2021年12月

撞(つ)くほどにコロナ禍去りぬ除夜の鐘

12月31日

季語・・・除夜の鐘。
煩悩を一つずつ取り去るための除夜の鐘、揚句の様に去ってくれるといのですが、願望でしょうか。皆様佳いお年をお迎え下さい。

頑張れるハイビスカスの小晦日

12月31日

季語・・・小晦日(こつごもり)。
大晦日の前日を小晦日と言います。ハイビスカスの最後の蕾が開きました。(咲かずに落ちると思っていました)今年は頑張りました。背景の雪との対比をご覧ください。

一人飲む疫禍にけぢめ年忘

12月30日

季語・・・年忘(としわすれ)、忘年会。
今年も忘年会、明年の新年会の案内はありませんでした。2年続けての中止は何か物足りなさを感じますが、我慢するのが務めと得心しております。
「疫禍」という熟語はありませんが分かって頂けると思います。「疫禍にけぢめ」が創意。

掛け声を控へめにして飾売

12月30日

季語・・・飾売(かざりうり)。
例年3軒程出店していた「飾売」は、今年は1軒だけです。売り子も声を発せず静かに売れるのを待っています。これもコロナ禍の風景の一端なのでしょう。活気がなくて、私は量販店で買いました。

修行終えほころぶ梅の白新た

12月29日

季語・・・梅。
外で雪を被って寒さに耐える修行をした盆梅が咲き出しました。今年は紅梅の方が早く六部程、白の枝垂れが3分程、白梅は遅く一輪だけ咲いています。外は雪景色で厳しい寒さですが、一足早く新春の装いです。「白新た」が創意。

氷紋に朝日散らばる年の暮

12月28日

季語・・・年の暮、氷紋。
年末寒波の襲来で寒く、雪の多い年の瀬になりました。日本海側の東北から九州まで、日常生活に支障が出ている様子に心が痛みます。窓ガラスが氷り模様が出るのを「氷紋」と言います。寒い時の美しさを愛でる余裕が北国にはあります。

登校の道を割りゆく氷面鏡

12月27日

季語・・・氷(こほり)、氷面鏡(ひもかがみ)。
26日の早朝、札幌は零下15度以下になり「年末寒波」と報じられています。昼間解け出した水たまりも氷りつき鏡のように光りを反射しています。「道を割りゆく」と表現してみました。

通学路の弾まぬ朝や冬休

12月27日

季語・・・冬休(ふゆやすみ)。
25日前後で学校は冬休みになりました。登校時の賑いはなく静かな通学路になっています。「通学路の弾まぬ」と表現してみました。

拳揉む五指の手袋空にして

12月26日

季語・・・手袋。
数日、真冬日が続き所謂、クリスマス寒波が襲来しています。
寒くなってくると五指の手袋をはめていても指先が悴んできます。手を握って揉むと少しはあたたまりますがその時、手袋の指先は空になっていますね。北国の生活ならではの実感です。

数へ日の十指に余まる今年かな

12月25日

季語・・・数へ日(かぞえび)。
今年も残すところ7日となりました。季語に「数へ日」があります。「もう幾つ寝ると・・・」童べ歌のように楽しい事を考えて年を送りたい物です。詠嘆の切れ字「かな」により句を広げました。

雪置けば立派な聖樹高野槙

12月24日

季語・・・雪、聖樹。
拙宅の庭で一番背が高いコウヤマキ(高野槙)、先日の大雪では雪を被って聳ち、聖樹(クリスマスツリー)の雰囲気が漂っていました。「雪置けば」が写生。

遠くより始め近くへ賀状書く

12月23日

季語・・・賀状書く。
年賀状は25日までに投函すれば全国どこでも元日に配達されるとは聞いていとも、遠方の方より書き始めるのは私だけでしょうか?近くの方(市内)へは毎年最後の投函となってしまいます。

日の力めっきり萎(な)えて冬至風呂

12月22日

季語・・・冬至(とうじ)風呂、柚子湯。
22日は冬至、柚子(ゆず)湯に入いると風邪をひかない等、無病息災でいられるとの俗信があります。明日からは少しずつ日の力が戻ってきます。寒さで委縮した体をお風呂で温めて年の瀬を乗り切りましょう。

一陽来復=この日から陽気が復する。

新雪のやまぬ札幌詩情満つ

12月21日

記録的な大雪も小休止、札幌は新雪に埋れて生活しています。住人には厄介な雪も、旅行者には焦がれの風景に映るのでしょう。「詩情満つ」と表現してみました。

15日の「古酒」での写真に反響があり、尋ねられたので補足しておきます。
イタリアワイン 1982年産ビオンディ・サンティ社 ブルネッロ ディ モンタルチール

しんしんと降る雪忙しなき除雪

12月20日

道内は18日にかけ記録的な大雪になり、札幌は18日午前5時までに55センチの積雪がありました。平年より10日遅い根雪になる可能性があると気象台の予報。住民は終日、雪掻に追われました。「降る雪」で切れる句またがりの技法を使って雪と人を描写してみました。

新雪は枝盛りあげて白繁る

12月19日

17日の未明からの降雪は18日朝まで続き、札幌の積雪は50㎝を超えました。気温も真冬日が続く予報で本格的な冬の装いです。湿った雪なので枝などに着き盛りあがっています。「白繁る」が創意。(青葉繁ると言いますので)

金の字を揮毫の貫主悴みて

12月18日

季語・・・悴む(かじかむ)。
年末恒例の「今年の漢字」は、4たび「金」でした。当教室でも企画展として行いましたが、当てるより「自分の字」として書いているようです。毎年、揮毫(きごう)する京都、清水寺の貫主(かんず)様は悴んだ手であれだけの見事な書作、いつも感心しています。

新雪の札幌美しき夜明け

12月18日

季語・・・新雪(しんせつ)。
17日未明から雪が降り続き札幌も10cm以上の積雪です。春の雪の様な湿った雪で細い枝にまで付いて見事な雪景色です。週末から気温が低くなる予報なので根雪になるかもしれません(私はまだの様な気がしますが・・・)
夜明けを美しくと詠んでみました。

強霜の生気固めて輝きぬ

12月17日

季語・・・強霜(つよしも)。
札幌の雪はすっかり解けてしまい、師走の感じがしません。今朝は強い霜がおりていましたが、朝日にすぐ解けてしまいました。「生気固めて」が創意。

黙食をポインセチアに救はれて

12月16日

季語・・・ポインセチア。
来年も暫くは「黙食」が続くような情勢、皆さん協力し合ってやり過すしかありませんね。句意は、黙々と食べている時、目に付いたポインセチアの華やかさに少し救われましたとの意。工夫しながら楽しく過しましょう。

新酒古酒酸いも甘いもかぎ分ける

12月15日

季語・・・新酒古酒(しんしゅこしゅ)。
昔は、収穫後すぐ酒を仕込んだので秋の季語になっていますが、今は寒造りが主流とか。ワインのボジョレーヌーボーも話題になりますね。「酸いも・・・」の慣用句を借りて(1字入れ替えて)俳味を出してみました。お酒の香りは大事ですものね。写真は私が持っているワインの中で一番古い物です。

新雪の筋往来のタイヤ痕

12月14日

13日の朝は一面の雪景色、札幌でも10cm以上は積もりました。今季、3度目程の積雪です。気温は零下なのですが朝日に道路面は解け出し、まだ根雪にはならないでしょう。往来を写生してみました。「新雪の筋」に発見がありました。

水鳥の薄暮に浸みる冬の影

12月13日

季語・・・水鳥(みづとり)。
新琴似を横切って流れる「安春川」に鴨が群れて泳いでいました。渡りをしない留鳥と思われますが、厳寒に向かっての時期、これからどのように過すか案じられました。「影」にその気持ちを込めて、「薄暮に浸みる」が創意。

梢越しの青空の紺冬木立

12月11日

季語・・・冬木立(ふゆこだち)。
葉を落とした裸木の枝越しに青天の紺がまぶしく輝いている風景。紺といっても冬の葉薄く藍色に近いが、今秋は穏やかな冬晴れが続き過し易かった印象が強い。「梢越し」が写生です。

寛ぐ部屋五体広げて日向ぼこ

12月11日

季語・・・日向ぼこ、日向ぼこり。
今週は好天続きで、外は寒いのですが、日向の部屋はストーブなしでも暖かく部屋が「寛(くつろ)ぐ」ように感じます。(本来なら人が寛ぐのでしょうが…)手足を伸ばしてと言わず「五体広げて」と表現してみました。写真は、夏からまだ咲き続けている拙宅のハイビスカスです。

帰り花時刻間違へ時計草

12月10日

季語・・・帰り花、返り花、狂い花。
時計草も暖かいので間違えて咲き出しました。今年は返り花の種類も多く(本来は桜に言う)困惑します。何事もなく新年を迎えられると良いのですが...
「時刻間違へ」に創意。

ひっそりと淡き朝顔狂ひ花

12月10日

四季咲きの朝顔も咲き出しました。冬期間は休眠するはずなのに正に「狂い咲き」です。

落葉踏む音に戯れ靴軽ろし

12月9日

今週は暖かく先週に積もった雪もすっかり消えてしまいました。公園のネット裏に溜まっていた落ち葉も乾いた音を立てていました。靴も冬靴からまた軽い夏靴へ逆戻りです。

街騒を押さへ焼藷売りの声

12月8日

季語・・・焼藷(やきいも)、焼芋。
向寒の時期、焼いもが好まれる頃でもあり、「焼いも~」の音声が届きます。今は車で売りに来たり、スーパーなどの駐車場に止めて売っています。「街騒(街の騒音)」は変わらないので、「押さへ」に創意があります。

手を揃へ薪ストーブのやはらかさ

12月7日

季語・・・ストーブ。
先日、薪ストーブの暖かさが柔らかいとの話しをラジオで聴き、子供の頃の薪ストーブでの生活に思いを馳せました。生活の中心に薪ストーブがあった事などを懐かしく、暖かく思い出しました。「手を前へ」に実感を込め詠みました。

雪被り朱を縮めゐる七竈(ななかまど)

12月6日

先週札幌では、10㎝以上の積雪があり、(今は全部解けています)一面雪景色になりました。ナナカマドは葉を落とし実が赤く色づいています。雪を被った実は色を引き締めて小さくなりました。それを「締め」と写生しました。

紋切の喪中欠礼見て師走

12月5日

季語・・・師走(しはす)、極月。
11月中旬過ぎから「喪中欠礼状」が届く時期になりました。以前は直系2親等に使っていましたが、今は際限なく届くので頂いた方も判断に迷います。喪中欠礼と寒中見舞両方を出さないと却って失礼になる事をお忘れなく。「紋切(もんきり)型」にその思いを込めました。

間違ひも美(うま)しガーベラ返り花

12月4日

季語・・・返り花(かへりばな)、帰り花。
美し=古語(良い、すばらしい)。
拙宅のガーベラは夏には地植えをして、冬は鉢に移植します。何を間違えたか12月に1輪開花しました。桜などは返り花としてよく聞きますが、これも気候の変動のせいでしょうか。返り花は別称「狂い咲き」とも言います。古語を使って格調高く詠んでみました。

ひと山で売られ歪(いびつ)な林檎達

12月3日

季語・・・林檎(りんご)。
教室の周辺(麻生駅)では、安売りの八百屋が2件(100m間隔)並び、安さで鎬(しのぎ)を削っており、色々と話題になっています。「訳あり」と書かれ驚く程の安値で売っています。私も休憩時間に行って見ては楽しんでいます。写真の林檎は凹みがあるからと200円でした。

反り返る色の華やぎシクラメン

12月2日

季語・・・シクラメン、篝火花(かがりびばな)。
師走になると店頭には、ポインセチアとシクラメンが並びます。いつの頃からか年末の花に定着しました。色合いも増えて「華やか」です。花びらが反り返っているように見え不思議な魅力を醸し出します。

盆梅は屋外で雪を被らせて

12月1日

季語・・・盆梅(ぼんばい)=鉢植えの梅。雪。
拙宅の盆梅は今、屋外で雪を被って寒さに耐え修行中です。もう少ししてから屋内に取り込み、日に当てると開花します。この厳しさは必要で、人間にも当てはまると思います。「被らせて・・・」と省略をして、あとは読み手に委ねます。

2021年11月

風梳きて遊ぶ声梳(す)く枯木立

11月30日

季語・・・枯木、枯木立(かれこだち)。
枯木立=冬になって葉を落とし尽した木。枯れたかのように見えるのでこういう。吹いてきた風を髪を梳くように、声まで梳いている枯木立。表現に誇張もありますが、季語からの連想として許容されるでしょう。

根雪にはならざる雪の降り続く

11月29日

季語・・・雪、根雪。
初雪のあと、札幌は連日雪が降っています。ただこの雪はまだ根雪にはならないと思います。これは経験上生活の知恵として身についています。積もっては解けるを繰り返してから真の冬へと移行します。札幌は27日、今季の初積雪を観測しましたが午後には解けてしまいました。「ならざる」が創意。

ひとまはり年輪の増へ菰巻て

11月28日

季語・・・菰巻(こもまき)、藪巻(やぶまき)。
教室の近くで樹木に菰巻を施している庭を発見。趣きのある雰囲気で素敵でした。冬期間、菰に虫などを集めておき春に外して燃やす。昔ながらの植木職人の技です。「年輪の増へ」が創意。

日を透かし裸木は幹引き締める

11月27日

季語・・・裸木(はだかぎ)。
葉をすっかり落し幹や枝の骨格だけになった木を裸木と言います。寒さに向かうこの時期に合った呼称ですね。人間は厚着をして寒さ対策をしますが、木は「幹を引き締める」と写生しました。

雪吊の松を伸ばして括(くく)りつけ

11月26日

季語・・・雪吊(ゆきつり)。
大木、松など枝ぶりの良いのを守るのを雪吊といい、真ん中に支柱を立て、縄で放射状に枝を吊ります。木より高い支柱を立てますので「伸ばして」と表現しました。これも雪国の風物詩です。

銀杏落葉地を風にそめにけり

11月25日

季語・・・銀杏(いちやう)落葉。
初雪が消え、銀杏もほとんどが葉を落としてしまい、地を黄金色に染めてます。「風を染め」が創意。落葉掃きに皆さん精を出す毎日です。

三角に支柱整へ雪囲

11月24日

季語・・・雪囲(ゆきがこひ)、雪構。
雪囲の支柱や添え木は三角形の円錐に組むことが多いです。空へ向かって三角に編み上げてゆく囲いは雪国の庭の風物詩。「整へ」方に住む人の人柄が滲み出ています。

早やすぎる聖樹の街や小六月

11月23日

季語・・・小六月(ころくぐわつ)、小春。
小六月とは、11月の別称。21日から札幌のホワイトイルミネーションが始まり、全国各地でも電飾がすでに開始されているようです。店頭では11月に入るとクリスマスツリーが飾られていました。私の感想ですが、少し「早やすぎ」と思っています。

凩や雪晃木の輝く実

11月22日

季語・・・凩(こがらし)、木枯し。
立冬を過ぎてからの強い北風を「木枯し」と称し、中央圏では1号、2号と数えます。セツコウボクの実は、雪が積もっていると目立たないが、今は日をはじき輝いています。凩との取り合わせの妙を感じて下さい。札幌の初雪は19日、深夜にみぞれが降り初雪と観測されました。(写真は20日の早朝)

三日月の弓より放たられし星

11月21日

季語・・・三日月、半月、月。
月のそばに明星が必ずつきます。まるで三日月より放たれた様に。19日の午後6時過ぎに部分月食(ほぼ皆既月食)が札幌でも見られました。(写真)
過去に皆既にならず大きく欠けた月食は1881年12月までさかのぼるという。壮大な宇宙ショーでした。

初雪や市街地にまだ届かざる

11月20日

札幌の初雪の遅い記録は20日とか。予報では20日未明に降るそうだが、ふらなければ観測史上、最も遅い初雪として記録に残ります。写真は16日の手稲山の冠雪です。「届かざる」が創意。

葉が落ちて蔓の鮮か梅擬

11月19日

季語・・・梅擬(うめもどき)。
今年のウメモドキの実は不作でした。昨年は枝にびっしりと連なっていたのに(春先に強く剪定したのが原因か)教室に飾ることもできません。紫式部の実も凶作、ほとんど実をつけませんでした。ベニシタンの実は豊作でびっしりと犇き合ってます。
自然界は不思議ですね。

お社を落葉重なりやはらかに

11月18日

社(やしろ)=神社の落葉樹の葉がすっかり落ちて地に敷かれ、柔らかに重なり合っています。これからの積雪から大地を守るかのように。今は神無月(かんなづき)で八百万(やおよろず)の神々が出雲大社に集まり、神様が留守の神社、無事を祈るかのように。

色褪せぬ香りを纏ひ冬薔薇

11月17日

季語・・・冬薔薇(ふゆさうび)、冬ばら。
立冬を過ぎても雪が降らないのでバラが寒さに耐えながら咲き続けています。色がくすみ、開ききらなくても香りをまとい気高く咲いています。「色褪せぬ香り」が創意。

釣瓶(つるべ)落し庭の黄葉の暮れなづむ

11月15日

季語・・・釣瓶落し(つるべおとし)、黄葉。
今は午後4時を過ぎると一気に暗くなり、まさに「釣瓶」が井戸に落ちるような感覚です。冬至まで昼間は短くなり夕闇が身にしみます。句意は辺りが暗くなっても黄葉(もみじ)は明るく暮れ残っていますとの写生句です。

風撫でるポンポン菊のかはゆさに

11月15日

季語・・・菊、ポンポン菊。
「かはゆい」文語を使って「ポンポン菊」を形容してみました。「風撫(な)でる」が創意。菊もそろそろ仕舞いの時期、枯れ菊も風情があり捨て難いですね。

