WEB書展作品人気投票1位 得票数11
夏 籠
ーコロナ禍の終息願ひたる安居ー

7月7日(七夕)
今日は七夕、(北海道は月遅れの8月7日の所が多い)先月の30日には名越(夏越)の祓(はらへ)で茅の輪をくぐって半年間の穢れを流すなど夏の行事が続きます。
安居(あんご)=夏籠(げごもり)も僧侶が修道のため一室に籠り精進修行する行事で(7月15日まで)これらは総て季語になっています。皆様には馴染みのある言葉、ない言葉もあるとは思いますが平穏な日常に彩りを添える伝統行事として残したいものです。
<作品解説>
破筆(割筆)を多用して線質の変化を求めました。
感謝の輝き

7月3日
大通公園、テレビ塔、道庁赤レンガ庁舎、先月25日、コロナ禍の緊急事態宣言が全面解除されて1か月が過ぎ、医療従事者らエッセンシャル・ワーカー(必須労働者)に感謝を伝える「ブルーライトアップ」が大通公園や道庁赤レンガ庁舎など、札幌市内8か所で行われました。
日により緑色など色をかえているとか
「ユーチューブ」で医療従事者に対する応援メッセージをまとめた動画を公開中
WEB書展作品人気投票2位 得票数9
風鈴は魔除けの鈴よ換気扇

7月28日+(プラス)55
新型コロナウイルスには「換気」が効果的だと分かってきました。
<作品解説>
風鈴が季語
WEB書展作品人気投票3位 得票数8
原点回帰

7月31日+(プラス)64
吾を守るマスクは他の人も守る
手洗ひの上手な子供新学期
登山靴仲良く二メートル離れ

5月22日
国よりマスクが届きました(18日)。これが4月でしたら嬉しかったのですが、5月初旬から各所で市販されております。薬局やドラッグストアには無いのですが、衣料品店や不思議にお寺の横の仏具店で大量に安価で売っています。手作りのマスクも売っていますし、私は会員から送って頂きました。教室にマスク、アルコール消毒液、シートは十分に備蓄されております。機を逸するとはこういうことなのですね。教訓として覚えておきます。
<作品解説>
句意=吾(わ・あ)、守る(もる・まもる)古語です。三句目、句またがりで読んでください。感染防止の基本3原則を詠みました。
料紙=扇面(扇に仕立てる)の黒扇用紙にアクリル絵具で書きました。
人は来ずよく吹く風や花は葉に

5月13日
冬桜、寒緋桜、染井吉野、山桜、八重桜、千島桜と浅学ですが、咲く順に並べてみました。9日に千島桜の開花が根室で発表をされましたので桜前線は終結しました。一方で「新型コロナウイルス」への緊急事態宣言は延長され(札幌は31日まで)15日には見直すと言っていますが、如何でしょうか。桜は自然の摂理により多少の遅延はありますが、概ね終わりはわかります。コロナ禍も長丁場になると思いますが、必ず収束します。感染抑制の原則を遵守し待ちましょう。
<作品解説>
句意=人の来訪に拘わらず風は自由に咲き桜は葉に(季語、葉桜)なりました。
運筆=渇筆に工夫しました。「花」の一画目、「葉」の左回りなど
WEB書展作品人気投票4位 得票数7
春奪ひ新型コロナウイルスめ

5月8日
こんな攻撃的な句を詠むなんて、自分でも驚いています。でも共感して頂けると思います。3月以降総ての行事、季節、日常の暮らしまで新型コロナウイルスに奪い取られました。自然の驚異などと達観してはいられません。来年には笑っていられると思いますが、今を乗り越えるのに必死な方達も多い現状では「ウイルスめ」と言い捨てたくもなります。
<作品解説>
素紙=潤渇の変化が出るので、中央で渇れと滲みで語句を分断しました。
マット=せめて爽快にとこの色にしました。
苦境の匠
ー伝統工芸を守る匠が苦境に立たされているー

7月27日+(プラス)54
「ねぶた祭」の中止で「ねぶた師」が生活の危機にある。金沢市で伝統の和傘を手がける傘職人、石川県の九谷焼や輪島塗などの作家が苦境にあるという。
流れ星三浦春馬を連れ去りぬ

7月22日
この俳句(弔句)を取り上げることに迷いはありましたが、これもコロナ禍の犠牲と捉え書きました。若い会員と最近話していた「コロナ鬱」に通じる事例なのかもしれません。観衆を前に表現する方達は今、その場を奪われています。この苦悩は計り知れません。若く真面目で才能があれば尚更思い悩み魔が差すのかもしれません。只、人生を「劇」にたとえると幕が降りるまで演じ続けなければ完結しません。幕は自分では降ろせません。今はただご冥福をお祈り致します。
<作品解説>
「流れ星」が季語、「星」に気持ちを打ちつけてみました。印に「香炉」と「仏像」を使いました。拡大してみて下さい。
富岳 -スパコン計算速度世界一ー

7月1日
スーパーコンピューター(スパコン)の計算速度を競う最新の世界ランキングで理化学研究所と富士通が開発した「富岳」が1位になったと報道されました。現在富岳は試運転中だが、4月から新型コロナウイルス感染症対策として2000種以上の既存薬から治療薬の候補を探す研究に使われているとのこと
<作品解説>
飛墨で速度を大胆な渇筆で現状を打破することを表現してみました。
恩返し ー医療従事者へー

6月25日
第2波、第3波を想定して感染症対策の最前線で奮闘した医療従事者への支援が活発に行われています。
航空業界は余剰人員を活用して医療資材を製造(医療用ガウン)、イベント会社とタクシー業界が協力して医療スタッフの送迎をしたり、フードトラックは温かい食事を無償で提供、靴の業界は医療パンプス、サンダルを製造など、
以前、秋篠宮家が総出で医療用ガウンを手作りして寄贈したとも報じられました。
<作品解説>
「し」1字で上の2字を支える大胆な構図にしてみました。「し」と小書きの調和にも苦心しました。
忍 耐

