2022年12月
繰り言の来年こそは除夜の鐘
12月31日
季語・・・除夜(ぢよや)。
毎年、「来年こそは」と志を高く持つのですが、実現するとは限りません。何はともあれ健康に留意なされ佳き新年をお迎え下さい。
被る雪の影を明るく一位の実
12月30日
季語・・・雪、一位の実(いちい)。
拙宅の庭は冬は枯れて無配色に近く殺風景ですが、一位(オンコ)の実の赤が彩りを添えています。「雪の影」と写生しました。
コロナ禍で順調なりし年用意
12月30日
季語・・・年用意(としようい)。
コロナ禍で外出を自粛しているせいか新年を迎える準備が滞ることなく進みました。心構えなのですね。
年の瀬の鍵のいらだつ静電気
12月29日
季語・・・年の瀬(としのせ)。
静電気にいらだっているのは人なのですが、「鍵のいらだつ」と具象化してみました。年の瀬で慌ただしいのですが、穏やかに年を送りたいものです。
光る物ピカピカにして煤払
12月29日
季語・・・煤払(すすはらひ)。
年末の大掃除を全部済ませると大変なので、蛇口やドアノブなど光る物だけでもピカピカにすると奇麗になったような気がします。「煤逃」(すすにげ)は掃除が始まると居なくなる人のこと。
聖夜替へ平和を祈るウクライナ
12月28日
ウクライナの聖夜は旧暦の1月7日だったがロシアと同じなのを嫌い25日に替えたとの報道。心情は痛い程分かります。
ロシアの蛮行は「悪魔の所業」としか言いようがありません。
年忘出来ぬ窓辺の籠の鳥
12月28日
季語・・・年忘(としわすれ)、忘年会。
中七の切れがあります。コロナ禍で忘年会もめっきり少なくなりました。
何故か「籠の鳥」の心境です。
風雪におそはれ疲れ数へ日に
12月27日
季語・・・数へ日(かぞへひ)。
師走になってから悪天候が続き雪と格闘しているうちに、今年も指折り数えるだけになりました。
一年を過ごしくたびれた古暦
12月27日
季語・・・古暦(ふるごよみ)。
写真は大東文化大学の卓上カレンダーです。
12月は高木先生の作品で仕舞いです。「克慎」良い語句ですね。(欲に克つて慎む)
イルミネーションつけて輝く師走の樹
12月26日
季語・・・師走(しはす)。
冬木にイルミネーションをつけている場面に出会いました。手早く短時間(15分程)で付けるのに少し驚きました。「師走の樹」と表現してみました。師走は極月(ごくげつ)ともいいます。
電飾のときめき点りゐて聖樹
12月25日
季語・・・聖樹(せいじゅ)、クリスマスツリー。
自粛しているのか、以前より電飾は少なくなっていますが、聖樹を見る子供達の「ときめき」は特別のものがあります。
煙突へとサンタクロース壁のぼる
12月25日
季語・・・サンタクロース。
近所の家のクリスマス飾りです。子供のために仕立てたのだと思いますが、夢がありますね。
クリスマスイブを静かに過しゐる
12月24日
季語・・・クリスマスイブ。
昔は(コロナ禍前)、イブの夜は繁華街などで騒ぐ若者も多くいましたが、今はどうでしょうか。家で静かに過ごすのでしょうか。クリスマス寒波が襲来していると報道されています。
三年も会へぬ書友や賀状書く
12月23日
季語・・・賀状書く(がじゃうかく)。
22日に年賀を書き了へました。展覧会の行事やパーティーなど全て中止なので、3年も会っていない人などへの安否も書き添えました。
柚を頂きましたので写真を載せます。
南瓜入りぜんざい啜る冬至かな
12月22日
季語・・・冬至(とうじ)。
22日は二十四節気の冬至、南瓜を食べたり、柚子湯に入ったりして健康を願います。「一陽来復」は明日より日が伸びるので同義です。
ロウ梅の先ずは三輪香を放つ
12月21日
季語・・・ロウ梅、蠟梅。
盆梅のロウ梅が三輪だけ早々と咲き春を広げました。これから次々と咲いて楽しませてくれます。
少年の夢やメッシの冬歓喜
12月20日
19日、サッカーW杯カタール大会決勝でアルゼンチンが36年ぶり3回目の優勝を果たした。MVPはリオネル・メッシ選手に輝きました。
札幌の雪掻き道具頻繁に
12月19日
季語・・・雪掻(ゆきかき)、除雪。
札幌は12月になってから連日雪が降っています。雪掻きも当然「頻繁」になります。雪国の宿命ですね。18日朝の報道によると日本海側の裏日本で大量の降雪があった模様です。
大通公園飾る冬灯
12月18日
季語・・・冬灯(ふゆともし)。
先日、数か月ぶりに大通公園に行って来ました。ホワイトイルミネーションを観に沢山の人が往来に出ていました。
「飾る」と写生してみました。
山茶花の散り際風のはかなくて
12月17日
季語・・・山茶花(さざんくわ)。
椿は花形のまま落ちますが、山茶花は花びらがバラバラに散ります。「風のはかなくて」と表現してみました。
札幌の雪の悪路や冬の雨
12月16日
季語・・・雪、冬の雨。
13日の札幌は暖気で雨が降り、降り積った雪が解け「悪路」となりました。
14日は一転真冬日でこれまた「悪路」。雪国の試練ですね。
善し悪しの今年の漢字戦ぐなり
12月16日
季語・・・今年(ことし)。
「戦」読みは、いくさ・たたか-う・おのの-く・「そよ-ぐ」と読める方は造詣の深い方。W杯サッカーは善い戦い。悪い戦はロシアですね。
柿凍る木守柿には多すぎて
12月15日
この句には季語が3つ入っています。「木守柿」は、鳥のために柿を数個木に残すこと。写真の柿は渋柿なのでしょうか。収穫されないようです。
青空に風吹き抜ける冬木立
12月14日
季語・・・冬木立(ふゆこだち)。
防風林の冬木(ふゆぎ)を写生しました。枯木(かれぎ)とは違った佇いです。
藪巻の年輪守り育てゐる
12月13日
季語・・・藪巻(やぶまき)。
菰巻(こもまき)ともいいます。樹木を守るために施しますが優しさを感じる冬の風景です。「年輪守る」と表現しました。
大雑把な家系と詫びて雪囲
12月12日
季語・・・雪囲(ゆきかこい)。
拙宅の雪囲は大雑把です。(写真)でも春には奇麗な花を咲かせてくれます。
括られて山吹の実の固さかな
12月12日
写真手前の、白山吹の花木が実を沢山付けていました。
大雪のベンチ静かに人を待つ
12月12日
季語・・・大雪(たいせつ)、12月7日。
札幌は今の時期、暦どおりに季節が移ろいます。12月になり連日のように雪が降り続き根雪の装いです。
梅擬冷えゆく風を停(とど)まらせ
12月10日
