3月7日

季語・・・雪解雫(ゆきげしづく)。
雪解けが急速に進んでいます。「早まりぬ」に春への喜びを表現しました。

春光の雪に射さりて解かしゆく

3月6日

5日の札幌は朝から快晴で気温も高くなりそうです。
日射しに力が戻ってきて雪をどんどん解かしています。「雪に射さる」が写生です。

ぼたん雪空の汚れを吸ひ無音

3月5日

季語・・・牡丹雪(ぼたんゆき)。
4日の札幌は未明から、ぼたん雪が降り続いて静かな朝となりました。
「汚れを吸ひ」が創意です。

淡き影映す照明牡丹雪

3月5日

季語・・・牡丹雪(ぼたんゆき)。
ぼたん雪は大粒なので影が映ります。帰路の時など濡れますが、詩情を楽しみながら歩いています。

解けてゆく雪のぬかるみ足を引く

3月4日

雪解けは冬の終わりの証左なので浮き立つ心境ですが、「雪のぬかるみ」は歩きづらくて疲れます。「足を引く」と表現してみました。

解け出して顔の穏やか雪だるま

3月4日

雪解け時、雪だるまも解け出しましたが、顔の表情が柔らかくなった様に見えてほほえましい。

雛飾る子供の視線和ませて

3月3日

季語・・・雛(ひな)飾る。
飾られた雛人形を見る時、大人も子供も和みます。「視線和ませ」が創意です。

急に来て雪の戸惑ふ春暖気

3月2日

2月28日の札幌の気温は11.2度(2月観測史上最高)。前回まで吹雪いていたのに嬉しい戸惑いです。「雪の戸惑ふ」と表現しました。

金星と木星近し闇うらら 写真提供:山下花名美さん

金星と木星が5日にかけて接近しています。最接近は3月2日(木)頃で、日の入りから30分後くらいの西の空で見られるとのこと

公園の深雪は父子の遊具とも

3月1日

季語・・・深雪(みゆき)。
公園はまだ雪深く遊具も使えませんが雪だるまを作るのでしょうか。父子が雪で遊んでいました。

2023年2月

日を覆ひ被る暗さや春吹雪

2月28日

季語・・・春吹雪(はるふぶき)。
25、26日と札幌は断続の大吹雪でした。今年の冬は長く感じます。27日は朝から快晴ですが寒いです。

ビルの狭間春の奥行ある鳥居

2月28日

北海道の神社、仏閣は広い敷地にゆったりと建てられていますが、東京都心ではビルの屋上や狭い隙間に祭られている事が多いです。「春の奥行」が創意。

剪定のしがみつく松やはらかし

2月27日

季語・・・剪定(せんてい)。
固く締まった雪を土台にして剪定をしました。高い所は木にしがみつきながらするのですが、松は柔らかく撓ります。

切っ先に昨夜(よべ)の凍て見せ軒つらら

2月26日

季語・・・凍て(いて)、軒氷柱。
寒気と暖気の繰り返しで普段は出来ない軒に大氷柱が伸びていました。春の氷柱は表面が滑らかで剣の「切っ先」のようです。

オーロラの極寒の地の生きてゐる

2月25日

季語・・・極寒(ごくかん)。
先日、アラスカのオーロラをテレビで見ました。美しい天然現象でしたが、この地で生活する人も居るのだと気づき揚句になりました。

富士山の日併せ天皇誕生日

2月24日

季語・・・天皇誕生日。
2月23日は「富士山の日」。不遜ですが祝日と気づいたのは先週、生徒に言われてからです。日本の象徴としての偉大さを望みます。

真実は覆ひ隠せぬ雪礫

2月24日

季語・・・雪礫(ゆきつぶて)。
24日、ロシアがウクライナに侵攻して1年が過ぎました。当時は信じる事すら出来ませんでしたが、現実として報道に着目しております。良識人はロシアから国外脱出していることも知りました。真実を雪つぶてのように発信してほしいと思います。

余寒まで北海道を覆ひゐる

2月23日

季語・・・余寒(よかん)。
21日の札幌市北区の最低気温は-14℃、厳しい余寒です。今季の寒さの底はこれで終わりとの予報ですが、春が待ちどおしい時期です。

まだ力抜けぬ雪吊縄の反り

2月23日

季語・・・雪吊(ゆきつり)。
寒気が緩むようになってきましたが、湿った雪が固く重さを増しています。
雪吊の縄もまだ気が抜けません。

若鮎や面白いかもブレイキン

2月22日

季語・・・若鮎。
19日の午後NHKでブレイキン全日本選手権を観ました。(ストレッチをしながら)
パリ五輪で新競技として実施されるとか。人間でもこの様な動きができるのかと興味を抱き、「若鮎」に例えてみました。