4月22日
三、四月と休校が続き子供達は不安と我慢を強いられていますが、健気に元気に暮らしています。今は辛いでしょうが、忍耐力は将来必ず役に立ちます。その子供達は大人をよく観察していますね。大人は率先して範を垂れましょう。
<作品解説>
タテ30㎝に満たない小品です。
墨が飛んだのを「飛墨」といいます。面白い技法でストレス解消になります。
料紙~地に草花が散らしてあります。
WEB書展作品人気投票5位 得票数6
衝 撃

7月18日
15日、ススキノのキャバクラでクラスターが発生してしまいました。「ついに来たか」が直感ですが、やはり衝撃が走ります。新聞報道によると、キャバクラの従業員はマスクを着用せず、客に密着するサービスをしていて、複数の人が発症後も勤務していたと証言しています。来客の追跡も難航していて「市中感染」の恐れがあるとして道と市は、ススキノに臨時のPCR検査センターの設置を決定致しました。一方、東京都は「感染拡大警報」を発令し深刻な「感染が拡大している」と警戒感を強めています。17日、東京都の1日の感染者は293人で過去最多を記録しました。
<作品解説>
行草体で書きましたので「撃」判読しにくいかもしれません。右下の「遊印」騎馬上で弓を射っています。拡大してみて下さい。
密-本当に会いたい人や夏座敷-

6月16日
コロナ禍では、人との接触を避けるようにとの社会的要請の中、テレワークや遠隔授業などが急速に普及しました。ただコロナ禍収束後はどうなるのでしょうか。オンライン化だけで人間関係が築けるとは思いません。
本当に会いたい人、話したい人との密な時間に今までよりも価値観が生まれるような気がします。
<作品解説>
俳句=夏座敷(季語)、夏用に風通しを考えた建具や調度品を誂えた座敷
型式=「密」一字と俳句一句のバランス、「密」字の密、俳句の疎の疎密
WEB書展作品人気投票6位 得票数5
一 喝ー父の日にコロナウイルス一喝すー

6月21日(父の日)
今日は「父の日」、昔は「地雷、雷、火事、親父」といって怖いものの代表格でしたが現在は如何なのでしょうか。当会の学童に聞くとお母さんの方が怖いと言っていますが、いざという時には家族を守るため身を挺す覚悟は持っているのでしょう。「昭和の親父」はアニメ「サザエさん」の波平に象徴されます。因みに、サザエさんは今日から新作再開で1作に「波平、父の日卒業」が放映される予定とか
<作品解説>
俳句=「喝」には励ましの意味もありますが、ここでは「強く叱る」の一喝です。
型式=「一」気合いを入れて落筆しました。
黙

6月19日+(プラス)12
黙(もだ)古語
慈 愛

6月13日+(プラス)6
慈愛の精神で人と接したいですね。
消毒を習慣にして四月去る

5月1日
近頃はよく手を洗うようになりました。アルコール消毒シートを持参して触れる物なども拭いています。これも、新型コロナウイルスの対処法、ある意味効用ですね。一過性にしないで継続し習慣にしていこうと自戒しております。皆様も収束までには長い期間がかかると思われます。お互い努力致しましょう。
<作品解説>
四月去る=季語としては「四月尽」なのですが、早くコロナ禍が去ってほしい気持ちで「去る」と詠みました。
「し」の長さ、仮名では3文字分程を長くするのはよく見受けられます。
用紙~素紙(滲む紙)
WEB書展作品人気投票7位 得票数4
蛍 袋
ーウイルスを蛍袋の包みゐるー

7月29日+(プラス)56
花を提灯(ちょうちん)に見立て火垂(提灯の古語)から来た説と花にホタルを入れて遊んだ説がある。北原白秋は釣鐘草と呼んだ。
鶴の踊り -アイヌ古式舞踊ー

7月12日
今日(12日)、「ウポポイ」(民族共生象徴空間)が先住民族アイヌの文化復興の拠点として北海道白老町にオープンしました。ウポポイは(アイヌ語で大勢で歌う意)を構成する「国立アイヌ民族博物館」は先住民族をテーマにした国内初の国立博物館となります。新型コロナウイルスによりオープンが大幅に延期され、当面感染防止のため入場制限を行い、体験学習は中止、実演なども見学のみとする予定とか、修学旅行の申込みが殺到しているそうです。
<作品解説>
潤渇の布置を逆さにして左右の動きに「踊り」を表現してみました。
決 断
「最大のミス」-政府高官の弁明ー

6月3日
2/27全国の小中学校などの臨時休校を要請した折、独断だとの批判に懲り「欧州からの入国を全部止めるべきだ」との意見に新たな措置を打ち出すのを躊躇してしまった。3月以降に国内感染が拡大したウイルスの多くは欧米を経由したウイルスだった。(北海道も第2波に襲われました)水際対策は断行すべきだったとの反省が報道されています。常にトップは決断を迫られ、成功して当たり前、失敗時には批判されます。この事例は後世に伝えなければなりません。
<作品解説>
運筆=高い位置からの落筆による飛墨(墨が飛び散る)を活かした余白と渇れの捻りに着目を
コロナ禍の収束願ひ揚花火

5月31日
新型コロナウイルス感染抑制のため各地の花火大会が相次いで中止になりました。大規模な大会中止により花火玉の在庫が飽和状態になり、製造が止まると技術の継承に影響があるとの事で6月初旬に「集客しない」「5分以内」をルールとして全国で打ち上げを実施し、動画を配信するようです。毎年、読売書法展の審査が(約1週間)墨田川花火大会と重なりますので、よく鑑賞に行っていました。今年は両方共中止です。
<作品解説>
俳句=揚花火(あげはなび)が季語、花火は悪疫退散を起源に始まりました。
型式=下地に紫で円相を描き文字を重ねてみました。
人癒す妖怪もゐる木下闇

5月26日
今回のコロナ禍で全国各地に疫病を封じる妖怪が沢山居る事を知りました。肥後(熊本)のアマビエ、越後(新潟)のアマビコ(海彦)、岐阜のヨゲンドリなど、ご当地キャラクターや、シール、グッズになり人気なのだそうです。校庭に地上絵として登場したり、旭川では地ビールのラベルに採用されたり、話題に事欠きません。
<作品解説>
俳句=木下闇(こしたやみ)が季語、青葉が繁ると濃い影が木の元に出来る様
料紙=赤染めで金の円相の模様入り
運筆=細めでゆらいでいる様に表現
母の日や人とを繋ぐ褒め言葉
母の日に手縫いのマスク手紙添へ