日向ぼこ分けあふ鳩とベンチかな

11月14日

季語・・・日向(ひなた)ぼこ、日向ぼっこ。
立冬過ぎの暖かい日射しに当たる事を「日向ぼこ」と言います。句意は鳩とベンチが仲良く日向ぼこをしている風景。自分を登場させると格調が低くなるのでこの様に詠みます。客観写生です。

大通公園紅葉黄葉中(なか)

11月13日

10日、読売書法展の帰りに久し振りに大通公園に寄りました。既に雪囲も始まっており、ホワイトイルミネーションの準備も行われていました。今年は暖かいですが、師走に向かって動き出しているのですね。全て漢字でも俳句は詠めるのです。

日をまとひ銀杏黄葉の影は黄に

11月12日

季語・・・銀杏黄葉(いちゃうもみぢ)仮名書きでは「いてふ」。
在住の新琴似の主要道路に銀杏並木があります。日当たりによって違いがあり、全身黄金に輝いているもの、散り初めているもの、まだ青い葉のもの、木々に個性があり楽しめます。「影は黄に」が創意です。

早ばやと覚悟を見せる雪囲

11月11日

季語・・・雪囲(ゆきがこひ)。
8日、拙宅の庭の雪囲をなんとか終えました。今年は暖かく好天に恵まれていましたので、枝を整えたり、下草を省いたり、例年より時間をかけて作業を終えました。冬へ向う覚悟も出来たのではと自負しております。「早ばや」はすでに10月中に終えている家に対しての労いです。

参道を動かす落葉埋めゐる

11月10日

季語・・・落葉(おちば)。
参道は動くはずがないので動いているのは落葉ですね。それをあたかも「参道を動かす」と感じるのが詩心です。見ただけではなく、感性で捉えると俳句になります。

花梨の実いびつで豊かなる香り

11月9日

季語・・・花梨(くわりん)の実。
花梨(榠樝)の実は渋く生食用には適さないが漬けて咳止めにします。実はいびつですが、豊潤な香りがして1顆、玄関などに置いておくと豊かに暮らせます。句は写生のみとしました。

立冬や覚悟の足らぬ吾の暮し

11月8日

7日は立冬でした。今年は暖かいので実感は薄いですが、冬の季節となります。「覚悟の足らぬ」とは、雪囲も半分残っていますし、気持ちはまだ秋を楽しんでいるの意。北海道の冬は覚悟がないと乗り切れませんね。今年の札幌は初雪、初霜、初氷など、まだ経験していません。
足(た)る=文語。吾(わ、あ)=古語。

駅前を静かに濡らす初時雨

11月8日

季語・・・初時雨(はつしぐれ)。
立冬を過ぎて初めての時雨(降ったり晴れたりする雨)を初時雨といいます。定めなき、はかなさが本意にあるので「静かに濡らす」と表現してみました。

庭の空眩しく紅葉黄葉なる

11月7日

季語・・・紅葉(もみぢ)、黄葉(もみぢ)。
庭の木々も紅葉し散りはじめました。それぞれの色や形に違いがあり冬支度をしながら眺めては楽しんでいます。日が眩しいのか、もみぢが眩しいのか「なり、なる」の古語の力により、もみぢの方が眩しいですよと断定しています。

壁面を晴れやかにして蔓紅葉

11月6日

季語・・・蔓紅葉(つるもみぢ)。
蔓(つる)、蔦(つた)紅葉は、夏は壁や者にからまり伸びて青々と葉を繁らせ、秋には赤や黄色に紅葉します。日当の良い処は鮮やかな色合いで見事です。句は「晴れやかにしたのが壁面」なので詩になるのです。

大根干す暮しつましく輝きぬ

11月5日

季語・・・大根(だいこ)干す。
今では珍しくなった(都会では)大根を干して沢庵漬けにする風物詩もまだ時折見かけます。昔の様に稲架(はさ)掛けにして何百本も並べるのは見かけなくなりましたが、数本を「つましく」と文語で表現しました。輝くのは干したばかりの大根だからです。

細やかに鋏(はさみ)操り松手入れ

11月4日

季語・・・松手入。
松は常緑樹なので雪を被ると樹氷し枝が折れ易いので、剪定をします。ベテランになると鋏の音でリズムをとりながら軽快に剪っていきます。私ども素人は剪ってから離れて眺め、樹形を整えてゆきます。「操(あやつ)り」とまではいきません。

日展へ暮秋の都内駆け足で

11月3日

季語・・・暮の秋、暮秋(ぼしゅう)。
1日、第8回日展へ行ってきました。日帰りで滞在時間が短く(移動時間を含み3時間)徒歩の所は全て駆け足で移動するハードな時間設定でしたが、会場の雰囲気に包まれやっと今年の書作の集大成を実感致しました。
偶然に有岡先生にお会いでき「毎年、入選出来るようになったね」と満面の微笑みで言って頂き感激致しました。

今年また反古積み重ね文化の日

11月3日

季語・・・文化の日、明治節。
3日は文化の日、文化に貢献した人に文化勲章を授与し、各地で文化祭、芸術祭が催されます。読売北海道展は10日より開催されます(札幌市民ギャラリー)。
句は、今年も書作の反故(ほご)紙を沢山積み上げて作品を書き続けましたの意。「積み重ね」に思いを込めて。

道の辺(べ)の嫁菜に屈み親しめり

11月2日

季語・・・嫁菜(よめな)。
嫁菜も野菊の一種ですが、いたる所に咲いていて親しみのある野草です。色も多種ですが、総じて淡い色合いが多いと思います。「屈(かが)み」に親しみを込めて表現しました。

座りよきいびつな南瓜ハロウィン

11月1日

季語・・・南瓜(かぼちゃ)。
31日はハロウィン、教室の学童会員も一生懸命、怖い物を作って教室のボードに貼り付けました。(怖い物を置くと悪霊が寄りつかないとの言伝え)
「ギャラリー」にその様子を載せました。句は、「いびつ」なので「座りがよい」と俳味を利かせました。

青空をさびしく広げ枯木立

11月1日

季語・・・枯木立。
葉をすっかり落とした樹木を「枯木立」と言います。主観的な「さびしい」なら良くありませんが、「青空」だから写生になるのです。虚子が誦えた客観写生です。

2021年10月

親戚の多い一家や野紺菊

10月31日

季語・・・野紺菊。
この句を読んで理解できる方は、相当の博識でしょう。野菊は種類が多く似た様な花が沢山あり、名前も多いです。興味がおありでしたら検索してみて下さい。
切れ字の「や」はそこで意味が一度強く切れます。「親戚の多い」と季語共通点です。

紅葉のドウダンツツジ今火照る

10月30日

季語・・・紅葉(こうえふ、もみぢ)。
ドウダンツツジの紅葉は群を抜いた赤色で見事です。生垣によく植えられているので更に目を魅きます。まさに「火照(ほて)る」ような赤です。

複雑に桜紅葉は日を返す

10月30日

季語・・・桜紅葉(さくらもみぢ)。
桜紅葉は1枚ずつ模様が異なり複雑な色合いです。日に当った所は赤くなり、日陰の葉の色も深く紅葉します。「日を返す」が創意。

浜菊の雪降る前に白極め

10月29日

季語・・・菊。
浜菊の大振りの白は遠目にもそれとわかる重厚さがあります。まるで雪が降り積もった様な白さです。これも雪が降る前の充実です。それを「白極め」と表現してみました。

面映ゆくカメラにポーズ七五三

10月28日

季語・・・七五三。
全国的には七五三は11月ですが、北海道は10月に行う所が多いです。(雪が降る前に行う)最近の子供はスマホで撮影する事に慣れていて、ポーズも格好良く決めますが、七五三の衣裳での撮影はやはり緊張するのか顔も強張りがち、それを「面映(は)ゆく」と表現しました。

日に焼かれ毬栗落ちて割れにけり

10月27日

季語・・・栗、毬栗(いがぐり)。
樹上では濃い緑のイガグリが薄茶色となり、地面に落ちて割れる時には濃い茶色になるので「日に焼かれ」と表現しました。先日は栗ご飯を頂戴致し、実りの秋を実感しております。

うそ寒の傘持たぬ手はポケットへ

10月26日

季語・・・うそ寒(さむ)、うそ=簿の転訛。
先週は雨が降り続き寒い一週間でした。風の強い日もあり、揚句の様な情況でした。帰路には(夜間)手袋をはめて戻りました。

サルビアの遠くに燃ゆる焔(ほむら)とも

10月26日

季語・・・サルビア。
夏から咲き続けているサルビアは、高さを伸ばしながらまだ赤を充実させています。咲き様が「炎」に似ているので、遠目に「燃ゆる焔」に見えますと写生しました。

風切りてクラジオラスの花守る葉

10月25日

季語・・・クラジオラス。
クラジオラスは夏の花ですが、雪が降るまでは咲き続けています。葉が剣に似て切先(きっさき)が鋭く、風を切っているかのよう。
守(も)る=古語。

溌剌(はつらつ)と雪来ぬ前の石蕗の花

10月24日

季語・・・石蕗(つは)の花、つはぶきの花。
例年、石蕗が咲く頃には雪が降り、その寒さに耐えながら咲くのですが、今年はまだ雪もなく暖かいので伸び伸びと咲いています。「溌剌」と表現してみました。

黒真珠てふ唐辛子摩訶(まか)不思議

10月23日

季語・・・唐辛子(たうがらし)。
黒真珠(ブラックパール)という名称の唐辛子を見つけました。鑑賞用の唐辛子は上向きに実をつけたり、丸いのがあったり色々です。色も緑や赤とは限らず面白いですね。「てふ」は「という」の古語。摩訶は「大きいこと」=とても、ひどく不思議。

揺れながら風を抱きしめゐる紫苑

10月22日

季語・・・紫苑(しをん)。
紫苑の丈は1mを超えます。風に揺れる様は、他とは違い固い直線的な揺れなので風が巻きついているかの様。「風を抱きしめ」と独自の解釈をしてみました。

来る風に大蓼垂れて被さりぬ

10月21日

季語・・・蓼の花、犬蓼(たで)。
大蓼(大犬蓼)は1m以上にもなります。花穂は柔らかく垂れているので「風に被さる」ような揺れ方をします。茎は節くれだっていて、風には負けぬ強さがあります。

寄せつけぬ紫極め鳥兜

10月21日

季語・・・鳥兜(とりかぶと)、鳥頭。
庭の隅に植えてある鳥兜、夏に枯れた様になっていたのでそのままにしていたのですが(有毒なので触れたりしない)見事な花をつけていました。この様を「寄せつけぬ紫」と表現しました。

目を閉じて浮かぶ残像十三夜

10月20日

季語・・・十三夜(じゅうさんや)、後の月。
18日は十三夜。十五夜は曇りがちでしたが、雲なく美しい月夜でした。十五夜の残像を思い浮かべながら十三夜の月を賞でる。これが本来の「月見」です。片方だけだと「片見月」と言って縁起が良くありません。日本古来の月見は十三夜の方です。(十五夜は中国からの伝来)。

月光を被り厨(くりや)の鍋布きん

10月20日

季語・・・月、月光、月影。
月光を被る(照らされる)と何でも美しく淡く光ります。台所の鍋、布きんまでも美しいと感じます。拙宅の矢筈芒が供えるのに間に合いました。(写真)

初霜や北海道をきゆと締め

10月19日

季語・・・初霜(はつしも)。
17日、札幌市内ではまだ霜も降りていませんが、中山峠では初雪で吹雪だったとか。平年より2~13日、昨年より17~18日早いという。今年は暖かいと思っていた折、急に寒さが到来しました。「きゆと締め」が創意。

イヌリンゴてふ小林檎赤あまた

10月19日

季語・・・林檎(りんご)。
珍しい果実が木立にびっしりと実っているので調べましたら「イヌリンゴ」との事。食べられるのでしょうか?「あまた」(数多)=たくさんが写生です。

これからに思ひをはせるななかまど

10月18日

季語・・・七竈(ななかまど)。
ななかまどの実が赤く色づき、木も紅葉してきました。そろそろ冬支度をしなければと思いつつ遅々として進みません。「これからに」にその様を思い込めてななかまどを眺めています。

紅葉のコキアは風を低くして

10月18日

季語・・・紅葉(こうえふ)。
近頃、家の回りに「コキア」を植えている庭をよく見掛けます。夏は涼しげな薄緑色で風に戦いでいますが、この頃は赤く紅葉して趣きが違います。表情の豊かな植物です。「風を低く」が写生です。

僥倖(ぎょうこう)の喜び倍に虹二重

10月17日

季語・・・虹、二重(ふたへ)虹。
15日の夕刻、通り雨の後、北の空に虹が掛かりました。ほんの10分程度で消えましたが、一瞬二重になり暫く見惚れていました。剪定をしていたので気が付きましたが、皆様はどうでしたか?この様な事を僥倖と言います。

虹の脚跳び弾ねつかむ仕草の子

10月17日

虹の地表に近い(太くて濃い)部分を「虹の脚」と言います。気がついた子供達が跳び弾ねて、まるで虹を掴もうとしているかの様に見えました。

丹念に粒を残さず今年米

10月16日

季語・・・新米、今年米。
幼い頃、米は農家が丹精を込めて育てたのだから、ひと粒も粗末にしてはいけないと教えられました。今もその教えは肝に銘じております。「粒を残さず」に思いを込めました。

花びらに日の勢ひのあるダリア

10月16日

季語・・・ダリア。
今年は季節が1か月程遅くなっている様な気がします。ダリアが今咲き誇っています。独特の色合いで南国の雰囲気を醸します。「日の勢い」と表現してみました。遅霜でまだ花が楽しめます様にと願います。

向日葵の枯れて黄葉に紛れ込む

10月15日

季語・・・紅葉、黄葉(こうえふ、もみぢ)。
枯れたままで佇っている向日葵にひと夏の残像、疲れなどが見え寂寥感が漂います。もうほとんどが抜かれて処理されていますが、黄葉(もみぢ)に紛れて残っているものもあります。

日と共に充実の日々柿熟るる

10月14日

季語・・・柿、熟柿(じゅくし)。
通勤で(徒歩)通る道に柿の木があり、日々の移ろいを楽しませてもらっています。春の芽吹きから青柿、色付き、熟柿、木守柿へと見飽きることがありません。「日と共に」は太陽と共にです。
熟(う)るる=文語。

麗しき日本の情緒菊飾る

10月13日

季語・・・菊。
菊は日本の象徴(皇族の紋章)です。菊=麗(うるは)し(古語)が連想され、「日本の情緒」となり、世界に誇る美意識です。

突と地震(なゐ)稲穂の国の宿命ぞ

10月12日

季語・・・稲、稲穂。
11日の未明に軽い揺れで目が覚めました。7日には首都圏に震度5強の地震があり、その前には東北での地震もあり、10月に入って続く揺れに不安が募ります。「宿命」と覚悟を決めて準備だけは整えて暮らそうと思います。

そよ風の撫て過ぎ去る檀の実

10月12日

季語・・・檀(まゆみ)の実。
マユミの実(ツリバナ)が熟して弾け、風に揺れています。「撫(な)でる」が創意。

工夫して運動会を終へにけり

10月11日

季語・・・運動会。
先週の土曜日、札幌の小学校は運動会を催す学校が多く、賑っておりました。感染予防に務め、工夫をしながらの行事で、関係者の皆様の心労をお察し致します。「終へにけり」に無事に終わった感慨を込めました。

その辺の目立たぬ可憐草の花

季語・・・草の花。
その辺の草が花を付け、実を付けて冬に向かおうとしています。派手さはないがよく見ると趣きのある形、風貌をしています。可憐(かれん)さの中に生命の神秘を宿しています。「目立たぬ可憐」が創意。

葉裏見せ秋海棠のお洒落かな

10月10日

季語・・・秋海棠。
秋海棠の葉裏は真っ赤で見事です。花はピンクで可憐なだけに内に秘めた情熱みたいなものを感じます。この句では「お洒落」と表現してみました。近所では見かけないので珍しいのかもしれません。

空耳か今宵今宵と虫の聲

10月9日

季語・・・虫の声、虫の音。聲=声の本字
今年は虫の声をあまり聴かなかった様な気がします。今宵(こよい)=大和言葉。「今宵は、今宵は」と鳴いている様に聴こえる虫もいて、風流だなあと感じたことを詠んでみました。

風来ると花虎尾草のじゃれつきぬ

10月9日

季語・・・虎尾草(とらのを)。
虎の尾を逆さにした様な花形をしていて風に枝垂れかかり、まるで「じゃれついて」いる様に見えます。「猫じゃらし」とは違った雰囲気を醸します。

鈴薔薇の実を潜(くぐ)る風火照りゆく

10月8日

季語・・・薔薇の実。
春咲きの花はそれぞれに実や種をつけ始めています。バラの実はあまり目立たず地味ですが、鈴バラは実もたわわに付き薄紅色から真紅に近い色まで日々に色彩りを楽しませてくれます。「潜る風、火照り(ほてり)」が創意。

連なりて尾で水を釣る蜻蛉かな

10月7日

季語・・・蜻(とんぼ)、秋津(あきつ)、秋茜。
涼しくなりトンボを見る機会が増えました。連なって水に卵を産みつける様を「水を釣る」と形容します。これを少し丁寧に詠んでみました。

今は密避けるのがベスト葡萄房

10月7日

季語・・・葡萄(ぶどう)、巨峰。
栽培技術が進んで今のブドウ房は粒がびっしりと連なっています。コロナ禍で人との距離に気をつけなければならない昨今、何か物足りなさが漂います。季語を上手に使うのが俳句のコツです。