季語・・・梅擬(うめもどき)。
寒くなってくると枝に残っている実が弾けて朱と黄の鮮やかな色彩を見せます。
寒さも一刻忘れるさまを「停まらせ」と詠みました。
蹴球は悴む心温めたり
12月9日
季語・・・悴む(かじかむ)。
サッカーの和名は蹴球(しゅうきゅう)。
報道ではまだサッカーの余韻冷めやらずの感ですね。私ももう一句作りました。高い目標に挑戦する事が多くの感動を生む原動力です。
冬萌や夢追ふ若さある日本
12月8日
季語・・・冬萌(ふゆもえ)。
冬のうちから芽ぐむことを「冬萌」という。
6日深夜のサッカー観戦のため仮眠でしたので、7日は朝まで熟睡でした。心身共に清々しい朝を迎えられ、8強の壁に挑んだ若者達に感謝致します。
サッカーの歴史変はらず冷まじき
12月7日
季語・・・冷(すさ)まじ。
6日未明、FIFAワールドカップカタール2022決勝トーナメント1回戦、日本対クロアチア戦を観ました。こんなに長い時間サッカーを観たのは初めてです。結果は残念でしたが2週間感動させて貰いました。
潦凍り水面に雪のせる
12月6日
季語・・・凍(こほ)る、雪。
潦=水たまりの大和言葉です。氷点下の気温が続き何もかもが氷りついています。
芥出しに雪の足跡往復す
12月5日
雪が降り積れば当り前の事も、今だから新鮮に感じる事があります。芥(あく)はゴミの事です。
薪積みて都会にも見る冬用意
12月4日
季語・・・冬用意、冬支度。
急に寒くなってきました。都会でも薪ストーブの愛好家が増え、薪を積み上げている家をよく見かけます。冬用意のひとつです。
七分の寒気に耐へて蹴り歓喜
12月3日
季語・・・寒気。
2日早朝FIFAワールドカップカタール大会E組、日本対スペイン戦を視聴して俄かファンの私ですが、感動致しました。7分はアディショナルタイム。
種を採る風船葛破る音
12月2日
季語・・・種採(たねとり)。
風船カズラの種を採る時は袋を破って採取します。種も面白い色合いです。今年は発芽が遅く種もあまり採れませんでした。
十一月尽きるうっすら雪景色
12月1日
季語・・・十一月尽、冬景色。
11月30日札幌では未明から雪が降り続き一面、真っ白になりました。中七の中で切れる句またがりの述法で詠みました。
2022年11月
雪を待つ雪晃木の輝けり
11月30日
セツコウボクの実は純白でクリスマス飾りにもよく使われています。今年は雪が遅めですので「雪を待つ」と表現してみました。
自転車置場隙間を飾る散紅葉
11月29日
季語・・・散紅葉(ちりもみぢ)。
教室横の地下鉄5番出入口に自転車置場があり、春から立錐の余地もない満車状態。初雪後、隙間が少しずつ出来、散紅葉が敷いていました。
鴨ゆるり安春川の日向ぼこ
11月28日
季語・・・日向(ひなた)ぼこ。
25日、新琴似に流れている安春川のほとりを通って5回目のワクチンを打ちに行きました。「日向ぼっこ」をしているのは鴨か安春川かここが読み所です。
枯葦や池の向かふのビル寂し
11月27日
季語・・・枯葦(かれあし)。
ビルが寂しい訳はないが、枯葦越しだとそう見える。写真は上野の不忍池です。
ひと夏を終へたる落葉集ひゐる
11月26日
季語・・・落葉(おちば)。
落ち葉が風に吹かれて溜まっているさまを詠みました。「ひと夏を終へ」が創意です。
参道をやはらかくして落葉積む
11月26日
神社の参道の玉砂利を隠してしまう程、落葉が降り積もっています。「やはらかく」と写生してみました。
才能を培ふ努力七五三
11月25日
季語・・・七五三(しちごさん)。
七五三の祝いは北海道は10月にする地域が多いようです。「努力する才能」を皆が持って育ってほしいものです。写真は赤坂の日枝神社の風景です。
歌舞伎座を出てより小春日和かな
11月24日
季語・・・小春日和(こはるびより)。
22日の観劇、團十郎は兎も角、新之助君のけなげさに涙が出ました。「天賦の才」の初舞台に接し感動致しました。
観劇の余韻勤労感謝の日
11月24日
23日は勤労感謝の日、生憎の雨天で楽しみにしていた「大江戸骨董市」は中止。別のイベントに急遽変更して「余韻」のまま帰札します。
日展の醸す気品や冬麗
11月23日
季語・・・冬麗(ふゆうらら)。
1科~5科(書)までゆっくりと鑑賞でき、帰路には晴天の小春日和となっていました。
美術館巡りに従きし小春空
11月22日
季語・・・小春(こはる)。
20日、夕方から小雨になり、「小春空」とはいきませんでした。西洋美術館ではピカソ、都美術館では岡本太郎展を鑑賞。紅葉は北海道の方が美しいですね。
日展へ去年は忙(せは)しく今日発ちぬ
11月21日
季語・・・去年(こぞ)。
20日、上京して日展観賞に行きます。2020、2021年とコロナ禍で日帰りの観賞は忙しく自分の作品を確認する程度でした。今年は勉強するつもりでホームページにも発信しますね。
干し柿の甘さ噛みしめゐる機上
11月21日
季語・・・干し柿。
干し柿を食べているのが飛行機上だとの俳味のある句に仕立てました。
枯露柿の陽に醸されし甘さかな
11月21日
季語・・・枯露柿(ころがき)、ひとつづつの干し柿のこと。
干し柿の甘さを「陽に醸され」と表現してみました。詠嘆の切れ字「かな」で共感を得たと思います。
七竈色を違へて極まりぬ
11月20日
季語・・・七竈(ななかまど)。
ナナカマドの紅葉と実が色づいています。よく見ると実の色づきに違いがあるのに気付きました。「違(たが)へて」と表現しました。
紅葉のドウダンツツジ際立てり
11月19日
季語・・・紅葉(こうえふ)。
紅葉の中でもドウダンツツジの紅は際立っています。素直に写生しました。
初雪や覚悟を決める美しさ
11月18日
季語・・・初雪(はつゆき)。
16日、札幌の初雪が観測されました。数日前から霙が降っていたのでそろそろとは感じていました。これで冬への覚悟が決まりました。
弾ね返す光に解けて初氷
11月17日
季語・・・初氷(はつごほり)。
寒くなってきましたが、札幌ではまだ初雪が観測されていないそうです。17日を過ぎると最も遅い初雪になるとか。
学ばねば解せぬ戦争初氷
11月17日
ロシアのウクライナ侵攻。しっかりと見定め後生に伝えなければなりません。平和のための学びです。
滑り台桜紅葉は散り易く
11月16日
季語・・・桜紅葉(さくらもみぢ)。