5月10日(母の日)
母の日には、直接会って贈り物や「ありがとう」の言葉を添えるのが一番の親孝行だと思うが、今は遠方だと移動出来ず、近くても同居していなければ、感染を恐れて行かないのがマナーかと思います。せめて電話(テレビ)、メールなど気持ちを伝える手段は幾らでもあります。ですが私は手書きの手紙が最良だと信じています。手紙ですと何度でも読み返せますし筆跡に心情が滲み出ます。日頃から手紙を書く習慣を身につけましょう。
<作品解説>
句意=右の句、褒め言葉は最高の贈り物、褒められても嫌な人はいません。左の句、今一番の贈り物はマスクかもしれません。
料紙・マット=カーネーションのピンクと赤をイメージしました。
WEB書展作品人気投票8位 得票数3
甲子園球場静か蔦茂る

8月2日+(プラス)69
<作品解説>
茂るが季語です。甲子園球場は今も昔も壁面に蔦が覆い茂げっています。
それぞれの夏 高校野球2020独自大会
ー読売新聞の表題よりー

8月2日
新型コロナウイルスの影響で甲子園球場の夏の全国高校野球選手権大会は中止となったが、各地方で独自の大会が行われました。「夏季北海道高校野球大会」が先月11日~26日まで各支部大会があり、熱戦を繰り広げ、選手たち、関係者は感染防止を徹底し、バットを使うたびに消毒、ベンチではマスク着用、試合終了後はベンチ、グラブなど最後の一拭までも全力を尽くしていました(3日から道の北・南大会が始まります)
「2020甲子園高校野球交流試合」(8月10日開幕)感染拡大防止のため原則無観客とし、部員や指導者1人につき家族5人まで観戦できるようになりました。
<作品解説>
枯葉を漉いた和紙に大小をつけた横書きにしてみました。
懸命に換気に務め扇風機

8月1日+(プラス)67
<作品解説>
「扇風機」が季語です。
句意=一生懸命換気をしてくれているのは扇風機です。
花 ー捨てられる花を救ふか花氷ー

7月29日+(プラス)57
「花氷」が季語、花を入れた水柱
空前の支援
ーコロナ禍、倒産増の危機ー

7月27日
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済危機に対応するため、政府は空前の規模の企業支援策を打ち出しました。
海外での販売不振に苦しむ日産は約7,000億円の資金を確保し、利用客減少に苦しむ航空大手のANAも1兆円を調達しました。
東京商工リサーチによると、6月のコロナ関連の倒産は103件で、4月の84件、5月の83件から急増し2月からの累計は314件に達しました。
多額の融資は不良債権化する恐れもあり、未曽有の危機を乗り切るため企業努力が試されます。
<作品解説>
横への運筆の動きに工夫を加え、潤渇に新しさを求めました。
能舞台
ー地謡が黒紋付袴にマスクしてー

7月20日
新型コロナウイルスの感染拡大で能楽の舞台活動を自粛していた、京都観世会が先月末に公演を再開した。感染防止のため、謡(うたい)を斉唱する「地謡」8人が黒紋付き袴にマスクを着用して登場、伝統や格式・様式を重んじる能楽の世界では異例な舞台演出となった。
<作品解説>
筆=直径3mm程で、穂の長さが10cmの長々鋒を使用したので独特の線質になりました。
鬼滅の刃 -吾峠呼世晴画ー

7月10日
巣ごもり需要とかで、紙の出版物の売り上げが最高の伸び率を記録していると出版取次大手「日本出版販売」が発表しています。分野別では児童書が前年比129.8%、コミックが157.6%と大幅に増加していて、人気マンガ「鬼滅の刃」などが好調だった影響と分析しています。
先日、小6の学童会員にこの字の手本を書いて欲しいと懇願され閉口致しました。
<作品解説>
楷書の筆法を使い鋭い筆致で表現してみました。
<コメント:ホームページ管理人>
私事で大変恐縮ですが、私も「鬼滅の刃」が大好きなコミックで今回の先生の作品とても好きです。自分の大好きな作品を手本で書いてもらえるなんて、とても嬉しい事ですよね。
風を読み海図なき旅ヨットの帆

7月6日+(プラス)29
各種スポーツが再開されていますが、関係者は「私たちは皆、海図がない中で海に出て行くことになる、ファンの方には、その途中に起こる色々な困難も含めて応援してもらいたい」と述べています。
ヨットが夏の季語です。
登下校日傘の影の重ならず

6月28日+(プラス)21
登下校日傘の影の重ならず
交 流

6月8日+(プラス)3 交流
コロナ禍を機に「密」な人間関係は、「本当に会いたい、話したい人と交流する」新しい生活様式
家籠気分転換する苺

5月28日
「夕張メロン」の初競りが25日に行われ、2玉12万円で落札されたとの事、昨年は過去最高額の500万円でしたのでこの落差に驚きました。原因は新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が落ち込み、百貨店が休業しているのが要因とか、私も御中元に使っている品物で毎年高額になっているのに閉口していました。これで平常に戻ってくれればと願うひとりです。
<作品解説>
句意=家籠(いえごもり)、苺が季語です。苺が気分転換するわけはないが俳句には主観を入れないのでこの様な詠み方をします。
料紙=ぼかし入りで金銀砂子が撒いてあります。
我慢する先の平常麗かや

札幌市内で感染者が急増しております。病院、施設でのクラスター(集団感染)が各所で発生しています。外出自粛、「3密」を避けるなど、命を守るため各自我慢を致しましょう。平常を取り戻すのがこんなに難しいとは、徐々に怖さが身に堪えます。
<作品解説>
「や」を下五に使うのは珍しいです。強い切れ字を使わなくても切れがあるからです。「うららかに」必ずなるのだと断定にしました。
料紙~寒色と暖色の「ぼかし」が入っています。我慢と麗かの対比を模して
WEB書展作品人気投票9位 得票数2
睡蓮は多くの視線受けとめし

