改定.6半紙と文字の重心を整える

重心

半紙の纏め方でよく注意するのが、「字粒を小さく」「行間、字間を空ける」ですね。所謂、余白美で格調が高くなります。(学童なら元気よく書いてあれば余白なしでも良いが・・・)
余白を広く取ると文字の中心、重心を整えないとバランスが崩れてしまいます。これは感覚的な要素が大きいので沢山書いて覚えるしかありません。
先回説明した様に一文字ずつ重心は違うのですから。

改定.5重心とは?

重心①

先生、「重心て何ですか?」生徒からの質問である。
「重心がわからない?」ショックを受けたのは私である。小学校で習う重心が分からないのか?自問自答を繰り返しある事に気付きました。他の生徒にも問いかけ(全員が分からなかった)隣りのジムのトレーナーにも聞きました。
トレーナーの弁「体で言うと丹田(臍の少し下)、この感覚は専門家でないと分からないと思う」確かにバランス感覚、その基本である中心、重心は感覚なのだと。
先の質問者も言葉としては認識していたと思うが、感覚として分からないと言う事だろう。私は重心が外れると瞬時に分かるのも感覚で捉えているのだと思う。
これは核心を突いた質問ではないか。ただこれを定義するのは難しい、なぜなら「重心は動く」からである。私はよく体幹の話しをしますが、体を使って説明した方が分かり易いかもしれません。
基礎から少しずつ説明していくのでゆっくり従いて来て下さい。

重心②

重心①の動画では丹田を使って身長190㎝の井上さんに協力願って説明しました。
丹田は各自違いますし、動きます。(床で書作する姿勢が重要ですので覚えておいて下さい。)
さて、文字で説明しましょう。縦書きの場合は中心が定まっていれば完成度は高いですが、横書きの方が分かり易いので横で重心移動を説明します。動画では何気なく書いているように見えますが、重心を定めながら書作しています。ペン字のように罫線があっても難しいと思います。

日常、横書きをする時に文字を小さく書いて重心を下げ、上下揃えて重心を分かり難くするのは、こうすると上手に見えるからです。
次回から布置。半紙、条幅の重心の取り方、動かし方へと進みます。

改訂4.落款(らっかん)

先日、会員に「落款」って何ですか?と聞かれました。
「ウェブ講座」に掲載されていませんかと答えましたが、載っていないようです。(どこかに詳しく説明した記憶はあるのだが)改めて解説します。
「落成款識」が正式名称です。縮めて「落款」と通常は使います。作品が落成(完成)して名を書き印(款)を押して仕上げるとの意です。
名前の他にいつ、どこで、何を書いたかなどを書くのを「長落款」と言います。
古典臨書を書いた時には通常「臨」を入れますが、多様な表記があり一概には言えません。学習の深さにより教養が問われるところです。先生に聞いて下さい。

<長落款模範例>

改訂3.筆捌き=穂の弾力

習字(書写)では穂の弾力はほとんど使わず、穂先を丁重に扱って落ち着きのある文字にします。
書道は穂の弾力を利用して線に強弱をつけ線質の変化を表現します。
感覚的な要素が必要なので動画をよく研究して習得して下さい。

改訂2.開鋒(穂を開くこと)

筆の根元に含墨の時、気泡を入れると自然に「鋒」が開きます。
この技術がないと豊かな線条が生まれません。初学者は字形に気を取られて線の豊かさまで気づきませんが、書道の基本の一つです。

改訂1.含墨(がんぼく)

WEB講座の初期の状態が良くないので繰り返しになりますが、復習のつもりでまた学習して下さい。
単に墨を付ける作業ですが、コツがあります。動画をよく目習いして下さい。
墨を含ませる時に穂を少し捻って気泡を含ませているのに着目して下さい。穂先だけの含墨だとこれができません。
気泡の力を借りると豊かな潤筆になります。