【新着】第87回謙慎書道会展アルバム

謙慎展のアルバムが各自に届いたと思います。各頁、各自の評論を書きましたのでアルバムの作品を見ながら読んでもらうと勉強になると思います。
全体的に明るい作品になり、現代性を評価して頂き好成績になりました。
慢心することなく日々研鑽に励みましょう。

表紙ー髙木先生

月偏の下の余白と落款に類例を見ない余白美がある。

見開きー新井先生(2点共)

直筆の曲線に節度をつけた運筆に呼吸の深さを見る間架の疎密が普通ではない。
下の小品に側筆の渇筆が有、珍しい。

P.3ー右、髙木先生小品

間架の疎密が新感覚である

P.3ー左、鹿倉硯齋先生

2文字なのに、中央に余白を配置せず鋭い渇筆で纏めたのが斬新。飛墨に工夫がある。
会場では髙木先生の対面に有、圧巻の存在感を示した。

P.4ー左上、佐川峰章先生(書聖の主宰)

珍しく柔らかな運筆で纏め、間架に工夫を見る。

P.4ー右上、中村大郁先生(郁文社の事務主任)

篆隷に行意を混ぜ斬新、「欲」の下の字の欠(あくび)が珍しい。

P.4ー下、小西北翔先生

左の字に風の通る余白を配し、右の字に寄せ潤渇の妙を見せている。

ここからは、会員の評価です↓

太田 千恵(特選)

行間を広く取り明るい作である。左右の余白に働きかける妙義が秀逸。

池上 真理(特選)

潤滑のバランスが良い。漢字と仮名の調和が自然である。

小西 加奈子(秀逸)

運筆に独自の筆法があり面白い。含墨が足りず深さに欠けたか?

松崎 陽子(秀逸)

線質に多様な変化は見えないが、仮名の大小の変化の巧さがある直線的な運筆も好感が持てる。

井上 大樹(秀逸)

右上がりの運筆に呉昌碩の面影を見る。墨の置き場所が巧み。

津坂 周太郎(秀逸)

作意が見える所は消化不足か?王鐸の筆法を理解している。

水野 光歩(秀逸)

字間の間に文節の面白さがあり調和体独特の緩急がある。漢字の結体が少し堅い。

船田 浩司(秀逸)

運筆に上手さはあるが、字間に余裕が無く生真面目さが出た。

松下 文子(秀逸)

柔らかな筆捌きが巧み。仮名の緩急に自然さがあり見事。

宮本 光子(秀逸)

含墨が十分で深い線条に厚みがある。後半を楽に纏めたのはさすがである。

稲葉 美粧(秀逸)

行間が広く明るい雰囲気が良い。右上がりの筆法に「呉昌碩」習得の跡が見え格調が高い。

相馬 恵子(褒状)

柔らかな運筆で文節も良いが、後半の行間は広過ぎました。

西澤 美雪(褒状)

左右の余白への働きかけは成功しているが、運筆が未だ堅い。

氣仙 采竹(褒状)

布置の完成度は高い。運筆の左右の動きは良いが、上下の動きが感じられないのは書作時の姿勢のせいか?

戸澤 澄仁(秀逸)

運筆の堅さは否めないが、漢字と片仮名の調和が自然である。公募での片仮名の展示は一点だけで役員の隣の部屋に展示されたのは将来への示唆か?

西野 愛美(褒状)

字粒の大小の緩急に巧さがある。特に漢字の筆捌きは上手いが「影」「籠」は大き過ぎたか?

石澤 李沙(褒状)

仮名の大小のバランスが良い。筆捌きに上手さもあるが、中心を通す感覚が定まらなかった。

古田 裕子(褒状)

潤渇のバランスが良く纏っている。二行目の蛇行が惜しまれる。

山下 心三(褒状)

字粒の大小のバランスが良く左右への変化も良いが運筆が堅い。

水田 友理(褒状)

大小のバランスが良く筆捌きも上手いが、仮名の結体に堅さがある。

水野 鳳山(褒状)

書作枚数の少なさか下部の纏めに乱れはあるが、筆捌きに柔らかさがあり良い。

山下 花美(褒状)

バランス良く纏めたが運筆に性急さがあり、平面的な筆捌きである。

加納 未来(入選)

きれいに纏めたが、字を置いていくだけで筆捌きに躍動感が足りない。

加納 志季(入選)

纏っているが、筆捌きに躍動感が無く線条が重たい。

大和田 采良(入選)

行間の間隔が良くきれいに纏めたが、筆致に性急さが見られ落ち着かない。

山内 咲(入選)

丁寧な筆致は好感が持てるが、最後まで書き切る精神力がほしい。馴れが必要です。

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