草むらに潜んでをりし竜の玉

2月22日

季語・・・竜の玉(りゅうのたま)。
北海道ではあまり見かけませんが、上野で「竜の玉」を見つけました。「潜む」に名の由来を重ねて詠んでみました。

白き声空へ丹頂鶴の舞

2月21日

季語・・・鶴(つる)。
丹頂鶴は留鳥なので北へ帰ることはありませんが、寒さに負けず鳴きながら翼を広げています。「鶴の舞」と写生しました。

雪積る道の高さや家沈む

2月20日

雪が降り積り、歩道は踏み固められ高くなっています。家々は雪を厚く被りまるで「沈む」ように感じたので写生してみました。

厚き屋根元に戻して雪卸

2月20日

季語・・・雪卸(ゆきおろし)、雪下し。
屋根に降り積もった雪は圧雪となり重くなるので雪下しをします。事故も多いので注意が必要です。今はスノーダクトで楽になりました。

首伏せて白鳥球となり浮かぶ

2月19日

季語・・・白鳥(はくてう)。
白鳥が湖面で休む時、首を寝せて丸くなって浮かんでいます。「球となり」と写生しました。

ペンギンのヨチヨチ歩き凍て道は

2月19日

季語・・・凍つ(いつ)。
昼間に解け出した雪は夜間の凍てで道路はツルツル、特に横断歩道は危険です。転ばないよう歩幅を小さくして歩きます。ふと旭山動物園のペンギンを思い出しました。

かまくらの寒さ和ます子の会話

2月18日

季語・・・かまくら。
秋田県横手市では15、16日に小正月行事として「かまくら祭」が行われました。
子供の頃、雪に穴を掘って遊んだ記憶が懐かしいです。

寒木瓜の淡き気品を漂はせ

2月17日

季語・・・寒木瓜(かんぼけ)。
拙宅の寒ボケは一輪だけで咲きましたが、東京では今を盛りと咲き誇っていました。

公園の遊具の頭見る深雪

2月16日

季語・・・深雪(みゆき)。
近所の公園では、滑り台やブランコが頭部だけを出して雪に埋れています。
雪もまだ降り続いています。

咲き続け風に落ちどき問ふ椿

2月16日

季語・・・椿(つばき)。
日当りにより既に多くの落ち椿になっているもの、蕾をまだ沢山付けているもの、椿は美しい時期を迎えようとしています。

積雪に埋まる駅前のぼり歩す

2月16日

季語・・・雪。
JRの新琴似駅前広場は除雪されないので雪が降り積もっています。そこを乗り越えて駅へ向かう踏み固められた一本道。

雪国の菠薐草に目の和む

2月15日

季語・・・菠薐草(はうれんそう)。
雪に埋もれると緑が恋しくなります。
栄養的にもホウレンソウを意識して摂っています。

北海道の三寒四温なる暮し

2月15日

季語・・・三寒四温(さんかんしをん)。
今頃の天気で、三日寒い日が続くと四日目は暖かくなるという季語。北海道の厳寒期も峠を越えたでしょうか。

紅白の花園神社梅の花

2月14日

季語・・・梅。
上京時、新宿に用事があり花園神社に寄ってきました。(約30年振り)
界隈に変わりはなくタイムスリップの心境でした。

校内ではバレンタインのチョコ禁止

2月13日

季語・・・バレンタインの日
14日はバレンタインの日。揚句、標語みたいになりましたが、学童から聞いた話を句にしてみました。大人の方が楽しんでいる感じがします。

寒桜上野に色を初めにけり

2月12日

季語・・・寒桜。
上野公園の中央にある噴水の池(イベントでよく使われる所)に一本満開に近い寒桜があり他を圧していました。これからの梅、桜の先がけの風情と見ました。