桜紅葉の色合いは複雑で美しいのですが、すぐ散ってしまいます。花と同じで散り際に潔さを感じます。
ネット裏木から離れてまだ枯葉
11月15日
季語・・・枯葉。
枝についているのは「枯葉」。地に敷くと「落葉」。「まだ枯葉」と俳味のある句にしてみました。
空に押し捻りて林檎籠に積む
11月14日
季語・・・林檎(りんご)。
リンゴをもいで収穫するさまを写生しました。「空に押し」が創意です。
金の羽舞ひ降る銀杏落葉とも
11月13日
季語・・・銀杏落葉(いてふおちば)。
黄落の語句がぴったりの場面に遭遇しました。「降る」が写生です。
干し大根脚立が支へ駐車場
11月12日
季語・・・干大根(ほしだいこ)。
今は大根干しにも昔と違い色々と工夫が見えます。駐車場に脚立を組み、干してある写生です。
三本の銀杏黄葉の個性かな
11月11日
季語・・・銀杏黄葉(いちやうもみぢ)。
新琴似の銀杏並木。同じ日当りと思われる処の三本でも、彩りに違いがあり、木にも個性あるのかとも思う。
生きてゐる皆既月食見る初冬
11月10日
季語・・・初冬(はつふゆ、しょとう)。
8日夜、「皆既月食」で月が天王星を隠す「天王星食」も同時に起こり、日本では過去5000年で一度もない天体ショーでした。札幌は雲が掛かり前後しか見られませんでした。残念。
滅びたる都の跡か冬の月
11月10日
月に見る模様は兎とも「かぐや姫」が住んでいた都とも言い伝えられています。
葉に夏の思い出浮かべ石蕗の花
11月9日
季語・・・石蕗(つは)。
葉に「油滴」の斑が入った石蕗。それを「夏の思い出」と写生してみました。
遊ぶ子の帰りて落葉降り初むる
11月8日
季語・・・落葉(おちば)。
北海道では先月ぐらいから落ち葉の季節でしたが、冬の季語なので掲載を遅らせていました。「降り初(そ)むる」、降り始めましたの意。
立冬や心身整へて迎ふ
11月7日
季語・・・立冬(りつとう)。
7日は立冬、いよいよ冬へ向います。教室の会員で体調を崩している方も多く(欠席の連絡が多い)案じております。
近寄らぬ紫被る鳥兜
11月6日
季語・・・鳥兜(とりかぶと)。
庭の隅にある鳥兜。普段は近寄らず触れもしませんが(かぶれるので)花は見事です。「紫被る」と写生しました。
去年には足りぬ色して庭紅葉
11月5日
季語・・・庭紅葉(にはもみぢ)。
今年の紅葉の紅色は例年より薄いと感じています。庭なので比べることが出来るのですね。写真は自慢の紅枝垂紅葉です。
秋刀魚焼く小振りでいとほしき今年
11月4日
季語・・・秋刀魚(さんま)。
初秋刀魚を食べましたが、小振りで脂の乗りも今ひとつでした。いとおしいのは秋刀魚か今年か。読み手の力量が問われます。
日本の知性を磨く文化の日
11月3日
季語・・・文化の日(ぶんくわのひ)。
3日は文化の日。昨今、日本の知性が問われています。それぞれに「知性を磨く」術は持っているとは思いますが。
家ごとに色を変へゆく蔦紅葉
11月2日
季語・・・蔦紅葉(つたもみじ)。
家の壁を覆っている蔦が日々に色づき家全体の色を変えてゆきます。
蔦紅葉日本家屋を洋館に
まるで洋館のような佇まいになりました。
梨の皮剥けば内より汁溢れ
11月1日
季語・・・梨(なし)。
ナシの皮を剥く時の様を詠んでみました。「汁溢れ」が写生です。
2022年10月
冬至まで待てぬ南瓜やハロウィン
10月31日
31日はハロウィーン。この句は3つの季語を使っています。29日の韓国の惨事に哀悼の誠を捧げます。
遠出せず狭庭の紅葉黄葉かな
10月30日
季語・・・紅葉、黄葉(もみじ)。
紅葉狩りのように遠出しなくても庭でも十分紅葉(こうよう)は楽しめます。今年は黄色が鮮やかで奇麗です。
大らかに磯菊寺の隅清め
10月29日
季語・・・菊。
イソギクの花柄が大きく厚みのある白色。近所の寺の庭隅に大株に育っています。「隅清め」と表現してみました。
生活を閉じての更地そぞろ寒
10月28日
季語・・・そぞろ寒(ざむ)。
家を壊して更地にし「売地」の看板が立つ。近所に目立つようになりました。「生活を閉じ」と詠んでみました。「そぞろ」とは「それとなく」の意。
決めかねて山桃草を見る秋思
10月27日
季語・・・秋思(しうし)。
寂しさに誘われる物思いの季語です。迷いを山桃草に重ねてみました。
木瓜の実や一筋なわでは行かぬ恋
10月26日
季語・・・木瓜の実(ぼけ)。
ボケには棘があり、実も固いので中七の表現に合わせてみました。「や」の切れ字が重要な述法です。
探究心 有終の美 小平奈緒
10月25日
22日、スピードスケート・全日本距離別選手権(長野)で女子500メートルは、現役最後のレースとなった小平奈緒選手が37秒49の好タイムで優勝した。8年連続13度目で有終の美を飾り、「求道者」と呼ばれたその姿勢は今後も変わることはないと思われる。
空中の南瓜の重さ風抑へ
10月25日
季語・・・南瓜(かぼちゃ)。
生け垣や木立に這い登ってゆく蔓の南瓜が日々に太り大きくなっています。よく落ちずに支えているものだと感心して見ています。「風抑へ」が創意。
色づきて柿は青空深めたる
10月24日
季語・・・柿(かき)。
札幌近郊でも柿を庭に植えている方がいてそばを通る度に楽しませてくれます。「青空を深める」が創意です。
柿食ふて今年の甘さ確かめる
10月24日
今年の柿も甘くて美味しく頂きました。記憶では、奈良の正倉院横の果実屋で購った柿の味は絶品でした。
小粒なる色香凝縮秋薔薇
10月23日
季語・・・秋薔薇(あきさうび)。
秋の薔薇は花柄は小さくなりますが、色や香りは強いように感じます。「凝縮」と体言で強く言い切りました。
野ぶどうの配色の妙なる自然
10月23日
季語・・・ぶどう。
野ブドウの実は単色ではなく彩り鮮やかで美しいです。「配色の妙」と表現してみました。
萩の花風に光を織りこみぬ
10月22日
季語・・・萩(はぎ)。
「風を細やかに」などの表現はよくしますが、「風に光」とは、写真をご覧になって下さい。偶然の一瞬でした。
突と風紫苑の高さ斜めにす
10月21日
季語・・・紫苑(しをん)。
花は小振りですが草丈が高く丈夫です。風には弱くすぐ傾いてしまいます。
向寒や白妙菊の葉の産毛
10月21日
季語・・・菊(きく)。
シロタエキクの独特の葉と黄色の花に寒さに向う気持ちを表現してみました。「葉の産毛」が写生です。
秋苑の華やぐ光色さびし