小鳥来て木立の空の青弾む

10月6日

季語・・・小鳥、小鳥来る。
庭や近くの公園にも鳥が沢山来るようになり木々が明るく囀っています。青空が囀りの声を更に明るく、まるで弾んでいるかのような賑やかさです。
「青弾む」が創意です。

二度となき模様に燃ゆる大夕焼

10月6日

季語・・・夕焼(ゆふやけ)、ゆやけ。
先週末、西の空が明るいので見上げると見事な夕焼けでした。夕日と雲で織りなす模様は千差万別、今だけの至福と写真に残しました。
燃ゆる(文語)。

漣(さざなみ)を起こしオリパラ秋深む

10月5日

季語・・・秋深。
俳句での略語は避けた方が良いのですが、この時期なら「オリパラ」は許されるのではと詠みました。「漣」に思いを込めて良い方向への変化を望みます。

秋薔薇凝縮したるたたずまひ

10月5日

季語・・・秋薔薇(そうび)。
春から初夏に咲いたバラは暑さにひと休みして、秋にまた咲き出します。少し長い振りになるが、香りは芳醇になります。これを「凝縮」と捉えました。「たたずまい」にばらの気品の高さを表現してみました。

払ひても妙に五月蠅い秋の蠅

10月4日

季語・・・秋の蝿(はへ)。
先週、換気で窓を開けているせいか、教室にハエが数匹進入し、飛び回っていました。子供達は手で打ち落とし退治していましたが、まだ勢いがあり、五月蠅い(うるさい)ハエでした。

すっと伸び秋明菊の固きゆれ

10月4日

季語・・・秋明菊。
菊が咲き出しましたが、「秋明菊」は形態が特殊です。葉が大きく茎が固く長く伸びて花をいっぱい付けます。それを、「すっと伸び」「固きゆれ」と表現しました。

さりげなく風に色置く杜鵑草(ほととぎす)

10月3日

季語・・・杜鵑草、時鳥草(ほととぎす)。
花の内側の模様が鳥の時鳥(ほととぎす)の胸毛に似ているのでこの名がついた。姿が柔らかで風に揺れる様が「風に色置く」と見ました。「さりげなく」との形容で表現できたでしょうか。写真の「黄杜鵑」は拙宅の鉢植えの物。紫のは秋明菊と一緒に撮ってます。

鶏頭の色を固めて強く見せ

10月2日

季語・・・鶏頭(けいとう)。
形態の面白い花です。鶏(にわとり)の鶏冠(とさか)に似ているのでこの名がついた。最近は色々の新種が出て見分けずらくなっていますが、色合いはビロードのような独特な風合いです。写真は槍鶏頭、葉鶏頭などが混ざっています。「色を固めて」が創意。

粒ごとに光る紫式部の実

10月1日

季語・・・紫式部、式部の実。
小さな粒が枝にびっしりと付いて豪華な様は優美で重厚である。小さな粒ごとに光を浴びている様は神々しい自然美に圧倒されます。春のピンクの可憐な花との対比も趣きがあります。

2021年9月

潮の香の流れ加はる珊瑚草

9月30日

季語・・・珊瑚草(さんごそう)、北海道の季語。
海に接する陸地(塩湿地)に植えるアッケシソウは、この時期真っ赤に色付きます。(網走、能取湖畔が有名)残念ながら私は実物をまだ見たことがありません。想像力で「潮の香」を連想しました。

枝先より風を流して萩の花

9月30日

季語・・・萩(はぎ)、萩の花。
萩をよく観察すると風に靡きながら風を枝先より搾り出す様な揺れ方をしています。それを「流して」と捉えました。俳句は季語が主役。「風」は脇役にしての俳句です。

札幌のやっと爽やかなりし朝

9月29日

季語・・・爽やか(さはやか)、爽涼、さやか。
札幌は例年お盆過ぎには、この季語が合いました。今年は秋彼岸過ぎになってしまいました。「やっと」に地域性が出ていると思います。

葉を持たぬ秋サフランのはかなさに

9月29日

季語・・・サフラン、(春)クロッカス。
サフランは春に葉を繁らせ、夏に枯れてから秋に花だけ咲かせます。クロッカスと同種なので雨などにすぐ朽ちます。「はかなさ」と表現してみました。因みに曼珠沙華(彼岸花)は、花が先で葉は後から繁ります。

露草や月の雫をまとふ朝

9月28日

季語・・・露草。
露草は露が結ぶ頃に咲くのでこの名がある。(月草とも)この事を先日、ラジオで知り調べましたらその通りでした。札幌だと初夏に咲いて秋には枯れているので夏の花だと思っていました。まだ学ぶ事は沢山ありますね。月の雫(しずく)が創意。拙宅の露草を写真に残しておきました。

地に色を松葉牡丹は散らばせて

9月28日

季語・・・松葉牡丹。
多様な色があり、組み合わせも数限りなくありそうな種の彩りです。地面に這う様に広がってゆきますので、独自の美しさがあります。「散らばせて」と写生してみました。

細やかに水引草は風ゆらす

9月28日

季語・・・水引草。
拙宅の水引草は葉が斑入りなので珍しいかもしれません。蕾が赤いうちが一番きれいですが、小さな花が密集して咲いてゆきます。名は体を表すといいますが、ピッタリな名称です。白花もあり、紅白になります。「風ゆらす」が創意です。

電飾の寺の広告秋彼岸

9月23日

季語・・・秋彼岸、「彼岸」だと春の季語。
今週の20日から1週間秋彼岸です。教室の近くのお寺に電光(ネオン)の広告塔があり、法事や葬式の案内、電話番号などを流しています。私だけかもしれませんが、一寸異和感があります。寺も営業をして構わないのですが、無粋な雰囲気です。

十六夜の余韻の闇にある雅び

9月23日

季語・・・十六夜(いざよい)、ためらう意「いざよふ」から。
今日から月は少しずつ欠けてゆきますが、二十日月まで名称があります。全てわかる人は相当の博識、月の出が遅くなるのを形容しての雅な名です。十五夜の「余韻の闇」が創意。日本人の感性は優美だと思います。
十五夜は「良夜」(りやうや)となりませんでしたが何とか月見は出来ました。写真は日付が変わってからの月です。

月今宵淡き影まで美しく

9月22日

季語・・・月今宵、望の月。
十五夜(21日)の月はご覧になられましたか。満月は毎月のように見ることは出来ますが、特にこの時期の月は美しく古来より「月見」の行事が催されています。今年、拙宅の矢筈(はず)芒は穂が出ていなく供えられませんでした。月見は収穫への感謝の意味もあるので団子、芋なども供えます。「芋名月」とも呼ばれます。句意は、名月に照らされた物は全て(影まで)美しい。

やっと雲間から月が出ました。

名月や心豊かな人とゐて

9月21日

季語・・・名月、望月(もちづき)、十五夜。
今年の十五夜は21日で8年ぶりに満月と重なり、19時から21時ごろが良いとの事。家族で見るのも独りで見るのも良いですが、「心豊かな人」となら名月が更に「まあるく」なるでしょう。

円満な会話となりし望の月

9月21日

「会話」ですので2人以上で月を見ています。月が豊かなので、おのずと会話の内容も円満な事でしょう。自然に癒されながら充実した時を過したいものです。写真は十五夜の2日前の月です。因みに前日は、「待宵」(まつよい)・小望月、「十三夜」は来月の満月の事(お間違えのないように)。

鍛へれば以外と元気敬老日

9月20日

季語・・・敬老の日、老人の日。
今日は敬老の日、句は人生訓みたいになりましたが、実感です。私も高齢者ですが、年々、体力が落ちていくものだと思っていました。体力を維持するのには努力が必要ですが、以外と落ちないのに気づきました。気力はやりたい事が沢山あるので益々充実しています。諸先輩、同輩の皆様、体も頭も鍛えましょう。

七竈(かまど)色づき初めし北の街

9月19日

季語・・・ななかまど。
句は素直に写生しただけなので簡単です。「竈」の字は今の小学低学年でも読めるのですね。「鬼滅の刃」に本字が色々と出てくるらしく時々教室でも話題になっています。意味までは知らないと思いますが、良いことだと思います。

鬼灯の点りしあたり暮れなづむ

9月18日

季語・・・鬼灯(ほほづき)。
暮れなづむ(古語)=暮れるのを遅らせている。鬼灯の朱が日の暮れるのを遅らせているが句意。古語を使うと格調は高くなりますが分かりにくくもなり、勉強の必要なところですね。先日、紫鬼灯の見事な株を見つけました。写真でご覧下さい(街路樹の根元にあった)。

大雪山北海道の初紅葉

9月17日

季語・・・初紅葉(はつもみぢ)。
季語と固有名詞2つ、助詞の「の」だけで詩になるのです。俳句の醍醐味です。あとは読み手の感性により深くも浅くもなります。是非、深く読んでみて下さい。「コメントに残す」に入力して下さい。深読みが出来た方に俳句を書いたハガキ箋を差し上げます。

急ぎ来る風を緩めてゐる尾花

9月16日

季語・・・芒(すすき)、尾花。
尾花のひと叢を見ていると風と戯れている様な揺れ方など見飽きることなく過せます。句は強めの風にからみ合い緩めているのを写生しました。まだ荒涼感はありませんね。

ひと株の芒は風を多く見せ

9月16日

この芒のひと株は方角の違う風を受け千々に乱れ揺れている様を写生しています。「多く見せ」で風が恰(あたか)も芒に来て増えたかのように感じさせます。

行き方は風に任せる草の絮

9月15日

季語・・・草の穂、草の絮(わた)。
草の絮の行くへを詠んだ句ですが、行き方を「生き方」に変えて読んでみて下さい。人生までも詠めるのが、俳句の奥深さです。頑張って生きるのも大切ですが、たまには「風に任せて」みては如何ですか。

天高し地面で遊ぶチョークたち

9月14日

季語・・・秋高し、天高し、空高し。
チョークが勝手に遊ぶわけはないので、描いた子供?たちは今は居ない事になります。子供たちが去った跡でまるでチョークが勝手に遊んだように捉えました。季語が春、夏のでも良いのでしょうが、「天高し」が句を大きく広げています。

揺れながら風に絡(から)みて猫じゃらし

9月13日

季語・・・狗尾草(ゑのころぐさ)、猫じゃらし。

「風に揺れている」が写生です。「風に絡む」ように見えたのが創意。視点を変えると当たり前の事が違って見えるのも写生の面白さです。季語が猫じゃらしだから活きるのですね。

梨の皮剥けば雫の滴りぬ

9月12日

季語・・・梨、二十世紀、洋梨。
梨が店頭に並ぶようになりました。洋梨も良いのですが、千両梨の固さも捨て難く味わいがあります。「雫が滴る」のは幸水梨あたりでしょうか素直に写生してみました。

括(くく)られて確かに花の吾亦紅

9月11日

季語・・・吾亦紅(われもかう)。
吾亦紅は自由に咲かせていると花は小さく色も地味なので気付かないことが多いように思います。くくられて束にした時にやっと花らしく見えます。でも愛好家の多い植物でもあります。「確か」にで存在感を表現してみました。

残暑まだ初雪草に被りゐる

9月10日

季語・・・残暑、秋暑し。
初雪草が咲き誇っていますが、残暑が厳しく季節に違和感があります。北海道の秋は足早やに過ぎるのが常でしたが、今年は違う様な気がします。「残暑が被る」が創意。

黄揚羽をとめてゆらぎし花うつぎ

9月9日

季語・・・揚羽蝶(夏の蝶)、花うつぎ(卯の花)。
花は房藤ウツギといい。重厚な出立ち、まるで揚羽蝶を止めさせて楽しむ如くゆらいでいました。偶然の出会いを写真と俳句に収めました。

熱帯の色は鮮か金魚草

9月8日

季語・・・金魚草(きんぎょさう)。
金魚草の花色は千差万別ですが、熱帯の雰囲気を醸しています。形態は金魚に似ていますが、熱帯魚に近い色合いと感じます。「鮮か」で句柄を強くしました。

五輪・パラ感動の夏終はりけり

9月7日

句の説明は要りませんね。多くの感動を貰いました。直近のパラリンピックには殊のほか教えられる事が多かったです。努力することの大切さを改めて示唆され原点に回帰させられました。新しいスポーツの魅力も教わりました。3年後のパリ大会まで心身共に鍛えて待つことにしましょう。

折れ曲がる風の悪戯秋桜

9月6日

季語・・・コスモス、秋桜(あきざくら)。
「風のいたずら」凡庸な表現ですが、折れ曲がっているのを見るとそう思えます。自然界には不思議な現象が時としてあります。衒わず、気負わず詠むのも、俳句の良い所です。

大柄なダリアは色も派手好み

9月5日

季語・・・ダリア。
ダリアが花を咲かせ続けています。ポンポンダリアのように小粒なのもありますが、大柄で派手(はで)な色彩がダリアの持ち味のような気がします。「好み」で花の持ち主の雰囲気まで句を広げています。

老いてなほ夢は青春青林檎

9月4日

季語・・・青林檎。
2日、車いすテニスダブルスで銅を獲得した諸石光照選手は54歳、3度目の挑戦でメダリストになった。今大会は若手の躍進が顕著だが、ベテラン陣も活躍しています。諦めずに続けられることが青春ですね。

巫女の鈴に似ての出(いで)立ち独活の花

9月4日

季語・・・独活(うど)の花。
庭の隅のウドに花が咲きました。巫女(みこ)が神前で舞う時にかざす鈴に似た白い花です。初冬には黒い実になりこぼれます。出立ち(いでたち)が創意。

街騒を耳より離し虫の声

9月3日

季語・・・虫、虫の声、虫の音。
2週間程前に、虫の音を聴きました。これから増えてくるのかと心待ちにしていましたが、案外増えません。夜の気温がまだ高いからなのか、体感ではまだ晩夏のようです。「離し」が創意工夫です。

秋めきし色を深めて山牛蒡(ごぼう)

9月3日

山牛蒡が色付き出しました。落ち着いた色合は秋への移行を感じさせます。大きい物だと2メートル超えもあり存在感のある植物です。

平成はまだ贅沢やメロン食ぶ

9月2日

季語・・・メロン、マスクメロン。
ぜいたくな果実といえば、昭和はバナナ、平成は夕張メロンでしょうか。今やバナナは安い果実の代表、メロンも随分安く売られています。庶民にとって安いことは嬉しいですが、コロナ禍で価値観は変わると私は感じています。

百日草丁寧に日を連ねゆく

8月2日

季語・・・百日草(ひゃくにちそう)。
夏から秋へ花期の長いのが特徴です。キク科ですので一見菊に似ていますが、葉が違います。「日を連ね」が創意。

蜻蛉来て定位置決める棒の先

9月1日

季語・・・蜻蛉(とんぼ)、とんぼう、秋津。
庭にトンボが来るようになりました。少し涼しくなったので山から下りて来たようです。トンボは止まる場所を決めたかのように一か所から動こうとしません。面白い習性ですね。「定位置決める」と捉えました。

2021年8月

弟は強くて夏の甲子園

8月31日

103回全国高校野球甲子園大会の決勝は初めて系列校同士(兄弟校)の対戦となった。「智弁対決」を制したのは智弁和歌山が21年ぶり3度目の優勝を飾った。奈良の智弁学園が本校とのことで「弟」と表記しました。

甲子園球児の夏のをはりけり

8月31日

をはり(歴史的かなづかい)終わり

貰ひ泣き言い訳にして心太

8月30日

季語・・・心太(ところてん)、こころぶと。
28日の札幌は真夏日でした。全国的にも猛暑は続いています。心太で一服の涼をと思い登場させます。五輪・パラを観戦して、ついもらい泣きをしてしまい言い訳に心太と言ったとの句意です。東日本は酢醤油で頂くのでありえますが、関西の方は黒蜜で頂くのでこの言い訳は通用しませんね。

青葡萄魅力は未熟なる若さ

8月29日

季語・・・青葡萄(あをぶどう)。
若さの象徴としてこの季語(夏)を使いました。若さは失敗が許される年代、興味あることに積極的に挑み、実感して身に付けて下さい。「パラ」でも若い人たちが活躍しているのを見ると勇気が湧いてきます。

感動に国境はなし玉の汗

8月28日

季語・・・汗、玉の汗。
今、パラリンピックが行われています。五輪では自国の選手を応援しがちでしたが、パラは選手本人を応援したくなります。それぞれの障害を克服して限界に挑戦している姿は輝いています。「玉の汗」言い古された季語ですが、ここでは利いていると思います。

枝先は風を振りきる青柳

8月28日

季語・・・青柳(あおやなぎ)春の季語。
柳は枝先を伸ばして樹影も大きくなっています。少しの風にはいなす様な揺れ方、大きな風には、樹形を何倍にも膨らませて揺れています。「振り切る」が創意です。

生身魂人の心は分らない

8月27日

季語・・・生身魂(いきみたま)、生盆。
8月は盆もあり、亡き人を供養する行事が多いですが、長老の方を大切にする月でもあります。これを感謝を込めて「生身魂」と称します。その長老がひと言「人の心は分らない」とつぶやきました。

酔ひ醒めか芙蓉は雨に俯きて

8月27日

季語・・・芙蓉(ふよう)、酔芙蓉。
酔芙蓉(すいふよう)という品種があります。咲き初めは淡いピンクですが、夕方になると濃い紅になり、まるで酔っているかのようです。これで上五の形容が分かると思います。「俯(うつむ)きて」が写生。

電柱に掛けて蜘蛛の囲灯に浮かぶ

8月26日

季語・・・蜘蛛の囲(くものゐ)、蜘蛛の巣。
25日未明の雨。まだ夜の明けぬ闇に浮かぶ美しい蜘蛛の巣が掛かっていました。語彙不足で句としては説明調になりましたが、写真で補足して下さい。