7月29日
26日(日)に高木聖雨先生の札幌教室が再開しましたので、4か月振りに地下鉄に乗り「大通」に行きました。思った程混んではいなく(ほとんどが若い人達です)皆、マスクをして静かに往来しておりました。帰りに道庁を通りましたがひと組だけ外国の観光客らしい方達が記念撮影をしていました。池の睡蓮は例年以上に水面に繁茂していて自然の強さを再認識しました。
先日、東日本大震災後「福島の復興への希望」との願いを込めた名「ホープホワイト」の胡蝶蘭の花を切り落とし、廃棄している映像を見ました。新型コロナウイルスのせいで、贈答の需要が激減していて生産者が苦境に立たされているのだそうです。以前、このWEB書展でも「花をむしって人が来ない様にする」と紹介した同様の事がまだ続いているのですね。
<作品解説>
金砂子を掃いた波模様の色料紙を使用しました。
千年の伝統
「相馬野馬追」今夏も実施

7月26日
福島県相馬地方で1000年以上続くとされる「相馬野馬追」が、太平洋戦争中も伝承されていた事を示す資料が見つかった。空襲警報が鳴る中で騎馬武者行列が行われた様子など、伝統を守ろうとした人々の気概が伝わる。1945年の終戦の年も、2011年の東日本大震災の津波と原発事故の年も開催され、今年も新型コロナウイルス感染防止のため規模は縮小されるが、25日~27日に無観客で儀式や神事のみ行う。騎馬武者行列や競馬、神旗争奪戦などは中止
<作品解説>
小書きを左右に分け中央の大字の「の」は大胆な渇筆で書いてみました。
分断 -ロックダウン阻むー

7月25日
世界で最も豊かな国の一つで、医療でもITでも世界1位の科学技術を持つ世界の自由主義体制防衛の柱の米国がなぜ、新型コロナウイルスの感染を抑えられないのか?米国では2つの社会的立場、2つの政党(民主と共和)の方針の対立が激しいため、州知事により違いが生じ、首尾一貫した行動がとれない。ロックダウンを厳守したニューヨーク州、ニュージャージー州の知事が民主党に対し、ロックダウンを早期に解除したフロリダ、アリゾナ、テキサス州の知事は共和党で依然として感染第1波の管理すら出来ていない。これは竹森俊平氏(慶応大教授)の分析です。
<作品解説>
行草体で「分」は柔らかく、「断」は激しく書を分けてみました。
展 望
ー柳井基金は十年の展望で活用できる本庶氏
重い責任を感じる山中氏ー

7月21日
柳井正会長(ユニクロ)は個人として京都大に、今年度から10年間で総額100億円を寄付すると発表した。ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑特別教授と山中伸弥教授の研究に50億円づつ拠出する。「柳井基金」に毎年5億づつ寄付し本庶氏の「がん免疫」の研究費を賄う、基金とは別に今年度は新型コロナウイルスのワクチン開発に5億円、来年度以降は山中氏のips細胞プロジェクトに毎年5億円を寄付する。
<作品解説>
大字と小字を分けて纏めました。大字は潤渇の変化に留意しました。
三密は危険や暑き夜の街
ーススキノ、キャバクラ、クラスターー

7月18日+(プラス)44
暑いが季語です。暑き=送りがな変ですが、「悪気」(あくき)=いろいろのたたりをする、おそろしい鬼と重ねています。
巴里祭襲ふコロナ禍カンツォーネ

7月14日
今日、7月14日はフランス革命記念日で日本での呼び方は「巴里祭」(パリ祭、パリー祭)この日、フランスは大いに賑いますが、今年はどうなのでしょうか。新型コロナウイルスで打撃を受けた欧州は3月に移動制限を開始しロックダウン(都市封鎖)ですべての生産活動を停止しましたが、多数の死者が出てしまい(イタリア約3万4千人、英国約4万5千人、フランス約3万人)特にイタリアではこの数字の倍以上(自宅での死亡は数に含まれていない)だと報じられています。5月になり少しずつ制限を解除して落ち着いている様ですが、北欧のスウェーデンで感染者の拡大傾向が続いていてWHOは6月25日、「野放しにすれば欧州の医療が危機に陥りかねない」と警告を発しました。スウェーデン政府は厳しい外出規制を設けず国民の多くが感染することで「集団免疫」を目指したとされるが失策だったと評価されている。
<作品解説>
料紙=特漉の和紙で天地に模様が入っています。
警戒
ーウイルスはまだ急速に広がっている最大級の警戒をー

7月11日
世界保健機関(WHO)は9日、世界全体の新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が22万7千余りに上り過去最多となったことを明らかにしました。アメリカ大陸が約13万人と全体の6割を占め、国別では米国が6万弱、ブラジルが約5万などでインドでは連日2万人を超えているとか、まだ警戒を緩めることは出来ません。
<作品解説>
「警戒」を大胆にデフォルメして小書きを添えました。
過 渡 期
コロナ禍で労働慣行が崩れようとしている

6月15日
決まった時刻に出勤し、同僚と一緒に働く、当たり前と思っていた働き方に変化が生じています。新型コロナウイルスの影響で急遽導入した「テレワーク=在宅勤務」戸惑いもあったようですが通勤、移動時間が削減できる、自由に使える時間が増える、オフィスより集中できるなど概ね好評でオフィスを解約して「仮想オフィス」で仕事をする会社も出現しているようです。
<作品解説>
文字の二字目に飛墨が出たのでそれを活かした余白に小書きを纏めました。
消毒に気をとられ過ぎ麦の秋

6月14日+(プラス)7
消毒に気をとられ過ぎ麦の秋
麦の秋=麦秋、今麦が黄金色に熟しています。
芸術活動の源-道民の底力 熊川哲也-

6月7日+(プラス)2
芸術活動の源
道民の底力 熊川哲也
5日(金)夜、NHKの特集番組を覧ました。北海道が育んだ偉人だと感じました。
黙 禱
8分46秒片膝つきて