10月20日
季語・・・秋苑(しゅうえん)、秋の庭園。
秋の草花が群れて一見華やかに見えても、色合いや光に何か寂しさ、侘しさを感じます。日本人の感性でしょうか。
吹く風を密に紫式部の実
10月20日
季語・・・式部の実、実紫(みむらさき)。
ムラサキシキブの実は枝にびっしりと付きます。「風を密に」したのが創意。
芒揺れ風を大きく搔き回す
10月19日
季語・・・芒(すすき)。
ススキは風に大きく揺れて晩秋の寂しさを醸します。「搔き回す」が写生です。
大らかに紫揺れて花牛蒡
10月18日
季語・・・牛蒡(ごぼう)。
ゴボウの花の紫が色を深めて、晩秋の風情。「大らかに」が写生。
はかなさは秋サフランの咲き様か
10月18日
イヌサフランは春に葉を繁らせ、秋に花だけ咲かせますが、日に風に雨にも弱くすぐ萎びてしまいます。「はかなさ」と写生してみました。
ひっそりと色を深めて吾亦紅
10月17日
季語・・・吾亦紅(われもかう)。
ワレモコウは地味で目立たない花ですが、愛好家が多くよく植えてあるのを見ます。「ひっそりと」と写生してみました。
鋭き穂芒に似るがノガリヤス
10月17日
季語・・・芒(すすき)。
ノガリヤスという草を初めて知りました。確かに芒に似ています。「鋭き穂」と写生してみました。
錦木の急いでをりし初紅葉
10月16日
季語・・・初紅葉(はつもみぢ)。
街中も紅葉が初まりました。先ずニシキギの赤が目立ちます。「急いで」に北の様子を表現してみました。
紫の鬼灯影を深めゐる
10月15日
季語・・・鬼灯(ほほづき)。
紫ホウズキは密集して実をつけます。朱のホウズキとは違う雰囲気を「影を深め」と写生してみました。
葡萄受く余市の味を箱に詰め
10月14日
季語・・・葡萄(ぶだう)。
余市から通っている会員が箱に数種類入ったブドウを箱ごと運んできました。早速、大家、仲間の会員、私と分配し美味しく頂戴致しました。「箱に詰め」が写生。
ひと夏を朝顔小(ち)さく続けゐる
10月13日
日当りの良い所の朝顔はまだ咲き続けていますが、花柄は小さくなっています。今年の夏を慈しむように鮮やかな色を見せています。
露草は高まる空を近づけて
10月12日
季語・・・露草(つゆくさ)。
秋の空は澄んで高く見えます(天高し)。空色をしているツユクサに「空を近づけて」と表現しました。
書の滲む黒が秘めたる秋湿
10月11日
季語・・・秋湿(じめり)秋の雨のこと。
10日は朝から雨が降っていて荒天の予報です。雨天は書作にとって絶好の環境なのです。湿度があり墨の滲みが遅く深さが出ます。「黒が秘めたる」と表現してみました。
スポーツの日は寝て過す運動部
10月10日
季語・・・スポーツの日
10日はスポーツの日、部活などの運動部は毎日鍛えているので、休日ぐらいは寝て過ごしているという俳味のある句にしてみました。
蜻蛉二匹一匹となり水を釣る
10月10日
季語・・・蜻蛉(とんぼ)。
二匹のトンボが連なって(繋がって)、水たまりなどへ産卵する仕草を「水を釣る」と表現します。「一匹となり」が創意。
十三は十五に足りぬ後の月
10月9日
季語・・・後の月(のち)、十三夜。
8日は、後の月でした。十五夜から一か月後、満月ではないけれど風情を楽しむ。月見は両方するのが良いとされ片方だけだと片見月(片月見)といい、縁起が悪いと言われている。
翔平の賞賛あふれゐる夜長
10月8日
季語・・・夜長(よなが)。
米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(28)選手が今季最終戦で、規定投球回(162回)と規定打席(502回)の両方に到達する偉業を成し遂げ、報道は一勢に賛辞で称えました。
いちファンとして嬉しい夜長となり、新聞の見出しに使われた語句を書いてみました。
隣人の蛮行やまぬ黍嵐
10月7日
季語・・・黍嵐(きびあらし)。
4日、5日と北朝鮮のミサイルの報道に驚きました。地震速報には少し慣れましたが、これには慣れるわけにはいきません。唐黍をなぎ倒す暴風を黍嵐といいます。
雨音に歌詞をつける木の実落つ
10月7日
季語・・・木の実(このみ)。
4日、5日と雨が降り続きました。雨だれの音に歌詞をつけて歌っている子供。木の実が落ちる音に歌うのを止めたか、続けて歌っているのか読み手の想像力に任せます。
蜘蛛の囲の雨粒重くたるみゐる
10月6日
季語・・・蜘蛛(くも)の囲(ゐ)。
4日、久し振りに雨が降りました。社中展開催中は好天に恵まれ幸運でした。
「たるみゐる」が写生です。
風のまま狗尾草のじゃれ合ひぬ
10月5日
季語・・・狗尾草(ゑのころぐさ)。
子犬の尾にみたててこの名があり、猫じゃらしとも言う。「じゃれ合ひぬ」が写生。
檀の実風をくすぐるやうな揺れ
10月4日
季語・・・檀(まゆみ)の実。
吊り花は季語ではないので同種のマユミの実として詠みました。「くすぐる」が写生です。
連れ立って雅びにまとふ秋袷
10月3日
季語・・・秋袷(あきあはせ)。
コロナ禍で和服を着ての外出もなく過していたらしく、連日和服を替えて来場され雰囲気を楽しまれている方は何人か居られます。写真は承諾を得て掲載しました。
応援のハイビスカスは咲き続け
10月2日
季語・・・ハイビスカス。
10月1日も晴天。札幌の予報では最高気温が28℃、残暑です。不思議なことに鉢のハイビスカスが社中展初日に一輪咲き、会期に合わせるかのように一輪ずつ咲き続けています。六輪まで続くか楽しみにしています。
隔年で集ふ喜び秋うらら
10月1日
季語・・・秋麗(うらら)。
30日、薄い雲は懸っているが快晴です。天気も応援してくれているのか晴天が続きます。隔年ごとの開催なので(社中展)久し振りにお会い出来る喜びに話題は尽きない。
2022年9月
若者の書道作品天高し
9月30日
季語・・・天高し、空高し。
29日、今日も天気が良く、空が高いです。教室の学童会員は小学、中学、高校と特別の事情がない限り止めずに続いています。額縁へは自分で工夫して入れました。(因みに裏打ちは私がやりました。)
光黎展雅びに祝ふ秋袷
9月29日
季語・・・秋袷(あはせ)。
和服でのご来場者もおられ会場の雰囲気を楽しんでいらっしゃいました。私には当たり前の会場設営ですが、皆さん「この雰囲気は他にはない」とおっしゃって下さいました。
秋晴や開催祝ふ社中展
9月28日