汗ばみて土撫で均す甲子園

8月25日

季語・・・汗、汗ばむ、玉の汗。
今年の高校野球の甲子園は雨が降り続き、過去最多の順延、再試合など運営に関係者の苦労は尽きません。黙々とトンボで土を撫で均(なら)している姿に球児達への愛情を感じます。

鬼灯の花色淡き朝(あした)かな

8月25日

季語・・・鬼灯の花(ほほづきのはな)。
拙宅に咲くのは紫(黒)鬼灯の花です。夜明けとともに咲き、午前中には萎みますので見る機会は少ないです。暑さに弱いらしく、今年はおおきくならず枯れ初めています。

蘂(しべ)は日を指してハイビスカスの花

8月24日

季語・・・ハイビスカス、仏桑花(ぶつさうげ)。
今年は暑く、天候が良いのでハイビスカスが次々と咲き続けています。句は、「句またがり」で5,7,5音ではなく「指して」に切れがあります。(写真のサンペリアの新しい鉢の左隣です。)

サンセペリア夏の勢ひ鉢を割る

8月24日

天候のせいか、「サンセペリア」の勢いが強く陶器の鉢を割ってしまいました。(植え替えなければとは思っていましたが…)生命力ですね。今は新しい鉢に鎮座しております。

浴びし日を空に凝縮林檎もぐ

8月23日

季語・・・林檎(りんご)。
これも盆供の林檎で「紅玉」。色に変化はなかったのですが、内身は少しボケていました。正に「日を凝縮」の色です。

枯れてなほ萱草の花咲き続く

8月23日

季語・・・萱草(くわんざう)の花。
旱で葉は枯れてしまったので、もう今年は終わりかな思っていましたら、ひと雨のあと、また咲き出しました。自然は強いですね。因みに八重は藪(やぶ)萱草、一重は野萱草といいます。写真は「エゾカンゾウ」。

菩提子の熟してよりの祈りかな

8月22日

季語・・・菩提樹の実、菩提子(ぼだいし)。
ワクチンの集団接種会場に行く途中に、菩提樹の並木道があり(東札幌)掲句が出来ました。「祈り」は菩提子で数珠を作るので、類想されます。「かな」は詠嘆の切れ字で広がりを表します。

青空に瑠璃玉薊深まりぬ

8月21日

季語・・・薊(あざみ)。
この薊の名も美しいですね。青空に瑠璃(ルリ)色が濃くなったが句意。鬼薊も逞しさがあり私は好きです。

促すはバナナの黒い斑点よ

8月20日

季語・・・バナナ、パイナップル(夏の季語)。
盆供のバナナの茶色から黒に斑点が変わり、食べ頃が過ぎていますよと促(うなが)されているようで掲句になりました。お供えは、すぐ食べるというわけにはいきませんね。

甲子園の泥んこ試合秋驟雨

8月19日

季語・・・驟雨(しゅうう)=夏、夕立、白雨。
17日の甲子園球場は降りしきる雨で泥んこ状態、降雨コールドで大阪桐蔭の勝利となったが、以降順延になり5度目、またコロナ感染で2校が出場辞退と苦難が続いています。球児たちも大変だろうが、関係者の心労はいかばかりかと推察致します。頑張れ高校野球。

散ればなほ色をふやして百日紅

8月19日

季語・・・百日紅(さるすべり)、(ひゃくにちこう)。
今年、伸ばした枝先に群れに咲き続けるのでこの名があります。古い幹は樹皮が剥がれツルツルになるので「猿滑」とも言われます。「散るほどに色が増える」が写生です。

朝顔と共に育つや夏休

8月18日

季語・・・朝顔(秋の季語です)、夏休。
札幌の小学1年生は朝顔を育てて、観察日記を書くのが宿題とか、学校から持ち帰った朝顔の鉢を大事に育てた夏休みもそろそろ終わりです。「共に」が創意。

終戦日拳に怒りもつ祈り

8月17日

戦後76年となる「終戦の日」の15日、全国戦没者追悼式は、コロナ禍により185人の参列者で過去最小規模とのこと。例年のごとく新井光風先生の標柱を確認(今年は穏やかな書風と思う)して黙祷。掲句「拳(こぶし)に怒り」は肉親を戦禍で失った方々の実感ではと表現してみました。

球場の戦ひ静か雲の峰

8月17日

季語・・・雲の峰、入道雲、積乱雲。
五輪、甲子園共に無観客。試合の臨場感ある音に新たな感覚が生まれて良いと思う。15日は戦いをとめて、黙祷の静謐(せいひつ)。

円満は全てに通じ盆の月

8月16日

季語・・・盆の月(盂蘭盆の月、仲秋の名月の一か月前)。
「円満」何んと良い語句でしょう。8月は特に色々と考えてしまう月ですが円満に過ごせますように。月は9月の月が良いとされていますが、8月も美しいです。

洋風の秋の色してヒペリカム

8月16日

色合いは梅擬(うめもどき)に似ていますが、どこか洋風の佇まい庭先にこん盛りと叢ています。

戦争と平和を学ぶ終戦日

8月15日

季語・・・終戦記念日、終戦日、敗戦日。
8月15日は第2次世界大戦の終戦日。例年、甲子園の球児達と黙祷するのを常としていましたが、今年の甲子園は雨で順延しており不穏な日程です。戦争を学び、平和の有難さに感謝する日でもあります。

誰が乗り我が家に着くか茄子の馬

8月15日

季語・・・茄子の馬(牛)、瓜の牛(馬)。
13日~16日は盂蘭盆(うらぼん)、精霊棚に野菜などを供え、故人の霊を供養します。霊は茄子や胡瓜の馬や牛に乗り来て帰るといわれています。

風褒めてよりの風鈴音冴える

8月14日

秋めいて風が涼やかになると風鈴の音も冴えて爽やかに聞こえます。つい先日までのうっとうしい暑さも凌ぎ易くなってきました。「風褒めて」が創意。

唐黍のピュアホワイトなる甘さ

8月14日

季語・・・玉蜀黍(とうもろこし)、唐黍(とうきび)。
地物の唐黍が安く出回っていて、つい買ってしまいます。レンジでチンするだけで食べられますので秋の収穫時の喜びのひとつです。初物の「ピュアホワイト」(写真は普通のです)はとても甘かったです。

五輪見る箸より逃(の)がれ冷奴

8月13日

季語・・・冷奴(ひややっこ)。
冷奴を食べながら五輪をテレビ観戦しているとつい夢中になり冷奴を箸より落としてしまいました。「箸より逃がれ」として詩に仕立てました。俳句の題材は日常生活全般にあります。

灯台の灯は弧を描く実玫瑰

8月13日

季語・・・玫瑰(はまなす)の実、実玫瑰。
ハマナスの実は丸く光沢があり遠目にも目立ちます。灯台の光は闇に弧を描きながら航海の安全のため位置を知らせます。イメージとしては石狩でしょうか。

網戸越し全身で泣く赤ん坊

8月12日

網戸越しに赤ん坊の泣き声が聞こえる。ただそれだけを言っていますが、「全身」が入っただけで具体的な泣き声が聞こえてくると思います。最近あまり聞く機会もなくなりましたが、生命力に溢れた元気を貰える声です。

空振りの風に膨らむ捕虫網

8月12日

季語・・・捕虫網(虫とり網のこと)。
「空振り」なのでお目当ての虫は入っていませんが、風に膨(ふく)らみ大きくなっています。経験者にはわかりますね。純粋無垢な子供時代の夏休みを思い出してみて下さい。

底紅や人には秘めた思いあり

8月11日

季語・・・木槿、底紅(そこべに)。
木槿の別称の底紅、名は体を表し美しい名である。人は「秘めた思い」があるから生きられるのかもしれません。それが成就し、共感感動されると生きがいになります。

新涼や感動残し五輪閉(と)づ

8月10日

季語・・・涼新た、新涼。
立秋を過ぎて最初の涼しさを言います。東京五輪が閉幕した(8日)、翌日の9日は未明に雨が降り、朝も涼しく感じました。このまま秋(残暑)になってくれるのでしょうか。
閉づ=文語、閉じる。

太陽の色を満載凌霄花

8月10日

季語・・・凌霄の花(のうぜん)、凌霄花。
太陽の似合う花といえば向日葵でしょうが、凌霄葛も強烈な色で日にのぼってゆくので太陽と相性がよいと思っています。「満載」が創意。

扇風機仕事の紙を奪ひたる

8月9日

季語・・・扇風機。
クーラーは体がだるくなるので教室以外はなるべく使わないようにしています。暑さが続き窓を開け、扇風機のお世話になるのですが、風は時々悪戯をして書く紙を煽ったりします。

スイッチを切ると項垂(うなだ)れ扇風機

8月9日

写真は拙宅の扇風機です。30数年間も働いてくれましたが、今年の暑さに少々疲れ切み。動きにギコチなさが出てきました。愛着があるのでまだ頑張ってもらいます。

立秋や青空少し高くなり

8月8日

季語・・・立秋、秋立つ。
7日は、七夕そして立秋でした。雲一つない改正で空が少し高くなった様な気がしました。今日から残暑になりますが厳しさは少しも衰えをみせません。予報では涼しくなると言っておりますが・・・

風鈴の音(ね)に故郷へ帰る耳

8月8日

季語・・・風鈴
風鈴の音にふと郷愁を覚えたのでしょう。「耳」だけが感じているので他は仕事か何か別の事をしているのだと思います。「故郷へ帰る耳」が創意。

黙祷し密に生きるや原爆忌

8月7日

季語・・・原爆忌(げんばくき)、9日は「長崎忌」。
8月6日、午前8時15分国民皆が原爆で犠牲になった方に黙祷(1分間)を捧げます。今年の黙祷時に浮かんだ句です。「密」が今の世相を表しています。生かされている今、濃密に仕事、学業などに邁進したいものです。

風船葛(かずら)細やかに脹らみて夏

8月7日

今年の猛暑、風船葛には合っているらしく繁茂しています。名の通り確かに風船を沢山吊り下げます。初冬には面白い模様の種が沢山採れると思います。「細やかに」が写生。

懇(ねんごろ)の硯洗のすぐ乾く

8月6日

季語・・・硯洗(すずりあらひ)、硯洗ふ。七夕の前日に、手習いの上達を祈って硯や机を洗い清めること。
洗い清めた硯に七夕の朝露で墨を磨って短冊に書いて笹竹に吊るし、文字の上達などを願います。教室でも各曜日で実施してますので写真でお伝えします。「すぐ乾く」が写生。

脚とられ悲鳴の滑る旱草

8月6日

季語・・・旱(ひでり)、旱天(かんてん)、旱草(ひでりくさ)。
4日、札幌は半月ぶりに雨がさあっと降りましたが、乾燥が進み、近くの公園の芝はすっかり枯れてしまいました。「脚とられ悲鳴」は転んだ様子を描写しています。「滑る」に創意があります。

青空をひと巡りして揚羽蝶

8月5日

季語・・・揚羽蝶、夏の蝶。
毎年、訪れてくれる揚羽蝶は、今年も狭庭をひと巡りして、空高く飛び去ってゆきました。句想を大きくして「青空をひと巡り」に夏蝶を表現してみました。

揚羽蝶狭庭残して昇りゆく

夏蝶は高く飛び回るのが特徴で何万キロも渡る蝶もいるとか。「狭庭遺して」が創意です。

着くまでは思考停止の炎天下

8月4日

季語・・・炎天(えんてん)、燃えるばかりのすさましい空。
拙宅から教室に行くまでの30分間、黙々と歩いているのですが、今年の暑さは正に炎天下。教室に着くと玉の汗を拭きながらクーラーと冷えた飲み物でひと休みします。いつもなら歩きながらの俳句もまったく詠めません。

桔梗咲き狭庭(さにわ)の夏もあと少し

8月4日

季語・・・桔梗(ききやう)、秋の七草の一つ。
立秋(8月7日)を過ぎると暦では秋、今年は残暑が厳しい予報。あまりの暑さに狭庭の草花も萎れがちですが、朝晩の涼しさに期待して過ごしたいものです。

風死すと午後の時間の長さかな

8月3日

季語・・・風死す(かぜしす)、凪の状態をいい、暑さと息苦しさで耐えがたい。
連日の真夏日、猛暑日もあり今年は酷暑となっています。特に午後からは汗が吹き出して動きたくなく、じっとしていると時間が長く感じられます。

びしょ濡れの水鉄砲の機関銃

8月3日

季語・・・水遊(みづあそび)、水鉄砲。
中七からは名称の説明になりましたが、これにより水量、勢いが分かると思います。「びしょ濡れ」俗な表現ですが、却ってよくわかるかと。俳句は技巧より伝えることが大切です。

夜濯や軽き疲れを流し去る

8月2日

季語・・・夜濯(よすすぎ)、夜になってする洗濯。
今年の札幌は猛暑と言える程暑く、長く続いているので、体も疲れて弱っています。毎日、暑さを避ける工夫をしながらの生活に「夜濯」があります。疲れも一緒に流せるとようのですが・・・。

考への熟す頃合ひ(ころあい)実梅落つ

8月2日

季語・・・実梅(みうめ)、黄色く熟した実。
青梅から実梅になり熟す梅の実に、「考え熟す」を重ね合わせました。頃合いを間違えると実は落ちてしまいます。

山あぢさゐ日裏明るく暮れ残る

8月1日

季語・・・紫陽花(あぢさゐ)、七変化。
炎暑の折、狭庭の水やりが欠かせません。何日雨が降っていないのか、大地が乾き切っています。農家の作業が案じられます。
日裏=日陰、山紫陽花の白に励まされつつ水やりに精を出しています。

2021年7月

眩しさを弾ね返し歩すサングラス

7月31日

季語・・・サングラス。
教室の道行き、日傘を差し、サングラスにマスク姿でなるべく人通りの少ない裏道を通っています。それでも舗道の照り返しは協力で、せめてサングラスだけでも弾ね返してほしいと思う日差しです。写真は愛用のサングラスです。

やはらかく馴染みある風古団扇

7月30日

季語・・・団扇(うちわ)。
使い古した団扇なので煽ぐ風にも馴染みがあり「柔らかい」が創意。団扇には家族の思い出も染み込んでいるのかも。クーラーの現代にはない「昭和」かもしれません。

洋風の花に和風の風涼し

7月29日

季語・・・涼し、涼風。
猛暑が続いていますが、何か涼しさを求めて過ごしていると思います。水を打ったり、簾(すだれ)を下げ、釣忍を吊るしたり、日本人には自然を受け入れて過す術を心得ています。立秋(8月7日)を過ぎればとの思いで辛抱しましょう。「和風の風」が創意。

うなぎよりうどんを冷やし摂(と)る土用

7月28日

季語・・・鰻(うなぎ)、土用(どよう)今は立秋(今年は8月7日)の前18日間をさし、最も暑い時期。
28日は「土用の丑の日」、世間では「鰻を食す」という通俗になっていますが「う」の付く食べ物でよいのが因習、うどんを冷やし、うめ干しと薬味をのせ頂くのが最高です。

五輪映すテレビに疲れ白木槿

7月28日

季語・・・木槿(むくげ)、底紅(そこべに)
初秋の花木が咲き出しました。木槿は1日花で朝開き、翌日には落花しますが、続々と咲き続けます。句意は、五輪をテレビで見続け白木槿で目を休ませ、ひと目が終わり、また新たな感動を翌日に観る。

ゴクゴクと音と一緒に飲む麦茶

7月27日

季語・・・麦茶
今年も暑さが厳しいので、水分は欠かせません。私は緑茶、紅茶の水出しを沢山頂きますが麦茶が代表格でしょうか。写真はそば茶ですが、甘みと香りが強く美味しいです。「音と一緒に」が創意工夫です。

金糸梅蜂を誘(いざな)ひ溺れさせ

7月26日

季語・・・金糸梅は歳時記にないので(今が盛り)、蜂(春の季語)
蜂は花に溺れたかの様な仕草をしていますが、よく観察すると、脚に花粉をつけて団子にしています。これも自然界の営みですね。

朝曇昨夜(よべ)の暑さに重なりぬ

7月25日

季語・・・朝曇(あさぐもり)、「旱(ひでり)の朝曇」といい、昼から暑くなる日は朝一時的に空が曇るときがある。
23日もまさに朝曇で7月に入り真夏日が連続しています。北海道は朝晩が涼しいのが定番でしたが、今年は暑さが収まらない内に暑さが重なっています。

控へめな日本がよろし百合の花

7月25日

季語・・・百合の花
東京五輪の開会式を見ての感想です。海外メディアは「日本だから開催できた」との評価を報じています。

現代っ子溽暑を覚へゐる未来

7月24日

教室の中3の生徒に「溽暑」の手本を依頼されました。(手本集の中から選んで…)大人でも分からない言葉に興味を示し書こうとする若い感性に明るい未来を感じました。

風含み釣船草は揺り籠に

7月24日

ハナツリフネソウは山野草なので歳時記には記載されていない。1年草だが、種がこぼれてよく増えます。「風含み」が写生。

若竹の素直に風を受け流す

7月23日

季語・・・若竹、今年竹。
拙宅の庭の塀添いに「蓬莱竹」(あまり大きくならない)があり、竹の子の様に芽を出しすぐ伸びて「若竹」になります。増えない様に剪っては活けて楽しんでいます。「素直」が創意。

涼しげな鴨に暑さを預けゐる

7月23日

防風林の小川で春とは違う鴨が泳いでいました。この句には季語が3つ入っています。高浜虚子の代表句にもあります。季語は1つとは限らないのです。「暑さを預ける」が創意。

青年の丈を向日葵追い越せり

7月22日

季語・・・向日葵(ひまはり)、日輪草。
好天に向日葵の丈が日々に高くなっています。園芸品種の丈の短いのもありますが、やはり威風堂々と日に向いている向日葵に生命力を感じます。「青年」が動かせないでしょう。