6月6日+(プラス)1
2日、米スポーツ界で活躍する日本人選手たちが、SNSで一斉に真っ暗な画像を投稿した(読売新聞より)
大好きな大谷翔平(エンゼルス)も参加しているので私は作品で同調します。
<コメント:ホームページ管理人戸澤 澄仁>
私も、白人警察官による黒人男性暴行死事件の映像を見て絶句しました。私にはアメリカにおける人種差別の根深さは感じる事は出来ませんが、どうして平気であのような事が出来るのか、言葉では言い表すことが出来ません。このような無言の抗議で意思を示すことも、これからの発信の形なのかもしれませんね。
共 存
ウイルスとの闘いには工夫が必要

6月1日
今日から札幌市も全業種で休業要請が全面解除されますが、第3波が心配です。下記にノーベル賞受賞者、京都大学山中伸弥教授の提言を載せておきます。
””新型コロナウイルス対策はこれからが本番です。まだ青信号ではなく黄色信号が点滅している状態です。ウイルスに細心の注意を払いながら経済活動を再開させ、私達が一致団結して正しい行動を粘り強く続ければウイルスとの共存が可能となります。””
自分を、周囲の大切な人をそして社会を守りましょう。
<作品解説>
「共存」を強く別枠に書き、読み易い様に書いたつもりえすが、左右の余白に働きかける運筆に致しました。
疫病の外界は忘れ目借時

5月29日
緊急事態宣言は25日に解除となりましたが、日常生活はまだ気を緩めるわけにはまいりません。多くの欧米メディアは日本の対応を疑問視してきましたが、最近では日本人の規範意識の高さが感染抑制につながったと報じています。ただ余り緊張状態が続くと疲れてしまいますので、家に居る時ぐらいはゆったりと過したいものです。
<作品解説>
俳句=目借時(めかりどき)が季語、この時期蛙の声を聞いているとうつらうつらと眠くなり蛙に目を借りられるからとの古風な季語です。
運筆=一筆目の飛墨(スミがとぶ)に合わせ上部の余白を広くしました。砂子の掃いた料紙です。
異 変
人の世の異変や氷雨打ちつける

5月21日
今、各業界で「新型コロナウイルス」の影響で異変が起きているようです。飲食店の休業により高級な牛肉、マグロなどの価格に異変が起き、半値以下でも売れない状態とか、給食用の食材が大量に余り破棄されています。新鮮な食材は、航空便が無いのと物流が滞っていて消費者に届けられないそうです。業界全体が困惑、混乱の極みに陥っています。我々が出来る事は外出を控えて感染抑制に協力することですね。
<作品解説>
句意=氷雨(ひさめ)夏の季語で雹(ひょう)のこと、突然空から打ちつけて作物などに被害をもたらします。中七の「や」で切って読みます「句またがり」の技法
型式=意味の強い語句を上段にして真ん中の余白で調和させます。
風前の燈火(ともしび)
人々に感動を与え心を癒す文化・芸術

5月18日
15日から「特定警戒」の8都道府県以外の39県の緊急事態宣言が解除されました。(札幌市は残念ながら見送られました。)3密になり易いとして、映画館、古書店、ライブハウスなどは休業要請によりまだ営業出来ないでいます。地域の文化を担ってきたこれらの店が今存亡の危機に陥ています。「芸術は寛容です」高低、貴賤などの差はありません。新型コロナウイルスの収束後に身近な文化、芸術が無くなっていたなら殺伐とした情景になっていると思います。「文化、芸術を守る」社会であってほしいです。
<作品解説>
型式=表題のように大小をつけ文意を分かり易くしました。文節(文章を読み易くする間)を大切に潤渇、大小の変化に留意
北窓を開き換気に励む母子

5月2日
札幌は都市封鎖なみの厳しさを知事、市長から宣告されました。「家から出るな」、「札幌に来るな」それほどの事態です。家から出ないで換気に注意して協力しましょう。
<作品解説>
北窓を開くが春の季語です。北側の窓を開けて冬の暗さを家の中から一掃する、「冬の暗さ」に新型コロナウイルスを重ねてみました。
せめて作品の周りマットを明るくしようと銀紙に日光を当ててみました。
無念の聲-高校総体中止に嘆きの声

高校総体中止の報道に驚きと共に高校3年生の無念さが伝わってきました。書壇もほぼ全ての展覧会が中止です。私の作品はともかく会員の出品作品が展示されないという初めての経験を致しました。このやり場のない試錬は精神の修行になります。健康であればチャンスは幾らでも訪れます。今は感染しないよう全力で努めましょう。
<作品解説>
無念の「聲」=声の本字(旧字体)の行書です。(雰囲気を落ち着かせたくて)
料紙~金で昇り龍の円相が描いてあります。若い人達の未来に向けて使用
人類を救ふ医術に春疾風

新型コロナウイルス治療の最前線でご健闘されている医療関係者の皆様が、心ない人達の言動により傷ついているとの報道、光黎書苑の会員にも医師、看護師、医療従事者が数名居ります。会員の家族にも多数居ります。良識のある人達は皆様に深く感謝し、応援しております。心外な事には屈せず、専門家として収束まで邁進して下さい。私は詠み、書く事で皆様を激励致します。
<作品解説>
医療=医術を使用
春疾風(はるはやて)~春の強風・突風のこと
料紙~赤紙和紙(緊急の意)
WEB書展作品人気投票10位 得票数1
倫理意識 ー情緒を重んじる父の教えー
藤原正彦氏(数学者)

8月3日
作家である父が重視していたのは、気象学者としての倫理的な思考とともに感覚的な情緒だった。「一緒に庭を見て葉に光る朝露の美しさを科学的に説明してから俳句をひねるような人だった」
コロナ禍の今こそこの教えに立ち返るべきだと考えている。世界が強権的な手法で抑え込もうと四苦八苦する中、日本は罰則のない自粛要請で世界最低に近い死亡率に抑えている。
「日本人は普段から美しさや清潔を、秩序などの情緒や道徳を重んじている、日本が高い民度と静かな決意でそのまま抑え込めば、力に頼るばかりの世界へ強烈なメッセージとなるだろう」
2日現在、全国の感染者数は1,500人超、東京472人、道内18人、札幌のライブハウスでクラスター発生、感染回避の方法はだいたい分かっています。今こそ日本人の倫理意識を更に高めて、新型コロナウイルスを抑え込みましょう。
寛斎氏夏越に元気届け逝く