季語・・・秋晴(あきばれ)。
27日の朝焼け(写真)の珍しい風景に出会い、初日を祝うかのような予感。まさに秋晴れの天気でした。国葬の日だったので入場者は少なめでした。
鈴薔薇が客を迎へて社中展
26日に光黎書展の展示設営をしてきました。「花」の担当は池上さんで、教室に飾った鈴薔薇の実を所望されたので拙宅のほとんど剪って活けてもらいました。会場にて確認して下さい。
流星や皆で頑張れ社中展
9月26日
季語・・・流星(りうせい)、流れ星。
24日の20時30分頃、南の方角に流れ星を見ました。夕方には室蘭の長老から励ましの電話もあり、揚句が生まれました。
紫の弁慶草の強固たる
9月26日
季語・・・弁慶草(べんけいさう)。
ベンケイソウは踏まれたり、折れたりしても立ち直り丈夫なのでこの名がつきました。「強固」のその思いを込めて詠みました。
残暑に疲れを見せてゐるダリア
9月25日
季語・・・ダリア。
残暑が続きました。暑さに強いダリアも少し萎れて乱れ咲いています。「疲れを見せ」と写生してみました。
弾かれて風鈴音を仕舞いけり
9月25日
季語・・・秋の風鈴。
風鈴を仕舞う時、指で短冊を弾いて鳴らしてから片付けました。「音を仕舞う」と表現してみました。
雲ほどけ色づき初めしななかまど
9月24日
季語・・・七竈(ななかまど)。
急に秋めいてきて、夏雲はほどけて細かくなっています。ナナカマドの実が色づき始めました。
隙間なく押し合ふ甘さマスカット
9月23日
季語・・・葡萄(ぶだう)、マスカット。
23日は秋分の日、そして秋の彼岸の中日で供え用のマスカット。今のブドウは粒が大きくて甘いのを「押し合ふ甘さ」と表現しました。
サルビアのシソ科と思ふ色深む
6月22日
季語・・・サルビア。
サルビアは赤いとの連想が強く夏の花のイメージですが、シソ科なので秋色の落ち着いた色合も多く見受けられます。
大柄に揺れるキササゲ野分去る
9月21日
季語・・・野分(のわき)、秋の暴風のこと。
キササゲ(楸)という植物を知りました。梓実(シジツ)という生薬だそうです。強風に大きく揺れていて気がつき、「大柄に」と写生してみました。
朝焼や台風襲ひ来る針路
9月20日
季語・・・朝焼(あさやけ)、台風(たいふう)。
写真は18日朝のもの。俗に朝焼けは天気が悪くなるといわれている。まさに台風14号が日本列島を襲っています。
英国の女王に跪(ひざまづ)き
9月19日
季語・・・菊(きく)。
19日、英国のエリザベス女王の国葬が執り行われます。映像で見る供花には菊が多いように見受けられました。民衆に慕われた女王で棺にお別れをする国民の列が16㎞に及んでいるとか。
白菊や残る暑さを薄めゐる
9月19日
季語・・・白菊。
厚物(あつもの)の白菊は存在感があり、清々しい雰囲気を醸します。「暑さを薄め」と大胆に詠んでみました。
晴天が運動会を励ませり
9月18日
季語・・・運動会(うんどうくわい)。
北海道は春に運動会を催す処が多いですが、秋の季語です。幼稚園で小さな運動会を行っていました。「励ます」が創意。
露の字は似合はぬロシア狂と替へ
9月17日
季語・・・露(つゆ)。
「露」の文字を使って、時事句と写生句を詠んでみました。
蜜の露虎の尾の花輝きぬ
9月17日
季語・・・露。
拙宅の虎の尾が花を咲かせました。珍しいのだそうです。環境が合っているのでしょう。以前に鉢を割って大株になったものです。蜜は甘いのだそうです。「密の露」と表現しました。
宵闇や闇の深さにまだ慣れぬ
9月16日
季語・・・宵闇(よひやみ)。
月の出が更に遅くなり、夜更けまでの闇を言う。夏の短夜に慣れてしまい、夜長にはまだ慣れていないの意。
風に色遊ばせてゐて女郎花
9月16日
季語・・・女郎花(をみなへし)。
近所ではオミナエシを見る機会もなくなりましたが、先日デパートの屋上で見れました(写真)花展の帰りに寄った時のことです。
「遊ばせ」が写生です。
更待の疲れをみせて寝静まる
9月15日
季語・・・更待月(ふけまちづき)。
夜が更けてから出てくる月は半ば欠けていて寂しさがつのる。「寝静まる」に夏の疲れを表現してみました。
鈴薔薇の実に色被せゐる夕日
9月15日
拙宅の鈴薔薇の実を教室に活けて貰いました。花舗でも売っているとか、2m以上も高くなり、よく夕焼けに染まっています。
寝待月欠けるを愛でる日本人
9月14日
季語・・・寝待月(ねまちづき)。
月の出が遅くなり、寝ながら待つという季語。月が欠けてゆくのを楽しむのは日本人の優れた感性だと思う。
垂直に秋明菊の堅き揺れ
9月14日
季語・・・菊。
シュウメイギクは長く伸びた茎に花を付けます。花は柔らかなのですが、茎が堅いので「堅き揺れ」と写生しました。
人間に完璧はなし居待月
9月13日
季語・・・居待(ゐまち)月。
故島田一歩先生に褒められた句で、古稀展にも書きました。満月より二日分欠けた月です。
球児等の毬栗(いがぐり)頭栗育つ
9月13日
季語・・・栗、毬栗。
高校野球の球児達は今も丸坊主頭でした。強制されてはいないと思うが見た限りではそうでした。これからの成長に期待します。
駅を出て立待月のそっと添う
9月12日
季語・・・立待月(たちまちづき)。
仕事帰りの時刻に月が出てきます。月を見ながら帰宅するのも風情がありますね。「そっと添う」と表現してみました。
沈みゆく満月昇りくる朝日
9月12日
季語・・・満月。
先週は晴天続きで十五夜は雲ひとつない夜空でした。朝5時に起床してカーテンを開けると珍しい現象に遭遇詠んだ句です。良い写真ではありませんが(都会は電線が多すぎます)ご覧下さい。
十六夜やちょっと遅れて目立つ人
9月11日
季語・・・十六夜(いざよひ)。
今夜から月の出が少しづつ遅くなります。会合などに少し遅れると以外と注目を浴びてしまいますね。十六夜と合わせてみました。
都会の隅かすかに聞こゆ萩の声
9月10日
季語・・・萩(をぎ)の声。
「萩の声」とは、萩に来る風音です。「かすか」は合いすぎかと思うが、この形容が合ってると思います。「都会の隅」に発見しました。
名月の明るさ闇に塗り込める
9月10日
季語・・・名月。
満月の夜は明るく、月光が差し込むと独特の雰囲気になります。一刻、月を愛でて遊ぶのも優雅なものです。「月光が闇に塗り込む」と表現してみました。
仲秋の風船葛膨らみぬ
9月10日
季語・・・仲秋(ちゅうしう)。