雪達磨見守る視線消防署

2月12日

季語・・・雪達磨(ゆきだるま)。
新琴似消防署では毎年雪まつりに協賛して雪だるまを作っています。遠くまで見守っている視線が秀逸です。

建国日吹雪やみ夜(よ)の日章旗

2月11日

季語・・・建国日(けんこくび)。
11日は建国記念日。連日の吹雪模様も夜にはやみ、掲揚した日の丸を広げて見せてくれました。

現役引退 車いすテニス国枝慎吾さん

2月11日

車いすテニスのレジェンド、国枝慎吾さん(38)が7日に現役引退の記者会見に臨んだ。
数々のタイトルに輝いた競技人生を晴れやかな表情で振り返った。

祝73回さっぽろ雪まつり 写真提供:荒谷光希君

エンブリー荘の大雪像に雲湧きぬ

大雪像恐竜を美しく見せ

新球場の大雪像の顔笑ふ

寒気来る大雪像を引き締めに

傾きは風に委ねる水仙花

2月10日

季語・・・水仙(すいせん)。
上野寛永寺の鐘楼脇の土手に群生していました。北海道の野水仙とは違い色合いは淡いです。

雪の嵩声の登校姿見えず

2月10日

札幌は毎日のように雪が降り続いて道路脇の「雪の嵩」は大人の身長を超えています。「姿見えず」と6音にして俳味を出しました。

不忍の池は穏やか浮寝鳥

2月9日

季語・・・浮寝鳥(うきねどり)。
月曜日はどこの美術館も休館日なので上野の不忍池を散策しました。日和も良く鳥(数種類を確認)も穏やかに過していました。

風除けに影を重ねる寒牡丹

2月8日

季語・・・寒牡丹(かんぼたん)。
有名な上野東照宮の寒ぼたん(冬ぼたん)です。元日から観賞できるので縁起花とされています。

流氷の接岸春を引き寄せる

2月8日

季語・・・流氷(りうひよう)。
オホーツク海の流氷が接岸したとの報に春が近づいてきた感があります。(流氷は春の季語)引き寄せると表現しました。

春寒や札幌銀座とを比べ

2月7日

季語・・・春寒(はるさむ)。
6日、今日も快晴で暖かいですが、東京の人達はマフラー(厚手)を着けダウンを着ています。雪の無い道は歩き易く楽です。

麗かや二月五日の銀座にゐ

2月6日

季語・・・麗(うらら)か。
5日、午前9時過ぎに郁文社展開催の銀座に行きました。朝から快晴でまさに「麗か」でした。

雪籠逃がれるやうに銀座に来

2月6日

季語・・・雪籠(ゆきごもり)。
北海道から来ると銀座は既に春の装いです。風が少し冷たいですが、軽装で過せます。

如月の東京に着きコート脱ぐ

2月5日

季語・・・如月(きさらぎ)、コート。
二月の異称の如月(衣更着)、「寒さに衣を更に着る」からとも言われる。

盆梅の撓むことなく垂れをり

2月5日

季語・・・盆梅(ぼんばい)。
今年も白梅の垂れ梅が見事に咲いてくれました。風がないので揺れることも撓むこともなく散っています。

立春や旅行鞄を整へて

2月4日

季語・・・立春(りっしゅん)。
4日は立春、郁文社展に出席するので上京します。皆様も旅行の計画など考えているのでは。「整へて」にその思いを込めました。

猛吹雪天地ひっくり返るやう

2月4日

2日は札幌も一日中吹雪いていました。教室の帰路(20時過ぎ)猛吹雪に遭い、全身雪まみれ、足許から吹雪が巻き上がるので「天地が逆」の表現になりました。

コロナ禍とお面に書いて鬼は外

2月3日

季語・・・鬼は外、豆撒(まめまき)。
3日は節分、鬼の面に「コロナ禍」と書いて追い払う想像ではあるが、さぞ痛快なことでしょう。今週、学童会員に豆を1包ずつ渡しました。福が訪れますように。