7月31日+(プラス)65
ショービジネスの世界で日本の「様式美」を発信し続けていた、ファッションデザイナーの山本寛斎さんがこの世を去りました。今日31日に2015年から監督、総指揮を務めたイベント「日本元気プロジェクトスーパーエネルギー!!」がオンラインで配信されます。
心より哀悼の意を表します。
<作品解説>
夏越(なごし)が季語=名越の祓(はらへ)7月31日
国境を越へて移動のサングラス

7月25日+(プラス)52
3月からコロナ感染が拡大し、英国、イタリア、スペイン、フランスなど大量の死者が発生した欧州は、厳格なロックダウンを実施したので、現在は収まっている。事態の好転を受け7月1日から、国境を越えた人の移動を再開した。
<作品解説>
サングラスが夏の季語
賞状の美濃和紙涼し五輪延ぶ

7月24日+(プラス)50
オリンピック入賞者に渡す賞状は美濃和紙を漉いたもの、1年寝かせるとより良い風合になるとの事、「涼し」が夏の季語です。
希望の象徴 -延期の東京五輪ー

7月24日
23日に開会式を迎え、今日から熱戦が繰り広げられるはずだった2020東京五輪・パラリンピックは、期待と感動につながる直前で新型コロナウイルスにより1年延期となり、開催も危ぶまれています。それでも開催できたとしたら、人々に新たな再起と希望の象徴になるはずです。
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は17日、来年7月23日に開幕する五輪会場と競技日程を発表しました。全体的には今夏を踏襲して行われるとの報告です。
<作品解説>
期待を込めて弾みをつけた運筆で潤渇に面白味をもたせました。
愛の不時着 ー韓国の人気ドラマー

7月22日+(プラス)48
コロナ禍による巣ごもり中に大評判になったようです。
北朝鮮はこれに立腹しているとか
江戸っ子のウイルスめがけ水を打つ

7月16日+(プラス)40
江戸っ子のウイルスめがけ水を打つ
荒梅雨の九州豪雨暴れ過ぎ

7月15日+(プラス)38
荒梅雨(あらづゆ)が季語
ひと晩で街滅茶苦茶に梅雨出水

7月15日
熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした豪雨は、岐阜、長野へも広がり、こちらでも多くの被害が出て、共に激甚災害に指定されました。気象庁はこの豪雨を「令和2年7月豪雨」と名付けました。九州豪雨の死者は65人(12日現在)にものぼり、行方不明者も多数おられるとの事、約3千人の方が避難されていますが、新型コロナウイルス感染を恐れて車中に避難している方も多くいる様子、胸中を推察すると慰めの言葉も見つかりません。
<作品解説>
俳句=出水(でみず)が季語、河川が氾濫するなどの洪水をいう。
型式=天地が狭く、字数が多いので平たくした字形で横への動きを強調しました。
休業の白い恋人トマト摘む

7月13日+(プラス)36
トマトが季語です。ミニトマト農園に派遣された人を詠みました。
農家の人手不足補ふ白い恋人
ー石屋製菓の社員などー

7月13日
新型コロナウイルスの影響で外国人技能実習生らが来日できず、人手が不足している、道内の農家を支援しようと、企業などが社員を農家に派遣する動きが広がっている。企業側も一時休業などで仕事がない社員らに、一次農業の現場体験を本業に生かしてもらう狙いがある(読売新聞 金井記者)、「白い恋人」の石屋製菓は若手社員約130人を対象に農業研修を始め、数人ずつに分かれ道内各地の農家に派遣し10月まで働くそうです。
<作品解説>
鳩居堂の山馬筆(とても硬い)を使用したので、直線的な真面目な雰囲気になりました。
夏暁やアイヌ文様なる魅力

7月12日+(プラス)35
夏暁(なつあけ)が季語、夏の暁(あかつき)
トキワ荘
ー漫画家の落書きの跡西日濃しー

7月10日+(プラス)33
「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」(東京都豊島区)が7日開館され昭和を代表する漫画家の下積み時代を過ごした「トキワ荘」が再現されました。
<作品解説>
「西日」が夏の季語です。
躊躇 -せたな町の観光ポスターー

7月6日
せたな町の観光ポスターは、道などが主催する北海道広報コンクールで最高賞を3年連続で受賞するなどユニークさで道民の関心も高いですが、今年のポスター制作には苦心しているという、新型コロナウイルスの感染拡大に収束が見えない中で、町へ観光客を積極的に呼び込むことに躊躇せざるを得ないからだそうです。
<作品解説>
「躊躇」造形の面白い字を疎密をつけて大きく書き、小書きを添えました。
メロン買ふ財布は持たぬキャッシュレス

7月5日+(プラス)28
メロン買ふ財布は持たぬキャッシュレス
メロンが季語です。
梅雨入の書展 -検温とマスクしてー

6月29日
日本の書200人選(五輪開催を記念して)と日本の書展が延期してやっと開催され、先日終了致しました、検温や密を避けるための工夫など新型コロナウイルス感染予防に万全の注意を払われた様子、関係スタッフの気苦労は筆舌に尽くし難いのではと拝察致します。天候も梅雨寒が続き、疲れも倍増したのではと案じております。
<作品解説>
ベージュ色の冷銀箋紙に滲みを多用して(梅雨なので)書作しました。梅雨入(ついり)季語=入梅
学校は日傘で距離を保ちつつ

6月28日
東北以南は梅雨入(ついり)になり通常授業になった学童は傘を持参して雨を遮り、日差しを阻み、ウイルスの感染防止の間隔も保っているのだそうです。これならマスクを外すこともできそうですし熱中症への対策にもなりますね。
窓越しの老人施設薔薇抱え