仲秋というと名月や十五夜を指す場合もあります。ここでは風船葛(フウセンカズラ)を膨らませてみました。
待宵の待つ楽しさは恋に似て
9月9日
季語・・・待宵(まつよひ)。
10日は十五夜、前日を待宵、月を小望月といいます。美しい名称が続きますので取り上げてみます。写真は1日遅れになりますが、ご覧下さい。
台風の背中(せな)を押す風浮きて歩す
9月9日
季語・・・台風(たいふう)。
6日の台風11号通貨時、札幌も強風が吹き、教室からの帰宅時背中を押されながら歩きました。時には吹き飛ばされそうになりながら…。
蜻蛉来狭庭の空を低くとぶ
羽根伏せて蜻蛉は風をやりすごす
9月8日
季語・・・蜻蛉(とんぼ)。
拙宅の狭庭にもトンボが飛び回るような季節になりました。まだ暑さが残っているのでこれから沢山やってくるでしょう。
紫を極め紫苑の風さびし
9月7日
季語・・・紫苑(しおん)。
シオンの咲く頃は、暑さも落ち着き、秋の風情なのですが、何故か「紫にさびしさ」を感じます。私だけの感覚でしょうか。
贅沢な一瞬薔薇を剪る時は
9月6日
季語・・・薔薇(ばら)。
拙宅の庭の花を剪って教室に活けてもらっていますが、バラの花を剪る時は、他の花とは違う緊張感があります。
「贅沢な一瞬」と詠んでみました。
夕焼の色を固めてヒペリカム
9月5日
季語・・・夕焼(ゆふやけ)。
夕焼けは年中見られますが、季語では夏になってます。私は今頃が一番奇麗と感じています。「色を固めて」と表現してみました。
日に風にグラジオラスの細身かな
9月4日
季語・・・グラジオラス。
細身の花茎で独特の風情があります。「日に風に」と読み手の感性に委ねて詠嘆の切れ字の「かな」を使いました。
紫のふくらみ割りて桔梗咲く
9月3日
季語・・・桔梗(ききやう)。
キキョウの蕾はぷっくりふくらんでいて、花開く時(見たことはないが)音をたてるかのような気がします。「割りて」と形容してみました。
朝からのほろ酔い気分酔芙蓉
9月2日
季語・・・芙蓉(ふよう)。
スイフヨウは園芸品種で花の色が白から次第に紅を帯びてゆきます。「ほろ酔い気分」と表現してみました。
めぐりくる二百十日の非常食
9月1日
季語・・・二百十日(にひゃくとをか)。
1日は防災の日。立春から数えて210日は、台風など災害の多い厄日とされています。非常食の常備食品を食べて新しい物と入替える時期でもあります。
2022年8月
虫の聲(声)愛しき音色響かせて
8月31日
季語・・・虫の声。
ベランダの鉢物に邯鄲(かんたん)だと思うが住みついて夕方から休みなく鳴いています。もっと広い草むらで鳴けばとも思いますが、虫にも事情があるのでしょう。
省略の夏水仙の立ち姿
8月31日
ナツズイセンは、ヒガンバナ科で花期に葉がないのが特徴です。春の葉形が水仙に似ているのでこの名がつきました。「省略」と表現してみました。
はちきれるばかりの紫紺秋の茄子
8月30日
季語・・・秋茄子(あきなす)。
ナスビは秋になると紫紺を深め美味しくなります。小粒になる特徴もあり「はちきれる」と写生してみました。
夏菊の裾の葉秋を近づけし
8月29日
季語・・・夏菊(なつぎく)。
菊はこれからが見頃を迎えますが、夏菊は初夏から咲いています。裾の葉はすでに枯れはじめていて「秋を近づけし」と写生してみました。
涼しげな風を呼びこむ花カラー
8月28日
季語・・・涼し。
「涼し」は夏の季語ですが、風に涼しさを感じる季節になりました。「呼びこむ」と表現してみました。
未知数の未熟青柿青葡萄
8月27日
季語・・・青柿、青葡萄(あをぶだう)。
子供たちは未熟ではありますが、未知数の可能性を持っています。「未知数の未熟」羨ましいですね。
紫陽花の褪せて深まる青さびし
8月26日
季語・・・紫陽花(あぢさゐ)。
華やぎのあったアジサイの色彩も色褪せてしまいました。拙宅のアジサイは、今はドライフラワーになっています。
太陽に焦がれ向日葵日に焼かれ
8月25日
季語・・・向日葵(ひまはり)。
太陽を正面にして十分日を浴びた向日葵は枯れて佇っているのですが「日に焼かれ」と表現してみました。
山萩の風を大きく送り出す
8月24日
季語・・・萩(はぎ)。
山萩の花は小振りですが、大きく枝を伸ばして風に大きく揺れます。「送り出す」と大胆に詠んでみました。
甲子園漲る汗を滴らせ
8月23日
季語・・・汗(あせ)。
第104回全国高校野球選手権は仙台育英の初優勝で幕を閉じました。悲願の白河の関を優勝旗が越えます。今年は社中展の準備をやりながらの観戦であまり熱心に応援できませんでしたが、真摯に取り組む姿勢は例年以上だと感じました。
「漲る汗」と表現しました。
夕焼を寄せぬ照明甲子園
8月23日
季語・・・夕焼(ゆふやけ)。
日が傾き球場の照明が点ると甲子園の熱気で背景の夕焼けを押しやる様に感じます。
「夕焼を寄せぬ」と表現してみました。
葉に守られ南瓜静かに太りゐる
8月22日
季語・・・南瓜(かぼちゃ)。
日に日に大きくなってゆくカボチャを写生してみました。「葉に守られて」が写生です。守る(もる)=古語
朝顔の解きて今朝に馴染みゆく
8月21日
季語・・・朝顔(あさがほ)。
朝顔の花は次々と開き萎んでゆきます。午後にはもう花を閉じているものもあります。「今朝に馴染みゆく」と表現してみました。
のぞかれて底紅ひと日終へにけり
8月20日
季語・・・底紅(そこべに)。
ムクゲの花にこの名を付けた感性に感心してしまいます。ついのぞいてみたくなります。1日花なので「ひと日終へ」と表現してみました。
秋驟雨去りてさらりと風変はる
8月19日
季語・・・驟雨(しうう)=夏の季語
16日の豪雨が去ってから風が変わったような気がします。蜻蛉も見かけるようになり、秋隣の風情を感じます。
青似合ふハイビスカスに空と海
8月19日
季語・・・ハイビスカス。
朝、夜は涼しくなってきましたが、日中は残暑で雲の形もまだ夏が残っています。ハイビスカスもまだ咲き誇っています。
ゆったりと安春川の鴨涼し
8月18日
季語・・・涼し。
16日の豪雨が去り17日は朝から残暑が厳しい晴天です。安春川の鴨たちは濁流をやり過せたでしょうか。
あでやかに撫子の花風まとふ
8月17日
季語・・・撫子(なでしこ)。
秋の七草の一つの撫子(河原撫子)は背が高くきゃしゃな雰囲気が漂います。今の園芸品種は丈が低くガッシリとしていて「大和撫子」には異和感があります。