手をつなぎ仲良しペアのさくらんぼ

7月22日

さくらんぼの柄はペアになっているのが多く「手をつなぎ仲良し」との表現になりました。さくらんぼ以外にも沢山のペアがあり想像を膨らませて下さい。

男性も日傘の影を離さざる

7月21日

季語・・・日傘(ひがさ)、パラソル。
19日の札幌は21年振りの猛暑日(35℃)、私も日傘を差して凌いでいます。「影を離さない」が創意。

大らかにワクチン打って立葵

7月21日

季語・・・葵(あふひ)、花葵、立葵。
19日、集団接種会場にて「ワクチン」を打って来ました。ワクチンが届かない等、ひと騒動ありましたが、副反応も無くひと安心です。会場で感じたのですが、関係者の皆様は精力的によく働いています。立葵の様に真っすぐに咲き進んでいくと思います。

日の光平に受けて鉄線花

7月20日

季語・・・鉄線花(てつせんくわ)、クレマチス。茎が鉄線の」ように細く硬いのでこの名がある。
鉄線花は日を受けるよう、花びらを平らに精一杯広げて咲きます。枯れたような茎から瑞々しい花を咲かせるので感心してしまいます。

干せばなほ香る紫ラベンダー

7月19日

季語・・・ラベンダー(新しい季語)
咲いている時より干したほうが香りが濃くなります。墨の香りと同じ性質を持つ構造とか、落ち着きますね。「香る紫」が創意。

翔平の日焼に焦(こが)れゐる子供

7月19日

季語・・・日焼(ひやけ)、潮焼。
日焼に焦れるのは若さの特権だが、「大谷翔平」に憧れるのは世界中の野球、スポーツファン。人柄も好感度アップ中です。

水打って子の描く画面濃く湿る

7月18日

季語・・・打水(うちみづ)、水を打つ、水撒(みづまき)、散水車。
路面の子供が描いた絵に水を打ったら湿って雰囲気が変わったが句意ですが、句だけだと理解できません。写真と合わせて見て頂けると楽しめると思います。

緑陰の葉影大事に実を結ぶ

7月18日

季語・・・緑陰(りょくいん)、緑が茂った木陰。
春に花を咲かせていた草木も実を結びはじめました。緑陰の中で憩いながら観察をすると自然の力を満喫できます。

1.フサスグリ

2.ユスラウメ

3.ラズベリー

4.アキグミ

夏の草美しき名は姫女苑

7月17日

今日の「夏の草」二題は、分類上「雑草」になっていますが、美しい、また立派な名前が付いています。姿、形も趣きのあるものが多いので取り上げました。
「姫女苑」ヒメジョオン

直立の姿勢正して夏の草

7月17日

「天鵞絨毛蕊花」ビロードモウズイカ
全身が柔らかな毛に覆われているのでこの名がある。2メートルに到っするものもある。「姿勢正して」が写生です。

昼顔のやさしく逞しき夕べ

7月16日

季語・・・昼顔
昼顔は午前中から咲き初め、夕方ぐらい一番数が多く力強く萎みはじめます。多年草で野草と一緒に増え強い花です。「やさしく逞しき」が夕べに掛かっているのが創意。

蜘蛛の囲の必死に獲物離さざる

7月15日

季語・・・蜘蛛(くも)、蜘蛛の囲(ゐ)、蜘蛛の巣のことを「囲」と言います。
言い得てますね。糸を巧みに編んで空に囲を構え餌を待つ。雨上がりなど雨粒がついた囲は美しいです。「必死」が創意。

紫陽花や色づく前の未知たのし

7月14日

季語・・・紫陽花(あぢさゐ)、七変化。額紫陽花は「額の花」という日本原産といわれる。
紫陽花が色づき初めました。七変化といわれるくらい色の変化が多く咲き進むにつれて変化するのもあります。「未知たのし」が創意。花だけでなく人間も未知なので頑張れるのですね。

朝顔の今日のねじれを解(ほど)きゐる

7月13日

季語・・・朝顔(8月が盛りなので)秋の季語。
去った句の鉢の朝顔が咲き始めたので一足早くお見せします。「今日のねじれ」が写生です。

朝顔やペットボトルの水ひかる

7月13日

「ペットボトル」以外なとり合わせで戸惑うかもしれませんが、水や造りにペットボトルを使っていると解釈して下さい。「水ひかる」が創意。

さりげなく導き自慢花菖蒲

7月12日

庭の花菖蒲がやっと開きました。色合いが好きで自慢の花です。(他にもありますが…)
「導き」が句を広げます。実際には案内するのか、話に加えるのか、コラムにて自慢するのか、「さりげなく」に謙虚さを醸しました。

青空の脚立輝く袋掛

7月11日

季語・・・袋掛(ふくろかけ)、外観の美しい果実にと袋をかぶせる。
句意は青空の下脚立だけが日を浴び輝いている。袋掛していた人は昼休みなのか周りに人はいない。静かな時間の流れを表現してみました。

十薬とどくだみ同じ名の不思議

7月10日

季語・・・十薬(じふやく)、どくだみ。
花(苞)は十文字の清楚な白ですが、臭気があるので嫌われるのでしょうか。拙宅のは葉に斑が入った(白、赤など)物で珍しいかもしれません。切り花でも長もちするので重宝な花です。

薔薇のアーチくぐりし風の芳しさ

7月9日

バラのアーチは拙宅の庭にもあるのですが、管理がよくなくお見せ出来ないので、近所のバラ好きのお宅のを借景しました(写真)。家の周囲をバラで埋めつくして見事な薔薇園になってます。芳(かんば)しいが創意。

片陰の安らぎ拾ひつつ歩む

7月8日

季語・・・片蔭(陰)かたかげ。炎天下、建物や塀などにそって道の片側に出来る日陰。
厚くなって日中、歩道を歩くとき、影を拾いながら歩くことが多くなってきました。日陰に入ると気温も少し下がるような気がします。「安らぎ拾い」が創意。

紫紺にはまだ浅学(せんがく)や茄子の花

7月7日

季語・・・茄子(なす)の花。
コロナ禍のせいか、家庭菜園に勤しんでいる方が多いように思います。茄子の花は葉に隠れるように咲いていますが趣があります。「紫紺」は茄子ですが、成熟さを示し「浅学」は未熟さを表現してみました。

斜に見る色の重なり花菖蒲

7月6日

季語・・・花菖蒲(はなしゃうぶ)。
アヤメ科の花は見分けるのが難しいです。杜若(かきつばた)、渓蓀(あやめ)、一八(いちはつ)葉の形状で見分けますが、総じて湿地を好みます。市中でよく見るのはジャーマン・アイリス(ドイツあやめ)と称し、乾燥を好みます。因みに菖蒲はサトイモ科で別種。斜(はす)に見るが写生です。

OKと摘む指先さくらんぼ

7月5日

季語・・・さくらんぼ、桜桃(おうたう)。
謎解きのような句ですが、柄を摘む時の指、手の形をよく観察してみて下さい。分かると思います。この様にして食べる果実はあまりないと思います。

潮風の守る玫瑰日本海

7月4日

季語・・・玫瑰(ハマナス)、浜茄子、浜梨。
石狩の浜辺はハマナスで有名です。灯台のある風景は映画、写真にもよく登場します。潮風を避けるように低く繁っている様子にも風情があります。

訪ひて珍しき蝶影落とす

7月3日

訪(おとな)ひ=古語、おとずれること。
先日、庭に珍しい蝶が来ていました(写真)。検索すると「アサマイチモンジ」(アゲハチョウ科)だそうです。例年、揚羽蝶も訪れるので今から楽しみです。「影落とす」が夏蝶を描写しています。

高みまで行き滑りくる夏の蝶

7月3日

「夏の蝶」は春のと比べ羽ばたきに力強さがあり、中空まで高く舞い上がります。まるで風と遊んでいるかのようです。「滑りくる」が写生です。

京鹿子 風細やかに花に添ふ

7月2日

季語・・・鹿の子草(女郎花科)
通称、京鹿の子(きょうかのこ)と言いピンクのは珍しいです。女郎花科(おみなえし)は丈夫なのでよく増えます。「風が細やかに」「添う」が創意。

コロナ禍は終はる夏越の大祓

7月1日

季語・・・名越の祓(なごしのはらへ)、夏越(なごし)
旧暦6月晦日(みそか)に行う祓の称、新暦となって6月30日、7月31日に行う神社とさまざま。12月の晦日を年越というのに対して、6月の晦日を夏越と呼んだ。
説明が長くなりましたが、ぜひ覚えておいてほしい行事なので海容の程。昨日、近くの神社の前を通った時、鳥居から「茅の輪」が見えたので、思い出しました。「疫病退散願い」と書かれておりました。

2021年6月

新緑や五体伸ばしてゐるベンチ

6月30日

季語・・・新緑(初夏の若葉)、万緑(緑が深まってくる)
ベンチが「五体を伸ばす」はずはないが、そう思わせる清々しさがある。この時期体を思い切り伸ばして自分なりに鍛えましょう。

ときどきは風を叩いて花擬宝珠

6月29日

季語・・・擬宝珠(ぎぼうし)の花、ぎぼし。
擬宝珠の茎は太くて固いので強い風に傾いても押し返す力があります。それが連続すると「叩いて」いるようにも見えます。因みに「擬宝珠」は橋のらんかんの柱の頭に似ているため。

きらめきの窪み離さず水馬

季語・・・水馬(あめんぼう)、水澄(みずすまし)。
防風林内の小川で、水馬を見つけました。日にきらめいて、水面を自由に動き脚先の窪みを離さず輝いていました。

稚児百合の可憐に日の斑誘ひぬ

6月27日

季語・・・百合(ゆり)、きわめて種類が多く、匂いの強いものが多い。
拙宅の庭の日陰に稚児(ちご)百合(笹百合)の一叢があります。他の植物に負けそうになりながらも毎年可憐に咲いています。「日の斑を誘(いざな)ふ」が創意。

一滴を搾る急須や新茶酌む

6月26日

季語・・・新茶、走り茶(はしりちゃ)、古茶。
新茶を頂戴致しました。都心に買いに行けず(デパートに)困っていました。美味しく頂きました。
お茶好きなら分かると思うが、急須(きゅうす)から搾(しぼ)り出す最後の一滴に旨味が凝縮されています。
酌(く)む=容器に移して飲むこと

今日の風ちょっとさびしく芥子の花

6月25日

季語・・・芥子(けし)の花、罌粟の花、ポピー。
植えてもよいのはヒナゲシ。オニケシの仲間には植えてはいけないのもあり難しい植物です。ケシは風がなくても花びらが散るのでさびしさが漂います。「風がちょっとさびしい」読み手の解釈により深くも浅くもなります。

蕗の葉を雨脚揺らす音高し

6月24日

季語・・・蕗、蕗の葉。
裏庭に群がる京蕗、ふきのとうは美味しく頂くのですが、蕗はまだ刈り取っていません。昨年も食べなかったような気がします。「雨脚揺らす」で強い風、蕗の葉の厚みまで分かってもらえればと思います。

鈴薔薇の花のはかなさ実のためか

6月24日

鈴薔薇=ロサ=グラウカ
通称、鈴バラは秋に真っ赤な実が鈴生りに熟し、ひと冬を越します。花(写真)は、咲いてすぐ散ります。花と実との相違が面白く、揚句になりました。(ちょっと説明調か)

明るさに戸惑ってゐる夏至の月

6月23日

写真は19:40頃の月です。辺りはまだ明るく、西の空は夕焼け雲でした。月は戸惑うわけありませんが(擬人化)そう感じました。

都忘れ哀愁帯びし名の由来

6月23日

季語・・・都忘れ(みやこわすれ)、キク科。
この花の名称の由来をご存じの方には同感して頂けるでしょう。日本語(大和言葉)には奥深さがあります。

六月の風を奇麗に見せて薔薇

6月22日

季語・・・薔薇(ばら)、そうび。
この句は、評判がよく今年の「日本の書展」に書きました。「風を奇麗(きれい)に」が創意。季語は二つありますが、必要不可欠なので削れません。

完熟の色まだ持たず花苺

6月22日

季語・・・苺(いちご)の花、花苺。最もよく見かけるのは「オランダ苺」の白色五弁の花
近頃は「白い苺」もあるらしく「苺は赤」とは言い切れなくなりましたが、完熟するまでは赤色はどこにも見当たりません。苺に限りませんが自然美のひとつでしょう。

札幌の夢の淡さに明急ぐ

6月21日

季語・・・明易し(あけやすし)、短夜、明急ぐ。
21日は夏至(げし)、夜明けは道東が早く札幌でも4時前には夜は明けています。「夢浅し」はよく使われていますが、「夢の淡(あわ)さ」に夜の短さを表現してみました。

薯の花薄紫に風揃へ

6月21日

季語・・・薯の花(馬鈴薯)
馬鈴薯の花は薄紫でよく見るときれいな花です。畝に植えられて高さが同じなので「風を揃えた」と表現してみました。

父の日や突と話に蘇る

6月20日

今日は「父の日」。今週、教室の学童会員の何人かは、「父の日」、「父に感謝」などの毛筆作品を書いていました。「お父さんに渡す」と言っていたので気持ちの込った贈り物になったと思います。

突(とつ)と=突然に、蘇(よみがえ)る。
「や」で切れているので、父の日とは別の話をしていたのが分かります。

活発な風に応へて葱坊主

6月20日

季語・・・葱坊主(ねぎぼうず)、葱の花(春の季語)
元気な子(男の子?)を連想します。「活発な風」が創意です。

青空を平に受けて山法師

6月19日

季語・・・山法師(やまぼふし)の花、ミズキ科。
白い花びらのように見えるのは苞(ほう)です。木を平に覆う様は目を魅きつけます。「空を受けて」が創意。

花に来て蜂の羽音の高ぶりぬ

6月19日

季語・・・蜂(はち)、春の季語。
拙宅の庭に蜂や蝶など沢山の虫たちが来て花の蜜や花粉を搾取しています。また、その虫たちを狙って鳥も来て忙しいです。写真は紅紫檀に「溺れる」蜂です。
「高ぶり」が写生です。

ルピナスの風を重ねてのぼりゆく

6月18日

季語・・・ルピナス。
風に揺れながら、日に向かって咲きのぼってゆくルピナスに初夏の色彩の軽さを感じます。「風を重ねて」が創意。

それぞれの高さ定めてのぼり藤

6月18日

季語・・・のぼり藤。
一花づつ高さの違う咲き様を見ていると「それぞれ」日と相談しながら高さを決めている様に感じました。

受け流す強めの風に風露草

6月17日

季語・・・風露草、ゲラニュウム。
風に揺れる様は、はかなげで風情がありますが、「受け流す」と表現してみました。風に散る様は悲しげにも見えます。

芍薬の真すぐ曲がる茎勁し

6月17日

季語・・・芍薬(しゃくやく)、ボタン科の多年草。
芍薬の茎は太くて丈夫ですが、斜めになり易いので括られる事が多いです。拙宅のは斜めのままにしてあります。

ツボサンゴ薄暑の風に色つけて

6月16日

季語・・・薄暑(はくしょ)、初夏の汗ばむ暑さ。
「ツボサンゴ」の赤はこれからの本格的な暑さを暗示しているかの様です。「風に色つけて」が創意。

まはらぬが戦ぐ矢車草の花

6月16日

季語・・・矢車草、矢車菊。
戦(そよ)ぐが創意。形が矢車に似るのでこの名があるが、揺れやすい様に趣があり、それを踏まえて詠んだ。

さっと降る雨の明るさ金鳳華

6月15日

季語・・・金鳳華、ミヤマキンポウゲ
夏の暑い時に「さっと降る」雨は気温を下げ、気持ちの良いもの「金鳳華」の細かい黄色の咲き様に合わせてみました。

蝶に遇ひ視線を蝶に合はせたる

6月15日

13日、ここ数日の暖気のせいか、海棠の木に「エゾシロチョウ」が羽化して10数頭舞っていました。動画で撮れましたのでご覧下さい。拙句は「蝶に視線を合わせる」が視点です。

支え合ふ二人静の愁ひとも

6月14日

季語・・・一人静、二人静(ふたりしづか)源義経が愛した静御前になぞらえてこの名がつけられた。穂状花序が1本か2本で呼び方が変わる。

拙宅のが咲きましたので載せます。「愁ひ」とは名の由来からの連想です。「とも」は「かな」と同じ様な使い方をしますが、「助詞」として共感を誘います。

滴りはキングサリてふ花房に

6月13日

季語・・・滴り(したたり)、滴る。崖や岩肌などを伝って落ちる雫のこと。
滴りは山に行かないと見ることは出来ませんが「キングサリ」を擬態化して表現してみました。「てふ」(古語)・・・といふ。

風まとひ十二単の衣の音

6月13日

季語・・・十二単(じゅうにひとへ)、シソ科。王朝の女性たちの衣裳の連想からついた名。
拙宅の十二単です。近所では見かけないので珍しいのかもしれません。「衣の音」(きぬのおと)、衣づれの音が創意。

夏空と釣鐘草の風の音

6月12日

季語・・・釣鐘草、蛍袋
写真は「球根ツリガネソウ」と称し、蛍袋とは違います(もう少し後で載せます)が、同属です。それで「夏空」と併せて表現しています。

踊子草軒下に群れゐる舞台

6月12日

季語・・・踊子(をどりこ)草、踊草(シソ科)
人が笠をかぶって踊る姿に似てることからこの名がある。一見雑草の紛れて見落とすこともあるが、よく見ると優美な花である。「舞台」が創意。