6月23日
光黎書苑会員の話しでは御母堂様は高齢者向施設に入居されていて、時折面会に行くと窓ガラス越しで携帯電話の会話なのだとの事、感染防止のためだと納得はしているが、自粛解除後も同じ扱いで御母堂様は4か月以上外出が叶わず、まるで「監禁」されているみたいだと嘆いていました。命を守るためとはいえ大変な我慢を強いられているのですね。
<作品解説>
俳句=薔薇(バラ)が季語、大好きなバラの花束を抱え訪れた景
型式=定型の3行書きですが料紙の図柄を活かした動きにしてみました。
奇 跡-日本の奇跡を讃える-

6月18日
日本はロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令などの厳しい規制を敷かずに新型コロナウイルスの感染拡大を抑えたとして、欧米はじめ世界各国から「奇跡」と称えられています。日本人の死者が少ない理由として挙がっている、医療システム(皆保険)、マスク着用、人に接しない挨拶、家に靴を脱いで上がる、要請に従う真面目さ他に医学的見地からも色々と言われていますが、私は他人に対する「思いやり」だと思います。自分だけではなく皆で協力しあって克服させましょうとの人に対する優しさです。これは共感という芸術・文化の深さとも関係しています。
<作品解説>
書体=「奇」草書、「跡」行書合わせて行草体といいます。よく馴染む書き方です。
朝寝から昼寝となりてなほ自粛

6月17日
朝寝は春の贅沢、昼寝は夏の楽しみとして歳時記では両方共季語です。人と接触する事を避けてせめて寝る事で気分爽快、体調万全とはいきませんか。
<作品解説>
型式=仮名の散らし書きの技法を使い上下二聯にしてみました。
空洞の弥生卯月皐月過ぎ

6月12日
教室を再開して落ち着きを取り戻しましたが、アルコール消毒(会員からの寄付が数件ありました)や書く席を2m以上離しての配置など、今まで経験した事のない対応に少し疲れていますが、会員に直接指導出来る(会話をしながら)幸せに感激しています。今まで当たり前と思っていた事が実は大変、裕福な事だったのですね。
休業していた3、4、5月もそう考えると無駄ではなかったと思い始めています。
<作品解説>
俳句=3月(弥生)、4月(卯月)、5月(皐月)月の異称です。何も出来なかったので「空洞」と表現してみました。
型式=同じ俳句を書き分けてみました。上は「空洞」を渇れで下は地に紫で空洞を描いてみました。
医療への感謝の拍手虹二重

6月9日
先週、光黎書苑に会員の家族の方が来訪され謝辞を述べられていきました。要約するとホームページのウェブ書展に「医療への感謝」の作品が載り、それを見て鬱積した気持ちが軽くなり、当日はその方の誕生日で重ねて嬉しかった、周りに応援してくれる方がいる事が心強いと言っていました。
プロ野球の各球団も「クラップ・フォー・ケアラーズ(医療従事者らへの拍手)」を行い、航空自衛隊のブルーインパルスも東京の空に感謝の飛行機雲を描きました。
<作品解説>
俳句=虹二重(にじふたえ)が季語です。虹を二重にして感謝と敬意を詠みました。
定型の縦二行書きで読み易く書きました。
<コメント ホームページ管理人 戸澤 澄仁>
コメント失礼いたします。私は先生の言葉をホームページに載せ発信しているだけですが、少しでも鬱積した気持ちを晴らして頂いたとの事に、ほんの少しでもお役に立てたこととても嬉しいです。
祭途絶ゆ新型コロナウイルスめ

6月8日
6月は「お祭り」のシーズンですが、報道によると総べて中止、札幌でもYOSAKOIソーラン祭り、北海道神宮祭(札幌祭り)、さっぽろ夏まつりは中止、全国でも伝統のある祭りがほとんど中止、地元町内会などの祭りも中止です。
今年は命を守るために我慢しなければなりませんが、祭り関係者からの悲鳴が聞こえてきます。YOSAKOIソーラン祭りで大量に余った衣装の生地でマスクを作ったり、警備会社のイベントの仕事は皆無、いつまで耐えられるのか嘆いています。
<作品解説>
俳句=祭(まつり)が季語、途絶ゆ(とだゆ)文語、中七からの投げ捨てる様な言い方には共感頂けると思います。
料紙=円相の龍がウイルスを睨みつけるような布置にしました。
芸術は寛容

6月5日
読売書法展はじめ各展覧会、芝居、コンサートなど軒並み中止あるいは延期になっています。各関係者の予定はすべて崩壊、収入も失業状態とか
新型コロナウイルスを克服できても芸術を司る、支える人達が居なくなっては成り立ちません。芸術が無くなっては無感動でつまらない生活になってしまいます。芸術は演劇、音楽、絵画、映画、大衆芸能まで幅広いです。カラオケでストレス解消できるのも音楽関係者が居るからです。真の芸術(家)は他者に寛容です。それは共感するのが芸術だからです。
<作品解説>
横の余白への働きかけに工夫した運筆
令は善なり 中西 進

5月30日
先回、欧米メディアが日本人の規範意識の高さが感染抑制につながったと指摘していると書きましたが、「令和」命名者の中西進氏の言葉が正にこれを表しています。以下、前文を割愛して載せます。「令は善なり」善こそ人は自らを律し、令に従います。皆と共に自らを律して「厄」を逃れる今こそ「令和」をかみしめ行動する時です。
<作品解説>
素紙に正攻法で書作しました。自分の文を書く時は「秋亭」だけで良いが文を拝借する時は、著作者名を書くのが礼儀です。
一人漕ぐふらここ三の密ならず
芥に貼る励ましの文日向水
漫画なら氷雨攻撃コロナ菌

5月27日
報道から三題。ソーシャルディスタンス(社会的距離を保つ)公園で遊ぶ子供も離れる様注意され、遊具も封印されているとか、ステイホーム週間で家庭ごみが増えているようで名古屋市のゴミ収集の袋に感謝の言葉が書かれたメモが貼られ従事者が感激している様子、若い人達が大好きなアニメの世界なら一気に撃退できるのになぁなどと思ったりもします。
<作品解説>
俳句=ふらここ(ぶらんこ)、芥(あく)ゴミの事、日向水(ひなたみず)夏、水を日に当てておくと温くなる水、氷雨(ひさめ)雹のこと
料紙=内容に合わせた色合い、模様などに配慮
学生のゐぬ通学路更衣