白桃の皮剥き果汁溢れ出す
8月16日
季語・・・桃(もも)、白桃。
盆供(ぼんく)のために購入しました。今年は安くて美味しいと感じています。「果汁溢れ出す」が実感です。
語り継ぐ言葉の重み終戦日
8月15日
季語・・・敗戦日、終戦記念日。
毎年8月15日は、甲子園を観て、正午近くには全国戦没者追悼式での黙祷、標柱の文字の確認、粗食にて静かに過しています。
炎天の南国の風リアトリス
8月15日
季語・・・炎天(えんてん)。
立秋が過ぎたので残暑と言わなければなりませんが、ここ数日はまさに炎天下。「南国の風」と表現してみました。
紫に紫重ね紫蘇の花
8月13日
季語・・・紫蘇(しそ)。
最近はシソを植える家もあまりなく、写真はシソ科のロシアンセージです。「紫」を3字使った句を仕立ててみました。
風の波釣舟草の揺れやまず
8月13日
季語・・・釣舟草(つりふねそう)。
釣舟草は、風がなくても揺れているような風情があります。「風の波」と表現してみました。
唯一無二 ー二刀流偉業また一つー
8月12日
9日、エンゼルスの大谷翔平選手(28)が10勝目を挙げ、米大リーグで100年以上も達成されなかった「2桁勝利、2桁本塁打」(ベーブ・ルースが1918年に記録)の偉業を成し遂げた。
甲子園球児西日を駆け抜ける
8月12日
季語・・・西日(にしび)。
時を同じく甲子園では全国高校野球選手権大会(第104回)が進行していて、札幌大谷、旭川大学高校も奮闘しましたが、1回戦で敗退でした。
大小の丸みに熟しゆくトマト
8月11日
季語・・・トマト。
今は色々の形状のトマトが店頭に並んでいます。色も多彩です。「大小の丸み」と写生してみました。
松葉牡丹無邪気に色を広げゐる
8月10日
季語・・・松葉牡丹(まつばぼたん)。
松葉牡丹の花言葉は無邪気。確かにその雰囲気を持っています。
噴水の飛沫(しぶき)の全てひかりゐる
8月9日
季語・・・噴水(ふんすい)。
空に向かって墳き上がる水、空にぶつかって砕け散る飛沫、全てが光を内蔵して輝いています。
七夕竹風にふくらみしぼられて
8月8日
季語・・・七夕(たなばた)。
7日は、七夕と立秋でした。例年学童と七夕飾りをするのですが、今年は「社中展」の制作中でしませんでした。「暑さ」は「残暑」となります。
あの日から七十七年原爆忌
8月7日
季語・・・原爆忌(げんばくき)。
8月6日と9日の原爆を投下された日を慰霊する季語。「あの日」としか表現できない空虚感はあります。
神からの涼風鳥居潜る時
8月7日
季語・・・涼風(りゃうふう)。
鳥居を潜って境内に入ると深緑のせいか気温が少し下がっているように感じます。「神からの涼風」と詠んでみました。
珍しき模様に寄れば蝶翔てり
8月6日
季語・・・蝶(てふ)。
水引草の斑入りの葉の珍しい模様によく見ると蝶が止まっており、近づくととびたってゆきました。
切る度に強く伸びゆく蛇苺
8月5日
季語・・・蛇苺(へびいちご)、キイチゴ。
拙宅の庭の隅に植えた覚えのないキイチゴの叢(むら)があり、切っても太く逞しく増えています。食用になるとは聞きますが、食べる気にはなりません。
消火栓塗り直される色涼し
8月4日
季語・・・涼し(すずし)。
教室の近くにある消火栓がペンキで塗られ新装となりましたが、写真のです。イメージでは赤なのですが・・・。「色涼し」が写生です。
凌霄の花日に向ひ咲き続け
8月3日
季語・・・凌霄(のうぜん)の花。
凌霄の花が咲き出すと暑さも盛りになります。花色と勢いのある蔓は夏を満喫しているようにも見えます。
枝豆の弾みとび出し口逃れ
8月2日
季語・・・枝豆。
枝豆は指で押してとび出た豆を食べるのですが、力加減で勢いよくとび出すのもあります。「弾み」と表現してみました。
紫陽花の色見きわめて剪りにけり
8月1日
季語・・・紫陽花(あぢさゐ)。
アジサイの花は盛りを過ぎる頃に切らなければ次の年にあまり咲きません。「見きわめ」が肝要です。
2022年7月
電線の影伝ひ歩す炎天下
7月31日
季語・・・炎天下(えんてんか)。
遮るものない炎天を歩く時、電線の細い影でも有難く日陰になります。私は最近日傘を利用しています。
登下校の走り消へたる夏休
7月30日
季語・・・夏休。
今週から小、中学校が夏休みになり普段元気に登下校していた学生も姿を見せなくなりました。「走り消え」と表現してみました。
菩提子の花屑風の筋見せる
7月30日
季語・・・菩提子(樹)(ばだいし)。
ボダイジュは大木で花屑も多量に散り敷いています。実は数珠に使われるので馴染みがあります。
道産の甘さ唐黍頬ばりぬ
7月29日
季語・・・玉蜀黍(とうもろこし)、唐黍(とうきび)。
道産の朝獲りの唐黍が出回り初めました。早速食べましたが、この甘さは地物でしか味わえませんね。因みに高木先生の大好物で上京の折、持参すると奥様が大変喜ばれます。
人寄せず風に任せて夏薊
7月28日
季語・・・薊(あざみ)=春の季語。
鬼薊(オニアザミ)は花以外は鋭い棘に覆われているので、「人寄せず」と表現しました。
異次元の超人 ー男子棒高跳び世界新ー
7月27日
25日、陸上の世界選手権(米、オレゴン)の男子棒高跳びで東京五輪金のアルマント・デュプランティス(スウェーデン)が自身の世界記録を1センチ更新する6メートル21に成功した。
私も丁度、昼時でテレビを観戦していて、気負いのない跳躍を見て感動しました。日本人の活躍もさる事ながら世界には超人がいるのですね。
向日葵の日に対峙(たいじ)する丸さかな
7月27日
季語・・・向日葵(ひまはり)。
ヒマワリの花が咲き出しました。夏旺んの風情。「日に対峙」と大胆に詠みました。
ハスカップ笑ふ紫口涼し
7月26日
季語・・・涼し。
拙宅のハスカップの実を収穫しました。ほんのひと握りですが、食べると口の中が紫色に染まります。「笑ふ紫」と表現してみました。
崩れゆく花びらの横咲くダリア
7月25日
季語・・・ダリア。
ダリアは開花すると豪華な花ですが、散る時は崩れるように散ります。盛衰を感じる風情があります。
夕方は少し眠くて合歓の花
7月24日
季語・・・合歓の花(ねむのはな)。
合歓の木は夕方になると葉が閉じて、まるで眠るようなのでこの名があります。揚句は少し説明調ですが、「少し眠くて」が写生です。