麻生駅 初夏の札幌 亜麻の花

6月11日

当教室は地下鉄「麻生駅」の真上にあります。昔この地に亜麻の工場があり地名になりました。亜麻の花が路傍のいたる所に咲いています。
拙句、五、七、五で切れるので三段切れといってあまり良くはありませんが鑑賞の程。

小でまりへ来るは小さな風ばかり

6月11日

季語・・・小でまり、大でまり
小でまりは小さく揺れるので「小さな風」と表現しました。この様に「断定」するのも述法として大切な事です。

駅前の新樹の影と待ち合はす

6月10日

季語・・・新樹(瑞々しい若葉に被われた樹木)
写真はJR学園都市線の新琴似駅前。整備されたのは3年程前なので樹木がまだ若い。「影と待ち合はす」が創意。

アネモネや言葉巧みな人なりし

6月10日

季語・・・アネモネ(キンポウゲ科)
アネモネのあでやかさからの連想で「言葉巧み」が表出されました。「や」は強い切れ字なのでここで文意が切れます。

揺れながら日の斑地を掃く若葉風

6月9日

季語・・・若葉、そして青葉へ
芽吹いたばかりの若葉は瑞々しく美しい。日の斑もまだ柔らかで優しい。
「日の斑地を掃く」が創意。

一陣のエリカを過ぎてそよ風に

6月9日

エリカは歳時記には無いが、ツツジ科なので季語として採用。「一陣」は風がひとしきり吹く形容詞。エリカは低木なのであまり揺れません。そこがポイントです。

水の輪をひとつに合はせ通し鴨

6月8日

季語・・・通し鴨。鴨は春に北へ帰るが、帰らずに残っている鴨をいう。軽鴨(かるがも)は留鳥で夏でも見受けられる。
近くの防風林の小川で鴨を見ました。同じ模様なので番(つがい)ではないと思うが、拙句が浮かびました。

めくるめく色ひしめいてゐる牡丹

6月7日

季語・・・牡丹(ぼたん)、ぼうたん
花びらの多い花なので「ひしめく」と表現してみました。緋(ひ)牡丹の咲き様は「めくるめく」感じが致します。

来る風を押へ動かぬ白牡丹

6月7日

季語・・・白牡丹(はくぼたん)
白牡丹には、ある種の威厳の様なものを感じます。「風を押へ」と表現してみました。

揺れながら風に触れたる著莪の花

6月6日

季語・・・著莪(しゃが)の花、アヤメ科
アヤメに似た小さな花で葉は細く、山地の湿った樹下などに群生します。拙宅のはもっと小さく「姫著莪」と言いますが、近所では見かけないので珍しいのかもしれません。「風に触れる」ような花です。

青嵐 空掻き回す風の音

6月5日

季語・・・青嵐(あをあらし)、青葉の頃の強い風。
4日未明に強い風音で目覚めました。暴風警報が発令されていました。写真は風に引っぱられる枝葉と藤、鉢物の無残な有様。「空掻き回す」のが風音の創意。

細やかな風に応へてゐる紫蘭

6月4日

やっと斑入りの紫蘭が開花しました。花もさることながら葉の格調の高さに自然美を感じます。古来より珍重されてきたのが分かります。「風に応へて」が風格を表現しています。

石楠花の花持ちあげて反る葉影

6月3日

季語・・・石楠花(しゃくなげ)
日本石楠花はまだ先ですが、西洋石楠花は今が盛りと咲き誇っています。葉が独特の形をしており(反りがある)、花を待ち上げる様に咲かせるので揚句の形容になりました。

苧環の花色決めてゐるは風

6月2日

季語・・・苧環(おだまき)
おだまきの花色は色々な組み合わせがあり、見る者を楽しませてくれます。細い茎の先の花が風に揺れる様は、まるで「色を決めているのは風」であるかのようです。

そよ風に花を捧げて九輪草

6月1日

季語・・・さくら草、九輪草(日本原産さくら草)
細い茎の先に花を持ち上げる様に咲き、風に細かく揺れています。丈夫な花でよく増えます。「捧げて」が発想かと。

2021年5月

隙間なき木陰となりて花は葉に

5月31日

季語・・・葉桜、花は葉に
花が終わって葉が生い茂った桜を愛でるのも日本人の感性だと思う。日の光に透けた葉、影もまた美しい。

風に揺れ風を寄せ合ひ藤の花

5月30日

今年の藤棚は、日照不足のせいか葉が生い茂り、藤が埋れるように咲いています。拙宅のは、例年葉と蔓を整理して仕立てるのですが、天気が悪くそのままにしてあります。雨の藤房も風情はありますが、青空で乾いた風を纏って揺れる方が美しいです。

札幌の青空軽しライラック

5月29日

季語・・・ライラック、リラ(フランス語)
例年、札幌の5月は天候が良く、句の様に「青空軽し」のはずなのですが、今年はそうはならないようです。

生活を更に縮めてリラの花

5月29日

季語・・・リラの冷(ひえ)
北海道に梅雨は来ないはずが、「梅雨寒」の様な天候、札幌の「ライラックまつり」は中止(オンラインで)、花冷(はなびえ)=桜の頃の寒さ、リラ冷、コロナ禍と「生活を縮めて」暮らしています。
健康第一にお過ごしください。

初夏の闇月ほほゑみて欠けて満つ

5月28日

「皆既月食」の続きです。皆さん27日の夜はご覧になりましたか。札幌でもよく確認できました。スマホでの撮影なのでクッキリと見えませんが載せておきます。「月ほほゑむ」が創意です。

草刈の匂ひ重く漂へり

5月27日

季語・・・草刈、草取。
草(芝)を刈った後の強烈な青くささは長時間そこを離れません。それを「重く漂う」としたのが創意。

風に降ろし此処(ここ)に留まる錨草

5月27日

季語・・・錨草(いかりそう)、碇草(いかり)、歳時記にはないが、日本国有種。
葉の根元が三つに分かれ、錨に似ているのでこの名がある。写真は拙宅のですが、この辺りで見ないので珍しいのかもしれません。「風に錨を降す」が創工夫かと。

初夏の闇皆既月食演出す

5月26日

26日夜、「皆既日食」が全国で見られる。国内では2018年以来3年ぶりで、満月が地球に最も近づく「スーパームーン」とも重なるので、幻想的な天体現象が楽しめそうだ。

風に撥ね鯛釣草の竿しなう

5月26日

季語・・・華鬘草(けまんそう)、鯛釣草(たいつりそう)。しなう(撓う)=たわむ
仏具の「けまん」に似ているのでこの名称だが、別称の「たいつり草」の方が親しみがあります。茎を竿に例えたのは、この名からの連想です。

満点星の花楚々とまだ燃えぬなり

5月25日

季語・・・満点星(どうだん)の花、満点星つつじ。
秋に燃える様な紅葉を見せてくれますが、花は可憐な小白花です。この違いに自然美を感じます。

照り返す夕日に負けぬ山躑躅

5月25日

季語・・・躑躅(つつじ)、春の季語。
五月以降に咲く五月(さつき)つつじもあり(園芸品種で変化に富み、盆栽とし好まれる)紛らわしいですが、地物はほとんどが山つつじです。「夕日に負けぬ」が創意。

蒲公英の絮に近づき運ぶ風

5月24日

季語・・・蒲公英(たんぽぽ)の絮(わた)
たんぽぽの絮が連なってとんでゆく様は、余韻があり、詩情をかき立てます。「風が近づき運んでゆく」が創意。

北国の空を明るく花林檎(りんご)

5月24日

季語・・・林檎の花、花林檎(りんご)
林檎の花は蕾のときは紅色だが開くと薄い赤や白色に見え、かすかな甘い香りが漂います。開花期は短くすぐ散ります。いつ斉に咲く様は「空をも明るく」し、壮観です。

子雀の空の深さをこはがりぬ

5月23日

季語…雀の子、子雀、親雀。
巣立ちを終えたばかりか、あまり飛べずに地を跳ねていました(写真)。もう少したてば空を自由に飛び回っているでしょう。「空の深さ」が創意。

山吹の明るさ休みなき夕辺

5月23日

季語…山吹(やまぶき)、面影草。
濃(こ)山吹と言って、黄色の八重が通常ですが、(揚句もこれを詠みました)白山吹のひと重もあります。写真の2枚目は拙宅の物です。(珍しいと思います)

黒百合の色の重さに俯きぬ

5月22日

季語・・・百合、きわめて種類が多い。
拙宅の黒百合です。俯(うつむ)き加減で咲くので「色の重さ」と表現してみました。

雨粒を葉光に集め若楓

5月22日

季語・・・若楓(わかかえで)、青楓、秋の紅葉との対比で古歌に詠まれてきた伝統を持つ季語。

庭の若楓に雨が降りそそぎ、美しい色合いの雨粒でした。写真でも鑑賞して下さい。

ネオン消え街の暗さや五月闇

5月21日

季語・・・五月闇(さつきやみ)、五月雨(さみだれ)と言う様に梅雨空の暗さを言います。
今週、教室を終えて(8時過ぎ)帰路での事、街が全体暗く、異様な雰囲気でした。緊急事態宣言で飲食店が営業していないのに気づき得心しました。三日月が出ていたので季語とは離れますが、合っていると思います。

洋風の扇を宿すレウイシア

5月21日

季語・・・扇、扇子(せんす)
レウイシア(写真)をよく見ると洋風の扇を広げ重ねた様に感じたので「宿す」と詠んでみました。色合いも洋風と感じました。

初蝶を逃(の)がし視線の定まらず

5月20日

季語・・・初蝶(その年最初に見る蝶)
「蝶」は春の季語、揚羽など大型のは夏、羽化したばかりの蝶は低く舞い、とまって休んでいる時の方が多い。この蝶は飛び去っているので夏の蝶ですね。視線が「創意」。

鈴蘭や清楚な瞳なる乙女

5月19日

季語・・・鈴蘭、君影草。
白い可憐な花は乙女(死語か)を連想させます。清楚な香りを合わせ持つ初夏を彩る草花です。写真の二枚目は「鈴蘭水仙(スノーフレーク)」といい、人気のある品種です。

白樺の樹液をしぼる初夏の風

5月18日

今の時期、白樺の幹に傷をつけ樹液を採取、シロップとして売り出しています。(カナダのが有名)北海道(道東)のは優しい甘さが特徴で人気があります。拙宅の近くに防風林があり、その写真を載せます。

青空に勿忘草(わすれなぐさ)はささやける

5月17日

季語・・・勿忘草
ピンクや白色もあるが、空色(瑠璃)が美しい。ささやかに風に揺れる様は「ささやいて」いるかのように感じました。

海棠の花鮮やかに濡れそぼつ

5月17日

季語・・・海棠(かいだう)、花海棠、紅色の美しい花木、「美女」に例えられる。
「そぼつ」(古語)=濡れること。濡れそぼつ=びしょびしょになる。
青空の紅色も美しいが、雨に濡れた様は、なお一層美しい。
写真は拙宅のですが、3m以上の大木に育っています。

紫木蓮風に弾みて落ちにけり

5月16日

木蓮の花びら(苞)は、厚く大きいので落花は音を立て、驚くほど大胆です。「弾み」に創意工夫を読み取って下さい。

紫木蓮はらりと空を揺らし落つ

5月16日

空から剥がれる様に、落花しますので「空を揺らし」と表現してみました。

青空の他は菜の花畑と風

5月15日

季語・・・菜の花、花菜(はなな)
古くは種子から菜種油を採るために栽培されたが、今は激減した。春を印象づける明るい花で、青空がよく合います。

延齢草常に悲恋のつきまとふ

5月15日

季語・・・延齢草、別名=タチアオイ
山に自生するのはオオバナエンレイソウで大きな葉に小さな白い花びらが3枚の可憐な花です。この対比で「悲恋」が連想されました。写真は拙宅にある園芸品種の八重の延齢草です。

ふらここの仰ぎし空を地にもどす

5月14日

季語・・・鞦韆(しうせん)、ふらここ、ぶらんこ。
子供等が、ぶらんこを漕ぐ躍動感は冬から解放された春そのものです。

謳歌(おうか)浴び全力で咲く八重桜

5月14日

染井吉野、山桜に遅れて八重桜が今を盛りと咲き誇っています。先日、千島桜の開花の報道にやっと桜前線も終宴を迎えました。
謳歌=さかんにほめたたえること。

大概は風に従ふ花吹雪

5月13日

季語・・・落花、散る桜、花吹雪
桜は散る様が潔く、古来この風情を愛でてきました。3句を披露致します。

ここからの風を起こして花吹雪

花吹雪風のさざ波見せてをり

屈みゐる影を明るく二輪草

5月12日

季語・・・一輪草、一花(いちげ)草、二輪草、花茎に一輪か二輪咲くかにより呼び分ける。通常、白い五弁の花びらだが八重咲(珍しい)もある。拙宅には両方あるので写真で比べて見て下さい。
明るい花なのですが、小さく群れて咲くので屈んで見る様を詠みました。

水仙花凋(しぼ)みて茎の強く見ゆ

5月12日

季語・・・水仙(冬の季語)。黄水仙、野水仙(春の季語)
野水仙はほぼ咲き終わりましたが。凋む姿にも風情があり、詩情をかき立てます。チューリップなどもそうですが、花後の茎の勁さに焦点をあててみました。

ひかり射す木蓮壊れやすきかな

5月11日

白木蓮(白蓮)は既に散り始めています。苞は白くて厚いのですが、傷み易く錆びた様にすぐ茶色に変色します。揚句の切れ字「かな」は詠嘆の切れ字と言って、余韻を感じさせる時に使います。

木蓮の紫にゐし鳥翔(た)ちぬ

5月11日

季語・・・木蓮(白)、紫木蓮
拙宅の紫木蓮にいつもの鵯が止まっていて、飛び翔った瞬間を撮らえました。紫木蓮は今、満開です。散る頃に再登場させます。

青空に薄く色付け姫辛夷(こぶし)

5月10日

山こぶしは白が定番ですが、薄いピンク色のこぶしもあります。姫辛夷、幣辛夷(しでこぶし)の名称で売られています。俳句は「青空に色をつけた」が創意です。

取り敢(あ)えずコップが花瓶チューリップ

5月10日

チューリップがどの庭にも咲き誇っています。色、柄にその家の好みが分かり見飽きない花です。八重咲はチューリップとは思えない豪華さがあります。

母の日の母は静かにをはします

5月9日

をり(古語)=いる、すむ。をはる(古語)=死ぬ。
俳句は出来るだけものを言わないのが良いとされています。この句意は「母の日に母が静かにいます」と言っただけですが、年代により受取り方が違う「母の日」を古語によって意味を深くしています。若い母親はじっとしてはいないでしょう。
「をはします」は高貴な方、神仏などに使います。ご自分のわかる範囲で読み取って下さい。俳句とはそういうものです。

風ぬるく柔らかな闇月朧(つきおぼろ)

5月8日

季語・・・朧(おぼろ)、霞(かすみ)は昼、夜は朧といい、霞んだ様をいう。闇を柔らかと表現したのが創意。

ムスカリは春の深海地に見せて

5月8日

「ムスカリ」は季語ではないので「春」が必要です。季節は初夏に移りましたので「春の句」を多く載せておきます。ムスカリの色は深海の色(見たことはありませんが)ではと、発想致しました。

素直にはなれぬ風来て雪柳

5月7日

季語・・・雪柳(ゆきやなぎ)、バラ科
雪が積もったように見えるのでこの名がある。5日、風が強くて乱れた揺れ方をしていたので「素直にはなれぬ」と表現しました。2枚目の写真は拙宅のものです。

来し風を重ねて咲ける雪柳

紅梅や今は穏か消防車

5月6日

季語・・・梅、紅梅
札幌近郊は、桜と梅などが同時期に咲きます。近くの消防車の脇に老梅があり、毎年見事な紅を見せてくれます。この日は、消防車(はしご車)が整備のためか静かに点検を受けていました。穏やかな日が続きます様にと作句しました。

勢ひは風に任せて鯉幟

5月5日

季語・・・鯉幟(こいのぼり)
今日は、端午(たんご)の節句、子供の日です。そして二十四節気では立夏(りっか)。歳時記では夏に変わりますが、北海道は春まっ盛り、季節の地域の違いを感じます。写真を多く載せますので楽しんで下さい。

しぼみゆく風にしだれし鯉幟

閃(ひらめ)きの詩情潤し花の雨

5月4日

季語・・・花、俳句で「花」だけだと「桜」を言う。
5月に入り、「花冷え」が続いています。寒いと桜が長く咲き続けますが、早く暖かくなってほしいです。雨の桜を見ていて何かを閃いたが句意です。「詩情を潤し」が創意でしょうか?