5月25日
拙宅は中学校のそばで2階からグランドや体育館の出入口などが見渡せます。今は長期の休校で静まりかえって空虚な建物となっています。朝の登校時間の弾ける様な若さは無く、まして更衣の時のあの眩しい程の白の輝きも今はありません。今日から札幌の緊急事態宣言は一部を除いて解除になりますが、学校は6月からとの事、もう少しの辛抱です。再開しても「学ぶカタチ」は以前の様にはならないでしょうが....。
<作品解説>
句意=更衣(ころもがへ)が季語、「衣更え」とも使います。因みに冬服に替えるのは後(のち)の更衣と使います。「ゐぬ」文語(居ない)
型式=料紙は潤渇の変化が乏しいので運筆で遅速の変化を大胆につけてみました。
使 命
見えぬ脅威に立ち向う医療従事者の誓い

5月20日
新型コロナウイルスの札幌市の感染者は4月に入って「第2波」に襲われ、市の医療機関と福祉施設で数十人規模のクラスター(集団感染)が発生し、10万人あたりの感染者数では、東京の倍も上回っているのだそうです。病院で防護服に身を包み、身を粉にして働いている医療従事者の頑張りに改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
<作品解説>
文は新聞の見出しからの抜粋、医療従事者を就き動かしているのは「使命感」なのでしょう。
型式=3聯に文節ごとに分かり易くまとめ、左下がりの珍しい布置にしました。
貼り紙の日付延長青嵐

5月17日
新型コロナウイルスによる休業要請は、札幌市、石狩地方は31日まで延長、他の地方は14日から要請解除となりました。当教室も3度目の再開日変更となりドアの貼り紙の日付も変更しました。3か月間の休業です。私の所は通信指導、LINE添削などで凌いでおりますが、飲食店等は大変なのではと案じられます。札幌市の新型コロナウイルス感染の第2波は凄まじい勢いでしたが、皆様の努力のお陰で何とか棒グラフの山が低くなってきました。この気持ちを持続させたいものです。
<作品解説>
句意=青嵐(季語)あおあらし、青葉のころの強い南風、貼り紙も長期間になり雨風に打たれてしわしわになっている情景
型式=変則の三聯にしてみました「青嵐」を動かして不安定さを表現してみました。
書の祭先に延ばせとコロナ菌

5月15日
国内で最大級の書道展「読売書法展」も中止になってしまいました。出品を準備していた方は制作の真最中、途中で筆を置く事になり、落胆は隠せないでしょう。胸中、お察し致します。私も役員として特に「北海道展」を支えてきましたが、「絶句」言葉を失うとはまさにこの事です。新型コロナウイルスに恨み辛みを言っても前に進めませんので、今年は基本に戻って古典臨書に時間を費やします。
<作品解説>
残念な気持ちが先走り、力んだ運筆になってしまいました。これも「書は人なり」ということでしょうか。
薫風や医療現場の窓開けて
郭公や都会は都市になる惨禍

5月14日
医療崩壊は既に起きはじめているとの事、感染者ベッド数が足りないのではなく医療従事者、その家族また感染者への誹謗中傷により、医療現場が疲弊しきっているのだそうです。感謝こそすれ排斥しようとする言動をするとは、信じられません。既に自分も保菌者かもしれません。お互い様の気持ちを忘れずに過ごしましょう。
<作品解説>
句意=右聯、鬼気迫る現場に窓を開けて薫風(木々の緑の香りを運ぶ心地よい風)を入れ換気して下さい。左聯、都会は雑踏、都市はビル群、人のいない街にしてしまうコロナ禍の悲惨を、郭公(かっこう)の別称は閑古鳥(かんこどり)です。
からっぽの旅行かばんをしまふ春

5月4日
ゴールデンウィークに旅行を計画されていた方も多いと思いますが総べて、キャンセルですね。沖縄の知事も懸命に「沖縄に来ないでください」と訴えていました。札幌は緊急事態宣言解除後に、気が緩んだのと、札幌は収まったと全国から来札した方が多く、強烈な第2波に襲われております。収束まで長い闘いになると思われます。健全な食事、睡眠、運動に心掛け人との接触を避けましょう。
<作品解説>
句意=旅行鞄を「からっぽ」(暫く使用しない)にして終い込み、遠出などしないで家に居ましょう。
用紙=素紙なので潤渇の変化に留意書き出しが渇れなのは珍しい
ひらめきは天が授ける春の空
開放の心は自由はるの空

5月3日
家から出ない生活をしていると、何となく閉塞感が漂います。いつもは何日でも家に籠って作品制作に没頭していますが、雰囲気が全然違います。妙な静けさがあり、恐怖感がああります。せめて、窓から空を眺めて頭と心を開放させ、「ひらめき」のヒントでも授からないと待っています。
<作品解説>
左右二聯にしてみました。右聯は少し鋭い筆致で、左聯は呼吸を柔らかくして運筆してみました。マットは金紙を揉んで光を乱射させました。
新酒古酒今は集へぬワイン好き

教室での仕事帰りビルの裏にあるワインバーに足繁く通っていました。小さな店ですが、マスターのワインへの造詣の深さに教えられることが多かったからです。営業自粛で今はどうなっているのでしょうか。案じられます。収束まで持ち堪えてほしいと願っています。
<作品解説>
新酒古酒=秋の季語、特にワイン好きは年代(古酒)に拘りがあります。
料紙~地に薄い唐草模様が入ってます。葡萄の蔓をイメージして
空想のふくらむ家居春の雲

25日から「ステイホーム(家にいよう)週間」が始まりました。不用不急の外出をしない事が、誰にでも出来る感染抑止への協力です。皆さん励まし合って協力者になりましょう。
<作品解説>
家居~俳句では家に居る事をいう。
解釈=窓から春の雲の動きを眺めて空想をふくらませ楽しむの意
料紙~セピア色の和紙に金銀砂子が撒いてあります。