うれしいもうの字がつくと子の土用
7月23日
季語・・・土用(どよう)。
土用の丑の日(23日)には「う」のつく食べ物を摂ると土用(立秋までの18日間)を乗り越えられるとの言伝えがあり、うどん・うめぼし・うりなどを食します。揚句は子供の発想の柔らかさでしょうか。
白木槿朝の空気をさっぱりと
7月23日
季語・・・木槿。
木槿が咲き出しました。拙宅のは白とピンク、白が一勢に咲くと「空気をさっぱりと」清めているように見えます。
来し風を京鹿の子草細やかに
7月22日
季語・・・京鹿の子(オミナエシ)。
ピンクの京鹿の子草は終わってしまいましたが、今は白が盛りを迎えています。葉に斑が入り、教室にも活けて貰いました。
暁の朝顔今日の色ほどく
7月21日
季語・・・朝顔(あさがほ)。
朝顔のねじれた蕾が夜明けに解けてゆく様を詠みました。「今日の色ほどく」が写生です。
柔の郎希、剛の翔平
7月20日
米大リーグでノーヒットノーランを達成した岩隈久志氏の分析によると、体の柔らかさを最大限に生かしたしなやかな佐々木。身体能力が生み出すパワーの大谷との投球フォームが特徴という。
軒下の風鈴気まま風のまま
7月20日
季語・・・風鈴(ふうりん)。
風が強いと気に障る音も風が弱いと鳴らずに忘れられる。この状態を中七からの表現で「風鈴気まま」と詠んでみました。
紫を紫紺に深め茄子の花
7月19日
季語・・・茄子の花(なすのはな)。
茄子の花は薄紫、ナスビは紫というよりは紫紺、色の対比を「深め」と表現しました。
海の日の砂に平和と太く書く
7月18日
18日は「海の日」。この夏海水浴に行かれる方もいらっしゃるでしょう。砂浜に図形を描く子供達も祈りを込めて「平和」と書いてみては。「太く」が共感を得ると思います。
探りゆく蔓の先端豆の花
7月18日
季語・・・豆の花(まめのはな)。
豆類の蔓は常に巻きつく物を捜して伸びてゆきます。「蔓の先端」と焦点を当て、印象的に詠んでみました。
秒針の数を増して時計草
7月17日
季語・・・時計草。
時計の文字盤に似ているのでこの名がつきました。周りの細い毛のような物が秒針の差す目盛に見えて、こう写生しました。
風に透け薄さ煽られ花菖蒲
7月16日
季語・・・花菖蒲(はなしゃうぶ)。
ハナショウブの花びらの薄さを詠んでみました。日に透けるのを「風に透け」と表現してみました。
祝 砲 大谷翔平 ーオールスター戦二年連続ファン投票選出ー
7月15日
米大リーグのオールスター戦(19日、ロサンゼルス)の出場選手が10日発表され、エンゼルスの大谷翔平選手が2年連続で投手と指名打者で選出され、2年連続で大リーグの歴史に名を刻むことになった。
指先の往復忙はしさくらんぼ
7月15日
季語・・・さくらんぼ。
サクランボを食べる時の動作を指先に焦点を当て表現してみました。「往復忙(せ)はし」が写生です。
夢かなった ー生涯ゴールデンスラム 国枝慎吾ー
7月14日
テニスのウインブルドン選手権(10日)、車いす部門の男子シングルスで国枝慎吾選手が優勝し、四大大会制覇とパラ金メダルを合わせた「生涯ゴールデンスラム」を達成。
雨粒を葉先にしぼる花擬宝珠(ぎぼし)
7月14日
季語・・・擬宝珠(ぎぼうし)の花。
橋の欄干の飾りに似ているのでこの名があります。若葉は食用になるとか、私はまだ食べたことはありません。
日に強く真っすぐのぼる立葵
7月13日
季語・・・葵(あふひ)。
大きな葉にしっかりと支えられて真っすぐに空へ向かって伸びてゆきます。2mを超えるものもあり、存在感のある花です。
螢袋芯を覗いてみたくなる
7月12日
季語・・・螢袋(ほたるぶくろ)。
俳味のある句に仕立ててみました。素直に詠むのも雑味がなく良いのではと自賛しています。
日に丸く天道虫は艶やかに
7月11日
季語・・・天道虫(てんたうむし)。
小さなテントウ虫を見つけました。葉陰にひっそりといましたが、強烈な赤なので目立ちます。この模様が進化の過程なのだそうです。「日に丸く」と写生しました。
風の向き平に変へて鉄線花
7月10日
季語・・・鉄線花(てっせんか)。
花びらを平に開いて光を浴びています。揺れ方も平に見えるので「風の向きを平に」と写生しました。
生き抜いてみせる根性夏鴉(カラス)
7月9日
交差点の真ん中で車の往来も気にせず何かを啄んでいるカラスに遭遇。生命力を垣間見る思いに「根性」と詠んでみました。
薔薇の花朝ごと庭を変へゆけり
7月8日
季語・・・薔薇(ばら)。
バラの花は香りも芳しく、豪華な雰囲気を醸します。蔓バラは毎朝花が開くので楽しみです。「庭を変へる」と表現してみました。
充実の日々は晒さぬ袋掛
7月7日
季語・・・袋掛(ふくろかけ)。
果樹に袋掛けをして収穫を楽しみに待つ園芸好きの庭も散見します。通行人としては果実の太りゆく様を見られないのが残念です。
風露草やはらかに色ふくらませ
7月6日
季語・・・風露草。
フウロ草は切り込みの入った葉に可憐な花を細かくつけて咲きつづけます。柔かな色合いにふくらみを感じました。
紫の色引き締めてラベンダー
7月5日
季語・・・ラベンダー。
ラベンダーの濃紫は、香りのイメージから深く奥行きのある紫に見えます。「色引き締めて」と表現してみました。
薔薇色を深め香りを濃く放つ
7月4日
季語・・・薔薇(ばら)。
それぞれにバラが咲き誇っています。種類も多く個性も多様で魅力的な花です。
紫陽花の隅田の花火てふ佳き名
7月3日
季語・・・紫陽花(あぢさゐ)。
写真提供は森田順子さん。娘さんからの贈りものとか。拙宅にもこの名のアジサイはありますが、雰囲気が少し違います。本当に揚花火のようですね。
てふ(古語)=という
蛸食ふと関西の人半夏生
7月2日
季語・・・半夏生(はんげしゃう)。
2日は、二十四節気のひとつ半夏生。関西では稲が蛸の脚のように根づくよう蛸を食べる風習があるとか。本格的に暑くなってきます。半夏生という植物(ドクダミ)もあります。
近所の神社では、7日まで(半夏生)夏越祭を催しています。
並べ方眺めて買はず桜桃
7月1日
季語・・・桜桃(さくらんぼ)。
さくらんぼが店頭に出回るようになりました。佐藤錦などの高級品はきれいに並べられていますが、買ったことはありません。眺めるだけです。
櫻児(みどりご)のふっくらほっぺさくらんぼ
7月1日
みどりご(3、4歳くらいの子)の頬にたとえてみました。