猛吹雪厳寒耐へて春隣

2月2日

3つの季語を重ねて「耐へて」の動詞だけで句を仕立ててみました。
「春隣」今頃の明るい季語です。

焼藷を食べてゐる時ふっくらと

2月2日

季語・・・焼藷(やきいも)。
ホクホクの焼芋を割って食べる楽しみは寒い時期ならではのもの。
時間も「ふっくらと」暖かく過ごせます。

舞ひ降りる天使の羽か寒の雪

2月1日

季語・・・寒の雪。
寒中の雪は「風花」「雪華」などといい結晶が凝縮され美しいものです。「天使の羽」にたとえてみました。

凩や憎い悪魔は人に棲む

2月1日

季語・・・凩(こがらし)。
ウクライナで高官の解任が相次いでいる。戦争を機に不当な利益を貪るという。「悪魔は人に棲む」を実感。

2023年1月

寒晴や銃後の愁ひ吸い上げる

1月31日

季語・・・寒晴(かんばれ)。
「銃後」初めてこの語彙を使ってみました。現実に戦争が身近に起こっている恐怖、真剣に考えなければと報道に着目しております。

ゆ湯婆の恩恵確かめる手足

1月31日

季語・・・湯婆(たんぽ)。
30日早朝、寒さに目覚めました。
札幌市北区で-18℃を記録。毎晩ゆたんぽのお世話になっています。まさに「恩恵」が実感。

道庁の改修工事春を待つ

1月30日

季語・・・春を待つ。
北海道庁舎(赤レンガ)が改修工事中でシートで覆われているとか。
今頃の季語「春を待つ」が明るくなった庁舎を連想させます。

除雪車の剥がす雪塊まんまるに

1月30日

季語・・・雪。
除雪車が車道の雪を剥すように削り、処々に積み上げていきます。これを除雪するのがまたひと苦労です。

照明灯闇の吹雪の奥見せる

1月29日

季語・・・吹雪(ふぶき)。
暗闇だとあまり吹雪いていないような時でも照明灯に映し出される吹雪は、大吹雪のことがあります。「奥見せる」と写生してみました。

雪のこぶに橇と歓声弾みをり

1月29日

季語・・・雪、橇(そり)。
斜面のこぶを利用して橇遊びをしています。橇から振り落されるような歓声が響いていました。

雪合戦当たる痛さも朗らかに

1月28日

季語・・・雪合戦(ゆきがっせん)。
学童会員の両親が雪合戦の世界大会に出場した事があると話していました。真剣な試合なのでしょうが、朗らかさも感じます。

寒稽古風に拳の突き入れて

1月28日

季語・・・寒稽古(かんげいこ)。
「拳の突き」で空手の寒稽古だと分かると思います。「寒泳」もあり私には出来ない鍛錬だとニュースで拝見しています。

きらめいて雪と遊ぶ子日脚伸ぶ

1月27日

季語・・・日脚伸ぶ(ひあしのぶ)。
厳寒が続いていますが、26日の札幌は快晴です。確実に日脚は伸びていますね。今の時期にぴったりな季語です。

穴釣の公魚並べゐる氷

1月26日

季語・・・寒釣、穴釣(あなづり)。
私は一度も経験したことはありませんが、面白いのだそうです。公魚(ワカサギ)は美味しく頂いております。

玄関の氷る極寒街凍え

1月26日

季語・・・氷る、極寒、凍(こご)え。
25日早朝の札幌市北区の気温は-13℃以下、冷え込みました。
玄関が氷っていました。寒い季語を3つ重ねてみました。

雪国の雪降り続く重き日々

1月25日

札幌より北の方は今年も雪が多く大変な様子。札幌も1月になってから毎日の様に雪が降っています。雪国の宿命ですね。「重き日々」と表現してみました。24日も未明から降り続き、街は雪まみれになっています。

手袋の五指より余る冷たさよ

1月24日

季語・・・手袋(てぶくろ)。
五本指の手袋は以外と指先が冷たくなりやすいので「余る冷たさ」と表現してみました。

日に伸びて地に引っぱられ軒氷柱

1月23日

季語・・・軒氷柱(のきつらら)。
今週、数年振りの大寒波が襲来とか。札幌も十分寒気の中で暮していますが、心構えは怠らぬようにしたいものです。

ストーブが生活の軸老の家

1月22日

季語・・・ストーブ。
高齢になると寒さに弱くなるのか暖房器具の前から離れ難くなり活動が小さくなります。散歩など戸外で体を動かすよう心掛けて下さい。

スキーヤー雪舞ひ上げて疾走す

1月21日

季語・・・スキーヤー。
スキーやスノーボード愛好者には願ってもない寒さです。「パウダースノー」と言うのでしょうか。雪質が細かくて良質なのだそうです。「舞ひ上げて」と写生してみました。

大寒や暖気一転寒気団

1月20日

季語・・・大寒、暖、寒気。
20日は大寒、もっとも寒い季節です。揚句は季語が3個と切れ字の「や」であとは熟語で詠んでいます。
体言止めで強く言い切りました。

指先より脳天を刺す寒の水

1月19日

季語・・・寒の水。
寒中の水は特に冷たく、指先が痛くなります。「脳天を刺す」と大胆に表現してみました。

冬帝や歴史に学ぶこと忘れ

1月18日

季語・・・冬帝(とうてい)=冬将軍のこと。
歴史は先人の偉業も愚行も教えてくれます。目先の利益だけを考えず、常に学ぶ姿勢が人を育ててくれます。

沢山の人を危(あや)める露の寒波

1月18日

季語・・・寒波(かんぱ)。
一両日のウクライナの報道は看過できません。愚者は護身のため悪事を犯しますが、彼の国に賢者は居ないのでしょうか。親は、教育者は子供に何を教えるのでしょう。

息と愚痴マスクが押へ四年目へ

1月17日

季語・・・マスク。
16日で新型コロナが国内で確認されて3年を経過した由。共存へ向け少しは慣れたとはいえ、不自由さは否めません。反面、子供達がずいぶん辛抱強くなったように感じています。