多数決は動く憲法記念の日

5月3日

上6、中7、下5音の「動く」で切れる句またがりの技法を使っています。
今日は憲法記念日、時事俳句は得意ではありませんが、コロナ禍を詠んで随分鍛えられました。米国の大統領選を見聞して揚句の様に思いました。多数決は民主主義の根幹、難しい課題です。

青空に雲なく裾の山辛夷

5月2日

季語・・・辛夷(こぶし)、山辛夷は小振りな花。
5月の札幌は若葉より花が先に咲く花木がいっ勢に咲き揃い空を彩ります。特に辛夷は青空に映え、山裾に目立ちます。下から見上げると雲が浮いている様にも見えます。

黄昏に連翹色を加へたる

5月1日

連翹(れんぎょう)が色を極めています。遠くからでも分かる花色は、黄昏(たそがれ)を惜しむかの様に暮れ残っています。その様を「黄昏に色を加える」と表現してみました。

2021年4月

桜咲き心に春を満しゐる

4月30日

技巧的には無策ですが、桜を見上げると素直に詠んでみたくなります。愚直、稚拙も表現のひとつと捉えています。

鳥居越しの大日章旗 昭和の日

4月29日

季語・・・昭和の日、4月29日昭和天皇の誕生日
5年程前、出雲大社を訪れた時、大鳥居越しに今まで見たこともない程大きな日章旗が翻っており驚きました。「昭和と日章旗」各年代により感慨は異なるでしょうが、深い取り合わせと思い掲句になりました。

草餅の土手懐かしく野の香り

4月28日

季語・・・草餅(くさもち)、蓬餅(よもぎもち)
蓬を摘んで、親に渡した記憶が微かにあります。土手の風景も残っています。まさに郷愁の菓子と言えるでしょう。

鵯(ひよどり)の実を啄みし庭の春

4月27日

季語・・・鵯は秋の季語なので「庭の春」としました。例年この時期に、庭の「紅紫壇」の赤い実を啄みにやって来て、ほとんど全部を食べ尽くします。地味な模様なので写真で分かるかどうか。雀などもよく飛来します。

立ち上がる花を守る葉君子蘭

4月26日

季語・・・君子蘭(くんしらん)ヒガンバナ科
太刀に似た葉に守られ、左右に従えて太い茎を伸ばして咲く様は、正に「君子」、花は上向きと下向きがありますが、私のは(写真)、ウケザキクンシランです。

グランドの四隅に増へてたんぽぽ黄

4月25日

季語・・・蒲公英(たんぽぽ)、鼓草
たんぽぽが散見させる様になってきました。校庭の隅によく繁茂しています。踏まれるところでは丈は低く、人の来ない所のは伸びやかに丈を伸ばしています。生命力を感じる?です。

パンジーの色が定める花時計

4月24日

季語・・・パンジー「三色菫(さんしきすみれ)、菫」
札幌市民ホール前庭に、今年も「花時計」が登場。パンジーなど2800株が直径7メートルの花壇で時を刻むでいる。パンジーの色違いにより時刻を定めているのを「色が定める」と表現してみました。

阿寒湖、遊船の航路を拓く氷割り

4月23日

季語・・・氷割り。遊船=遊覧船。
阿寒湖で遊覧船の航路を開くための砕氷作業が本格的に始まり、5月1日からの定期運航に向け準備が進んでいるという。氷は例年より薄く20㎝ほどとか

海峡を超へる速さや初桜

4月22日

季語・・・初桜(はつざくら)その年に初めて咲いた桜
松前町は16日、桜の開花を宣言した。平年より14日早く、桜前線が津軽海峡を超えた。1982年からの観測で最も早かった。桜の開花はソメイヨシノですが、「寒緋桜」は札幌でも咲いています。
写真は寒緋桜と日本橋高島屋の正面飾りの桜です。

春蘭の鋭く柔らかき葉脈

4月21日

拙宅の紫蘭が咲きましたので、ご覧下さい。春蘭は葉も美しく観賞用に栽培されています。家には斑入りの葉もありますが、まだ蕾も付けていません。咲きましたら、後日載せようと思っています。

開拓の土地ぞ蝦夷(えぞ)紫つつじ

4月20日

季語・・・躑躅、ツツジ類の総称。
述法=中七の「ぞ」で切れる句またがりの技法。
ツツジの中では真っ先に花を咲かせる強い品種。葉に先立って満開になります。蝦夷と開拓は切り離せませんね。

夕闇を薄め連翹暮れなずむ

4月19日

季語・・・連翹(れんげう)、いたちぐさ
なずむ(泥む)、文語=なづむ、進まない、滞る。
連翹は遠目にもそれと分かる鮮やかな黄色で、幸せな気分にさせてくれます。この時期、日脚も伸びて夕暮れが遅くなってきました。まるで連翹が夕暮れを進めているかのように。

空に色集め持ち上げヒヤシンス

4月18日

季語・・・風信子、ヒヤシンス
小花を集めて長い茎に咲くヒヤシンスを掲句の様に形容してみました。青空との対比が美しい花です。

せせらぎの音のきらめき猫柳

4月17日

季語・・・猫柳(川べりに自生する柳の一種)
光りを含んで柔らかな猫柳は、春到来の嬉しさを象徴しているかの様です。「きらめき」に思いを託してみました。写真は猫柳ではないかもしれません。

クリスマスローズは影に重なりて

4月16日

季語・・・「クリスマスローズ」は金鳳花科。クリスマスの頃に開花するのでこの名がある。
クリスマスローズの花色は陰影を帯びた様な色が多く、日陰にひっそりとさいています。大きめの花柄なので「影に重なりて」と表現してみました。

日に咲けば壊れ易くてクロッカス

4月15日

クロッカスは何度か載せましたが、日に溶けるように壊れる様、寒さに壊れる様にも風情があります。花を賞でる感性も大切にしたいですね。

土筆増えへ空地の角を守りゐる

4月14日

季語・・・土筆(つくし)、つくしんぼ
近所の空地を土筆が占領しています。地主の代わりに土地を守るかのように、毎年増え続けて(特に角に密集)他の雑草を寄せ付けません。

折柄(おりから)の日にほゝゑみてクロッカス

4月13日

折柄=ちょうどその時、ほゝゑむ=ほほえむの旧かな遣い、「ゝ」踊り字、繰り返し符号。
クロッカスは日が昇ると花を開き、日が傾くと閉じます。花が開くと華やかで微笑んでいるかのようです。

水仙の蕾は風を啄みし

4月12日

水仙も咲き出しました。蕾は少し傾むいてまるで風をついばんでいるかの様な姿に、こう形容してみました。北海道はいっ気に春から初夏の花々を咲かせます。

整はぬ地に立ちあがる雪の下

4月11日

季語・・・雪割草、桜草の一種。
学名は「ヒマラヤユキノシタ」と呼ばれ、雪の下で葉を広げて、雪が解けるとすぐに花を咲かせます。まだ、庭の冬仕舞いも済んでいないので「整はぬ」と表現してみました。

札幌の寒の帰りに縮こまる

4月10日

季語・・・寒戻る、冴返る。
8日の札幌は朝から雪が降りしきり、未明には「凍返る」(再び氷りが張る)状態、心身共に縮こまってしまいました。暫く暖かい日が続いたので、一層寒さが身に堪えます。

体育館裏の残雪逞しき

4月9日

北区体育館裏の駐車場脇に積み上げられた雪が、黒く巌の様になりまだ残っていました。まるで体躯を鍛えに来る人達を励ます様な逞しさでした。

父母と言ひ祖母と言ひ換へ入学す

4月8日

7日は札幌の中学の入学式。昨日、当教室の新中学生に入学式の事を聞きましたら、父と母と言い、おばあちゃんを祖母と言い換えました。確か小3の頃、祖母の連れられ入会し、日頃「自覚が足りない」と私に何度も注意されていた子です。
成長を実感致しました、御両親もさぞ感激のことと存じます。

制服の伸びしろゆるく入学す

4月7日

季語・・・入学、入学試験、新社員
6日は、札幌市内の小学校の入学式でした。小中学生は成長が早いので制服など大きめのを用意しますが、知性、感性、体力全てに「伸びしろ」があります。特に感性は10代がピーク、大人が環境を整えてほしいと念願致します。

春光と戯れ伸びるガーベラよ

4月6日

先般、ウェブ書展に「ガーベラ」の写真を載せた時、会員から賞賛されましたので、もう一度登場させます。ガーベラは茎の長いのと短いのとに大別され、切り花用には長い方が利用されます。「春光と戯れ」が詩情かと。

地の風を明るくしたる福寿草

4月5日

「風光る」の季語がある様に春は光が溢れ活動的になります。地表の風を明るくしている福寿草に焦点を当て明るさを表現してみました。

春の雲掴む仕草か花麒麟(はなキリン)

4月4日

花キリンはサボテンの様な姿ですが、脇から枝を伸ばしまるで物を掴む様な形に成長していきます。夏は葉が繁り、晩秋から花を冬中咲かせてくれるので貴重な鉢物です。
写真は拙宅の2鉢です。

夕暮は先ず紫にクロッカス

4月3日

方方にクロッカスが咲き出しました。多彩な色があるので露地がいっ気に華やぎます。花は日に開き、夕方に閉じます。紫色のクロッカスが夕暮れに一番似合う様な気がします。

四月馬鹿アクリル板に透ける嘘

4月2日

アクリル板に嘘は透けませんね。透けたのは相手の嘘と分かる表情です。

決して嘘じゃないと言ふ子四月馬鹿

4月2日

季語…四月馬鹿、エープリル・フール、万愚節(まんぐせつ)
1日、このように釈明する子が多かったのでは・・・。

大陸を細かく運び黄沙降る

4月1日

季語…霾(つちふる)、黄沙、黄砂
30日は札幌でも黄砂で、空全体が霞んでいました。写真は黄砂で黄色霞んだ月です。朧月(おぼろ)とはまた違った風情です。

2021年3月

雪囲枝に弾れつつほどく

3月31日

季語…雪囲解く
急に暖かくなって(29日、道北・道東では観測史上最も高い気温、札幌でも18.3度で130年ぶりに3月の最高気温更新)慌てて、雪囲いを解きました。枝が待ちかねた様に撥ねて体に当たります。

濁点の踏む音薄れゆく雪間

3月30日

解け出した雪を踏むとザクザクと音がします。高かった音も低くなりやがて音はしなくなり、冬靴を履き替え軽快な足音になります。
公園の遊具も子供達の歓声を待ってます。

集まれば今は幸せ福寿草

季語…福寿草、元日草とも呼び正月に咲くように鉢植えにして鑑賞します。正月の季語
自生の路地物が咲き出しました。固まって咲くので密になれない今、集まれる幸せを詠んでみました。

空映す雪間の水の輝きて

3月28日

季語…雪間(ゆきま)、解け出し隙間のある雪。
「風光る」の季語があるように春は光り輝き、活き活きとしてきます。無機質な駅前広場の石畳も明るく輝いています。

カランコエ日射しに春の音奏で

3月27日

名称の音感からの発想で日射しが音を奏でているように感じました。さし芽で増えますし、丈夫な花で育て易いです。拙宅の三種のカランコエの写真です。

地をひねり摘み取りゆくよ蕗の薹(とう)

3月26日

拙宅の裏庭にも蕗のとうが出始めました。京蕗なので小粒で薄緑色ですが、にがみが少なく美味しく頂けます。苞が開かないうちに摘み取るので、まるで地をひねっているようだとの句意です。

彼岸婆相手を慮(おもんばか)れてふ

3月25日

季語…彼岸婆(ひがんばば)、彼岸詣のお世話をする老女など。
てふ(古語)…といふの変化
相手を慮れば争いは起きないと諭す年配の女性。現代の盲点だと私も思います。

急ぎ見る謙慎展や初桜

3月24日

こちらの写真は「池袋サンシャイン」の敷地内のです。池袋は改札口から人で溢れ返っていました。若い人たちが、目的もなく(そう見えました)ゆっくりと話しながら歩いていて先に進むのもままならず、急ぐ身としては邪魔でした。感染拡大が収まらないのも肯けます。

謙慎展見終へ上野の初桜

3月24日

19日、上野の都美術館の前庭広場は動物園、博物館等が休みのせいか、人出は例年の1/3程度でした。桜は3分咲きぐらいで花見客も流れる様に見上げて通り過ぎるのみ、写真撮影で立ち止まる程度の簡素さでした。

残る雪飛ばし校庭拓(ひら)きゆく

3月23日

近くの中学校の校庭(グランド)で固く積もったままの残雪を砕いて高々と舞い上げ融雪を促していました。まるで除雪機で開拓しているように。

雪吊を外す鎧(よろい)を脱ぐやうに

3月22日

季語…雪吊を外す、雪吊は冬。「やうに」(歴史的仮名遣い)ように。
雪害から木を守った雪吊を解く、外す作業が始まりました。冬の風物詩もまたひとつ消え、春の風景に移ってゆきます。

除雪待つさあ自転車の勢揃ひ

3月21日

当教室の横に自転車置き場があり(地下鉄5番出口前)積もった雪に待ちかねた自転車が止められていました。先日、除雪車が雪を掻き出し自転車置き場がいよいよ開場です。

北海道スコップ持参して彼岸

3月20日

季語…彼岸(ひがん)は春、秋は「秋彼岸」
春分の日を中日とする前後三日の七日間。「暑さも寒さも彼岸まで」というように春暖の気が定まります。北海道では、まだ雪深い地方があり、墓参りは、先ずスコップで雪を掘り起こすのが慣例です。

滑り止めの砂働かぬ雪解けて

3月19日

札幌では道路の要所に滑り止めの砂袋が用意されており、市民が自由に撒いて転倒防止に役立てています。この冬も随分お世話になりました。雪が解け今は静かに休んでいます。掲載の写真は当教室の入口前の地下鉄麻生駅5番出口の風景です。

卒業の涙吸ひ込みマスク濡れ

3月18日

当教室の中3は15日、小6は23日が卒業式と言っていました。出席は両親だけで在校生の見送りも無いのだそうです。歌も曲も流すだけとか、何か盛り上がりに欠ける気はしますが、御両親の感慨は、はかりしれないほど深いと存じます。涙を流しているのは両親で本人は以外とあっさりしているのかもしれません。

落ちてなほ姿整へ落椿

3月17日

落椿、椿が季語。
椿は不思議な花です。花びらを散らすのではなく花ごと落ちます。そしてほとんどが空に向いてまるで咲き続けているかのように終わります。因みに山茶花(さざんか、ツバキ科で冬の季語)は花弁が散ります。

デジタル教科書 ー検証が必要ー

3月16日

デジタル教科書の本格導入を巡り、文科省の有識者会議が中間まとめ案を示したが、「スマホ脳」のハンセン氏は「本格導入は、やめた方がいい」と明言した。端末で学ぶ多くの子供は深く理解せずに「分かったつもり」になってしまう、「難しい文章や複雑な課題を理解するには、紙に手書きをする作業が欠かせない」としている。

塩梅(あんばい)の良き葉を纏(まと)ひ桜餅

3月15日

桜餅(季語)を食べる時、葉を一緒に「食べる派」「残す派」と分かれるそうです。掲句は「塩梅の良き」と言っているので「食べる派」ですね。塩味が餡の甘さを引き立てます。

鼻歌を空に広げて雪を割る

3月14日

固く締まった雪を割って雪解けを促す作業は、雪国の心弾む楽しい仕事の一つです。砕いた氷などの断面や欠片が日にきらめいて、つい鼻歌交じりに進みます。「広げる」のは割った雪です。

ベルリン映画祭 銀熊賞

3月13日

オンラインで開催された第71回ベルリン国際映画祭のコンペテンション部門で濱口竜介監督(42)の「偶然と想像」が審査員大賞(銀熊賞)を受賞した。

墨の香と明るい画䇳春の蝿(はえ)

3月12日

春の蝿、蝿生るが季語。蝿は夏の季語。
7日の札幌は真冬日でしたが、春の日差しに溢れ、家の中は暖房が無くても暖かく2階で書作をしていると、蝿が来てまるで墨の香に酔った様に画䇳に止まりました。穏やかで明るいひと時でした。

地震を経て人に優しくなる弥生

3月11日

地震(なゐ)古語。
東日本大震災が起きてから今日で10年、被災された皆さんの労苦は筆舌に尽くし難いと存じます。私に出来る事は被災された皆さんに寄り添い、自然と共生し人に優しく接する事だと自戒しております。

寒木瓜の遠慮勝ちなる葉影かな

3月10日

寒木瓜(かんぼけ)が冬の季語。木瓜だと春。
鉢植えの木瓜が3輪咲きました。蕾の状態が長かったので心待ちにしていましたが、1輪づつ日を経て咲く風情を「遠慮がち」と詠みました。

肩組みし卒業写真四つ切に

3月9日

卒業が季語。
写真の四つ切(254×305ミリ)は結構大きいです。壁に飾るにしろ、枠に入れて置くにしろ常に目に付きます。それだけ大切な思い出なのですね。背景に充実した学生生活だったことが窺われます。
昨年と今年はコロナ禍により、寂しい卒業式を迎えました。自然の驚異を経験した人は我慢強く、忍耐力のある人になります。逞しく成長する姿に、期待が持てます。

蓮氷流れにゆるくまはりをり

3月8日

蓮氷(はすごほり)、薄氷(うすらひ)が季語。
まはり(文語)、まわり。
厚氷(あつごほり)は冬の季語。薄氷は春の季語。寒が緩み氷も張る力を失って割れ、漂っています。

滴の雪解雫に日をまぶす

3月7日

雪解(ゆきげ)、雫(しずく)が季語。
5日、春の陽気で気温急上昇、雪解けがいっ気に進み、道路は水びたしです。
雪庇(せっぴ)よりの雫が日を浴びた宝石の様に輝いていました。

街を守る除雪車夜を働けり

3月6日

守(も)る(文語)、守もる。
先週と2日の大雪で札幌は再び雪に埋もれてしまいました。昼夜をいとわぬ懸命な除雪に頭が下がります。お陰様で生活が守られています。

啓蟄や若さうごめく心持つ

3月5日

今日は「啓蟄(けいちつ)」、札幌近郊は深い雪景色で春らしい雰囲気はありませんが、温室では虫たちが動き出しています。「雪籠り」ももうすぐ終わります。例年とは違う「何か」に挑戦してみては如何ですか。

去り際の冬将軍の掉尾(とうび)とも

3月4日

2日は全道で猛吹雪模様、札幌も未明から荒れて、北区では50㎝程積もりました。掉尾とは、最後に激しく勢いづいて終える事を表わす語句、正に形容どおりになってほしい。

菱餅を子は座蒲団と夢のせる

3月4日

菱餅が季語。
雛に供えた菱餅の感触などから子供は座蒲団(ざぶとん)を連想し、のせたのが夢との句意。子供の発想は無限です。

ひと筆の凛々しき眼(まなこ)内裏雛
雛飾る雅びを載せる緋毛氈

3月3日

今日は桃の節句、雛祭りです。外は雪景色で余寒も厳しいですが、お子さんの健やかな成長を願い春らしい雰囲気の演出で楽しんで下さい。
教室のささやかな飾りを載せておきます。

けんかして仲直りして雛あられ

3月2日

教室では、二十四節気などの伝統行事を大切に学童に伝えています。3日は桃の節句、雛あられを全員に渡しました。子供は時には喧嘩もしますが、すぐに仲直りして素直です。大人も見習いたいといつも思っています。

風運ぶ雲の欠片(かけら)かぼたん雲

3月1日

牡丹雪(ぼたん)が季語。
春になり、気温が高くなってから降る雪。粒が大きく降ってもすぐ消えるので積もることはない。ゆっくりと下りてくる様は冬の名残りを思わせる風情がある。

2021年2月

春吹雪枝にてカケスやり過ごす

2月28日

吹雪に煽(あお)られカケスが木立にうずくまって小半時程止まっておりました。

枝先に吹雪丸めて繭(まゆ)の花

2月28日

今年の冬将軍は長居のうえ、勢力が強く26日も札幌は猛吹雪でした。庭の冬枯れの枝に雪が付いた風景を詠みました。

解け出して汚れて重き街除雪

2月27日

雪解けは、心が弾み朗らかになるが、街は汚れて難儀でもある。2月は降雪が多いので除雪車もフル稼働して対応しています。

駐車場新雪盛り上げて並ぶ

2月26日

24日未明から雪が降り続き札幌の北部では40〜50cmの積雪、学校の休校もあり春まだ遠しの感じです。車もゆきを被って並んでいて、除雪は大変なのでしょうが、美しい風景と捉えました。句は五、七、五になっていませんが中七から「句またがり」の技法を使って17音にしてあります。

春吹雪緩みし心後もどり

2月25日

雪解けが進み春めいた気持ちになっていましたが、23日、24日にかけて吹雪いて札幌では10〜20cmの積雪になり、緩んだ気持ちも後戻りしてしまいました。
静岡では有名な河津桜が咲いているとか、北海道はまだ余寒が続き、春が待ちどおしいこの頃です。

残雪の汚れにふはり衣(きぬ)の雪

2月24日

雪解けが進み残った雪は汚れていますが、23日の朝、きれいに雪化粧をしていました。まるで「羽衣」を被せたかの様に美しいあさでした。

雪踏み込みのぼる岬や鰊群来

2月23日

鰊(にしん)、群来(くき)が季語。
岬はまだ雪に閉ざされていますが、沿岸には鰊が群れ、産卵で海岸が白濁していました。内陸の雪の白さとの対比が美しい風景です。

家並みの屋根より雪崩続く午後

2月22日

雪崩(なだれ)が季語。
今の家屋の屋根はスノーダクトで雪下ろしもしなくなりましたが、車庫や物置などは雪が積もっていて、気温が高くなると音を立てて滑り落ちてきます。特に午後に多く危険なので注意が必要です。

除雪なくまだ近づけぬ滑り台

2月21日

雪解けも進んでいますが、近くの公園は雪捨て場にもなっているので遊具はまだ雪に埋まっています。背の高い滑り台の頂きが見えているのが、風情でしょうか。

それぞれの体温確か木の根開く

2月20日

木の根開くが季語、樹木の根本から雪解けが始まります。
【解説】
「く」(くの2字分の大きさ)…踊り字、繰り返し符号、同じ仮名の繰り返しに使う。
【句意】
樹木も体温を維持して冬を無事乗り越え、芽吹きの準備をしています。

室咲きのガーベラ越しの春吹雪

2月19日

季語が4つ入っています。こういう作句も可能なのです。18日も早朝から吹雪いていました。直ぐに春とはいきませんね。ガーベラの色合いに心和ませています。

枝濡らし風を濡らして雪解雨

2月18日

14日、15日は暖かく雨も降りだして雪解けが進みました。木々も濡れて瑞々しく少し木膚の色を変えたように感じます。

控え目な高さに集ひヒヤシンス

2月17日

地植えは雪が消えてから咲きますが、水耕栽培や店頭では今が盛りのヒヤシンス。低く密集して咲く姿を写生してみました。

考える力
ー反復学習で新たな神経回路を作るー

2月16日

神経科学者 メアリアン・ウルフ氏
デジタル機器を使った教育には注意が必要。脳が情報を処理する過程を踏まえると、欠点がある。人間は遺伝的に文字を読む能力を備えていない。先天的に神経回路がある言語や視覚と異なり、読書のために反復学習で新たな神経回路を作る必要がある。深く読むことに慣れる10歳頃までは、可能な限り紙媒体で学習させ、集中力を高める機会にしたい。

ガーベラの赤に春光寄り添ひぬ

2月15日

家のガーベラが次々と咲き、春の雰囲気を醸してくれています。ガーベラはたんぽぽ科に属します。葉も花もよく似ていますが、色合いは特別な明るさを持っています。

春一番荒さむき出し過ぐる風

2月14日

春一番(立春過ぎの強い南風)が季語。
関東地方は立春を過ぎて早々に春一番が吹きましたが、映像で見る限り荒々しい風景でした。雪国では雪解けの風として歓迎されますが、今年はいつになるでしょうか。

雪眼鏡外しプリムラ際立てり

2月13日

雪眼鏡(ゴーグルのこと)が季語。
雪などの乱反射から目を守るゴーグルを外すと、鮮やかなプリムラの色彩が目に立ちます。

寒緩み雪柔かく溺れ歩(ほ)す

2月12日

雪解けの時期になり、解け出した雪に足を取られて、まるで溺れているかのように歩く姿は雪国ならではの光景。寒の戻りで凍返るよりはましですが、春への序奏と明るく受け止めましょう。

澪標(みをつくし)大和言葉や建国日

2月11日

建国日(建国記念の日)が季語。
澪標は舟を停留させておく杭だが、和歌では「身を尽くす」の掛けとして使われる。
大和言葉は日本語の源流となった言語。「相手に嫌な思いをさせない」が根底にあり美しい言葉です。改まった場では今でもよく使われます。

寒海苔の潮の香叩き刻み干す

2月10日

寒い時期に採取した海苔は香りも強く人気があります。包丁で叩いて刻み、干し上げます。製品にするまでに手間ひまがかかっているので美味しいのですね。

色の密濃くシクラメン捧げゐる

2月9日

シクラメンは、茎を伸ばした花を中央に密集させて、独特の姿に仕立てます。花の少ないこの時期を華やかに演出してくれています。

銅像の姉妹温めてゐる春日

2月8日

まだ雪深い札幌ですが、日差しは日々、明るさを増しています。冬期間は寒々としていた銅像にも、温もりを感じられます。

大通公園長し日脚伸ぶ

2月7日

日脚伸ぶが季語。
例年、札幌の大通公園は雪まつりの準備で慌ただしい時期ですが、今年はコロナ禍で中止になり、4日からオンラインでネット配信されています。日脚が明るく伸びて広々としています。

日の雫光り影置く軒氷柱

2月6日

軒氷柱(のきつらら)が季語。
冬の季語ですが、立春を過ぎても真冬日が続き、氷柱もしっかりと育っています。

三寒の次は四温と唱(とな)え歩(ほ)す

2月5日

三寒四温(3日寒い日が続いても、4日目には寒は緩むとの、今頃の季語です)が季語。
厳しい余寒が続いておりますが、季語の如く4日目には暖かい日になります。もう少しの辛抱ですね。

雑踏の影は小さく日脚伸ぶ

2月4日

日脚伸ぶが季語。
冬至の翌日から日は伸びていますが、今頃が一番実感が持てます。当然、影も短かく濃くなってゆきます。

踊るやう光り弾みて春立ちぬ

2月3日

3日は立春、天気予報では今週は冷え込みが厳しいですが、「余寒」と表現します。光は確実に春に向かって力を増しています。

福豆の大雑把なる齢(よわい)かな

2月2日

福豆(節分に撒く豆)が季語。
2日は節分(124年ぶりに3日から動いた)、節分は齢より1つ多い福豆(齢と同数との地方もある)を食べると健康に過ごせるとの言い伝えがあります。「恵方巻」は関西地方の習わし。
明日、3日は立春で暦では春です。

小回りの利く除雪車の音軽ろし

2月1日+(プラス)233

2日続けての猛吹雪で除雪に忙しい雪国の生活。今は便利な小型除雪機があります。

コロナ禍を貫く暮し初晦日

2月1日

初晦日(はつみそか)が季語。正月を過ぎて初めての月末、陽暦では1月31日
句意=コロナ禍との暮らしも2年目を迎えています。「貫く」に意志の強さを表現。

2021年 1月作品

持て余す若さを包みゐる吹雪

1月31日

29日は発達した低気圧の影響で暴風雪となった。毎朝、ふざけながら賑やかに登校する中学生も雪を被り黙々と通学路を歩いていました。
句意=吹雪が包んでいると詠んだのが工夫

雪の嵩(かさ)荒く締めゆく寒の雨

1月30日

先日の雨で雪質が荒くなり、積雪の量も随分少なくなりました。翌日には寒の戻りで滑って大変でした。

寒の雨屋根の厚みをひっこめて

1月29日+(プラス)232

屋根に積もった雪も半減していました。「ひっこめて」が創意工夫です。

登校の滑りはたのし寒の雨

1月29日

27日の未明に雨が降ったらしく登校する子供達は滑り易い路面と遊びながら歩き走っていました。転んでは笑い、楽しむ姿に元気を貰います。

白梅の色を極めしうすみどり

1月28日

拙宅の「白の垂れ梅」が満開になりました。白梅の芯の薄緑が白を更に際立たせます。ささやかな春の兆しをどうぞ。

橇の子の歓声伸びて滑りゆく

1月27日

橇(そり)が季語。
滑りゆくのはそりだが、速いので歓声を引っぱり伸ばして行っているようとの句意

寒雷や心の壁にある不安

1月26日

寒雷(かんらい)、寒中の雷が季語。
先日の吹雪の日、雷鳴が轟き驚きました。不安も増幅されましたが、翌日の寒晴れに救われました。

雪しまき燈火に白を際立たせ

1月25日

雪しまき(雪まじりの強風)が季語。
今年は厳しい寒さですし、先週は吹雪も数日ありました。寒さのせいかスノーパウダーのような美しい雪でした。

直木賞受賞 ー地元歓喜 西條奈加氏ー

1月24日+(プラス)231

第164回直木賞に池田町出身の西條奈加さん(56)の小説「心淋し川」が選ばれこれで3期続けて道内ゆかりの作家が受賞。

穴釣や湖面にドリルねじ込みて

1月24日

穴釣(あなづり)、寒釣(結氷した湖などに穴を開けて釣る)が季語。
道東などでは公魚釣りが盛んに行われている様子。一度経験してみたいですね。

雪達磨傾がる頭会釈と見

1月23日

雪達磨(だるま)が季語。
寒さが緩むと雪だるまの頭が傾がり、道行く人に会釈しているかのよう。毎日見続けると表情が変わり親しみが持てます。

湯婆の足より疲れ抜けてゆく

1月22日

湯婆(ゆたんぽ)が季語。
厳寒期、寒さが身に堪えます。寝具を湯たんぽで温めておくのも北国の生活の知恵、身体の強張りが解けてゆきます。

木々に雪塗し闇夜を明るくす

1月21日

「大寒」の前、数日間荒れ模様で吹雪いていました。近くの公園の夜の風景です。

塗(まぶ)し

大寒や箏の音色にある凍え

1月20日+(プラス)230

大寒が季語。箏(そう)は琴、凍(こご)え。
商店街に流れていた新年の琴の曲も二十日正月をもって終わりです。1年でもっとも寒い時期、皆様ご自愛の程。

流氷来雪の大地と繋がれり

1月20日

流氷が季語、来(き)。
17日、網走地方気象台は「流氷初日」を確認した。昨季より23日早く、平年より4日早い。

紅梅のまずはほころび白梅へ

1月19日+(プラス)229

梅が季語。
家にある盆梅が咲き始めました。今は垂れ白梅が見事です。

吾を磨き満ち足りてをり小正月

1月19日

小正月(1月15日頃、地域による)が季語。吾(わ)は文語。
15日を過ぎると、新年の雰囲気は薄れ、20日で正月は終わります。外出自粛で家での書作、調べ物で充実した日々を過ごしました。

雪合戦朗らかに雪ぶつけ合ふ

1月18日

雪合戦が季語。
雪、合戦は厳しいイメージですが、朗らかな雪のぶつけ合いもあります。確か「雪合戦の世界大会」もあったはず。

見上げれば華奢な骨格冬木立

1月17日

冬木立が季語。華奢(きゃしゃ)
落葉樹は冬には葉をすっかり落とし、幹と枝を見せている。白樺などは、ほっそりとした幹と枝である。

耳袋くぐもる音に身を縮め

1月16日

耳袋(耳かけ)が季語。
寒中で帽子を深く被るか耳掛けをしないと耳が痛くなります。聞こえる音もくぐもって身を縮めながら歩きます。厳寒の生活吟。

投げ入れて凹みし炎どんと焼

1月15日+(プラス)226

どんと焼、どんど焼、左義長が季語。
14日朝、近くの神社で「どんと焼」を行っていました。15日に行う神社が多いと思いますが、昔は1年間の書簡などを燃やして、文字の上達、学業の成就を願ったとされています。

寒の窓玻璃一面に朝日受く

1月15日

寒(寒中)、瑠璃(はり)ガラスが季語。
年の暮れから厳寒で窓には氷紋が着き、解せぬ日々が続いています。朝日の陽光を受けた窓のきらめきは北国の美しい風景です。

掘り起こす窓に日の来る雪卸

1月14日

雪卸(おろし)、雪下ろしが季語。
今季、札幌の雪は例年より少ないですが(寒さは厳しい)、北陸、日本海側では数十年ぶりの大雪に襲われています。屋根の雪下ろしをすると窓まで埋まり、掘り起こさなければ部屋は暗いまま、雪国の生活吟です。

蠟梅の香に透き通りたる家居

1月13日

蠟(ろう)梅が季語、12月より咲いています。
香りは芳醇で高貴、長もちします。拙宅のろう梅です。(今年は不作)

難局にひるまず ー祝新成人124万人ー

1月12日

成人の日の昨日、新成人124万人が新たな門出を迎えた。おめでとうございます。新型コロナウイルスの感染拡大により式典中止や延期を余儀なくされた新成人だが、難局にひるまず、試練を真面目に捉えている様子に安堵致しました。(キャラクターに扮装する様な人は居ませんでしたね。すみません。)先行きの不透明な時代ですが、若い感性で新しい生活様式を築いて下さい。先輩の大人達が変えられない習慣を打ち破って下さい。期待しています。

成人日鬼滅の刃模す衣裳

1月11日

成人日(成人の日)が季語。模(も)す=文語、衣裳=衣装
「鬼滅の刃」のキャラクターに扮装した新成人が登場すると思います。

踏む音の空へ抜けゆく寒の雪

1月10日

年末から零下10数度の最低気温が続きました(札幌)、雪を踏む音も高く引き締まり、空へ抜けてゆきます。北海道ならではの雪質で身も引き締まります。

兄弟の疲れをみせぬ橇遊び

1月9日

橇(そり)が季語。
疲れて体が動かなくなるまで遊びきる子供の生命力に感嘆致します。

奢る舌七種粥に味覚変え

1月8日

七種粥(ななくさかゆ)が季語。
昨日(7日)朝に七種のおかゆを召しあがりましたか。一種類でも入っていると「万病を除く」との伝承。正月の贅沢な味覚を普段の質素な食卓へ変えるチャンスです。

健やかな体温計や寒の朝

1月7日

寒(かん)、寒中のことが季語
毎朝のように体温を測るのが日課になりました。体温を見て「健やか」を確認してから活動を始めます。

にぎやかな自由に集ふ初雀
お降りの雪札幌を純白に
ポスト行くまでの外出三が日

1月6日

辛丑(かのとうし)初春

令和3年 新春の近詠3句

<季語>
1句目 初雀~新年に初めて見る雀
2句目 お降り(おさがり)~新年に初めて降る雨か雪
3句目 三が日(正月、2日、3日)

<句意>
1句目 雀のように賑やかに集いたいですね。
2句目 今年の正月は新雪できれいでした。
3句目 正月は外出自粛でポストまでしか外出しませんでした。

寒稽古竹刀の震えとめられず

1月5日

寒稽古(寒中にする稽古)が季語。
今日5日は「小寒」で「寒の入」です。明日から「寒中」になります。「立春」まで。
竹刀(しない)なので剣道の練習ですね。

初夢や大人数で乾杯す

1月4日

初夢が季語、元日の夜か二日の夜に見る夢、京坂では節分の夜の夢をいう。
年に何度か大人数で乾杯するのが慣例でしたが、昨年は1度もありませんでした。幸せの尺度が変わってきました。

おしゃべりをやめて書初して正座

1月2日+(プラス)223

書初(書き初め)が季語、2日の行事。
書き初めする姿は神妙そのもの。良く書けた時は嬉しいですね。

紙垂揺らし翻す風初昔

1月2日

初昔(はつむかし)が季語、去年のこと。
紙垂(しで)を翻す風も去年から今年に変わりましたとの意。初詣の風景

重箱の蓋の威厳や節料理

1月1日+(プラス)222

節料理(おせちの事)が季語
重箱の蓋は軽いのですが、開ける一瞬に重みというか威厳があるような気がします。開けた後の家族の笑顔も浮かびます。

去年の関潜り抜け来し初日の出

1月1日

辛丑(かのとうし)=干支
明けましておめでとうございます。
本年が皆様にとってご健勝とご多幸であります様、ご祈念申し上げます。