縮こまる視線緩めて寒椿

1月16日

季語・・・寒椿(かんつばき)。
11月頃に咲いているのがサザンカ。今頃のは椿です。寒中なので視線を「縮こまる」と表現してみました。

まだ少し正月気分小正月

1月15日

季語・・・小正月(こしやうぐわつ)。
元日の大正月に対しての呼び名。
行事も色々とあるが現在ではどんど焼きが各地で行われる。
皆さん、正月気分は抜けましたか。

冬休雪に埋もれる通学路

1月14日

季語・・・冬休(ふゆやすみ)。
冬休み中は通学路の除雪もあまりなく雪が積もっています。人手が足りないのかもしれません。

話の間つひ手がのびて蜜柑むく

1月13日

季語・・・蜜柑(みかん)。
会話が途切れ、その間をつくろうように蜜柑に手がのびたとの句意。
日常の何げない事柄が俳句の句材になります。

鏡開黴(カビ)をこそげる昔かな

1月12日

季語・・・鏡開(かがみびらき)、黴(かび)夏の季語
鏡開きは11日に行う所が多いが色々である。今はパックで密封されカビなどつかないが、昔は色とりどりのカビを取ってから食べました。

鉄瓶の湯気太る寒田中碧

1月11日

季語・・・寒(かん)。
サッカー日本代表の田中碧選手が「南部鉄器」の鉄瓶を愛用しているのが話題となり、購入希望者が殺到しているとのこと。私も鉄瓶で湯を沸かしています。

街角の除雪の山や寒の月

1月10日

季語・・・寒(かん)の月。
7日は満月でした。除雪の雪山より眺めた月と氷紋越しの翌朝の月(写真)、寒中ならではの風情です。

兎のやうな成人の日のショール

1月9日

季語・・・成人の日。
9日は成人の日、各地で成人式が催されています。和服姿に白いショールが定番のようですが、教養も一人前に身につけて下さい。

紅梅は期待に合はせほころびぬ

1月8日

季語・・・紅梅(こうばい)。
盆梅の紅の方は調整が上手くいって正月に咲いてくれました。白梅はまだ蕾のままです。

もの足りず七種粥に足す薬味

1月7日

季語・・・七種(ななくさ)。
7日は春の七草(季語では七種として秋の七草と分けて表記)。
野菜は7種類使った粥を食べて胃を休ませ体調を整えます。

芸術は心を温め寒の入

1月6日

季語・・・寒の入(かんのいり)。
6日は小寒。今日から節分までを寒の内といい、寒さが本格的になります。
ウクライナの子供達はせめて絵を描いたり、歌を歌うなどして生き延びて下さい。

初湯にて湯気で抱負の曇り出す

1月5日

季語・・・初湯(はつゆ)。
新年になり年頭の抱負を各自考えたと思いますが、お風呂に入った時にその抱負も陰りだしたとの句意。平和なればこそですね。

買初は百均の閉店セール

1月5日

季語・・・買初(かひぞめ)。
2日、ポストへの投函の折、走ってひと回りしていたら百円ショップの閉店の貼り紙が目に付き入店しました。全品70%引で色紙などをあるだけ買ってきました。

燦々と地球に淑気行き渡る

1月4日

季語・・・淑気(しゅくき)。
日本での平和を享受していますが、ウクライナの悲惨さが脳裏から離れません。電力不足で寒く暗い生活を強いられていますが、せめて淑気だけでも届いてほしいものです。

二日三日若き血潮は襷継ぐ

1月4日

季語・・・二日(ふつか)三日(みつか)。
第99回東京箱根間往復大学駅伝競走は下馬評どおり駒澤大学が優勝し、大学駅伝3冠を達成しました。

それぞれの去年それぞれの今年かな

1月3日

季語・・・去年(こぞ)今年。
今年最初に賜った俳句です。
「それぞれ」と季語、詠嘆の切れ字「かな」だけの句ですが、省略の利いた俳味のある句だと自負しております。

初刷の厚さに願ふ佳き話題

1月2日

季語・・・初刷(はつずり)。
初刷=元旦の新聞。今年の新聞に載る記事(話題)は佳き事柄が多い年でありますように。

休ませる五感六感寝正月

1月2日

季語・・・寝正月(ねしゃうぐわつ)。
普段、研ぎ澄ましている「五感」特に「六感」をお正月くらいは休ませてゆっくり楽しみましょう。

新雪の美しきかな初山河

1月1日

季語・・・初山河(はつさんが)。
新年おめでとうございます。本年も「美しい」と感じる感覚を大切にお過し下さい。